異世界転生って、まだ死なせてくれないんですか?〜老衰から誕生へ〜

真木 輝

第1章 第3話 全属性魔法

翌日さっそく魔法属性鑑定をしに教会へ足を運んだ
ここ風の国の王都は八帝国の中でもそれなりに発展している方だ
一年を通して涼しく過ごしやすい環境だからだろう
故に農作物の収穫高も高い
街は今日も賑やかだ
教会はラインハルト家の統括する地区にあるため歩いてすぐだ

「おっ、ラインハルトさんの坊ちゃん、ほれ採れたてのりんごだ持ってきな!!!」

「ありがとうございます!!!」

この街は本当にいい人ばかりで歩いているとみんな話しかけてくれる
本当に日本のような国だ
そんなこんなでいろいろな人に話しかけられながら教会についた 

「リリー、居ますか?」

アリスがそう呼びかけると奥から聖堂服を着た女の人が出てきた

「あらアリスじゃない、今日はどうしたの?」

リリーと呼ばれたこの女性はアリスの旧友らしい
なんでもかなりの光魔法の使い手だとか

「実はアースの魔法属性の鑑定をして欲しくて、ほらアース挨拶なさい」

ぽんっとアリスが肩を押す

「こんにちは、アース・ラインハルトです」

「アースくん大きくなったわね、私が前に見た時はあんなに小さかったのに」

そうリリーとは私が生まれて間もない頃に一度会っている
最もその時は名前すら知らなかったが

「じゃあさっそく礼拝室に行きましょう、そこで鑑定を行うわ」

そう言うとリリーは礼拝室まで案内してくれた
しばらく礼拝室で待っているとリリーが戻ってきた

「さあ始めましょうか」

そういうとリリーは石の板のようなものを渡してきた

「祭壇の前でその板に魔力を込めてみて」

言われるがまま祭壇の前に立った
この鑑定は私にとってはかなり重要だ
なんせこの先の運命を決める鍵になるのだから
しょぼい能力だったらどうしようか
そう思いながらも魔力を石板に込める
すると目も眩むような光に包まれた

「なに!!!」

「アース、だいじょ・・・・・」

アリスの言葉は途中で途切れた
なんだ何があったんだ
重い瞼を開けるとそこには真っ暗な空間が広がっていた

「どこだここは・・・」

さっきまで教会にいたはずだ
空間魔法か???

「それは間違いだぞ若造」

鈍く重い声が響き渡った

「ここはいわば心の中の世界だ」

空間魔法なんて声に出していない、なのになぜ

「なぜってか、気になるだろうなそりゃ」

「それは俺がお前の一部だからだ」

一部だと?

「どういうことだ?というか何者だ?」

ふっと笑う声が聞こえた

「俺はお前だ答えなんてそのうちわかるさ」

そういうと周りがまた白く光り出した
次から次へとなんなんだ・・・

「・・・、・ース、アース!!!」

自分を呼ぶ声が聞こえ目を開けると目の前には祭壇があった
なんだったんだあれは

「アース!大丈夫なの?」

「大丈夫だけど?」

「よかった」

アリスがそっと胸を撫で下ろす

「リリー今のは?」

「わからないわ、前例がないもの」

どうやらリリーにもわからない謎の現象らしい

「そうだアース、石板の確認を」

そうだった
肝心の人生を決める石板を忘れていた
石板を見てみると文字がずらっと並んでいた
なんか情報が多いな
もう読んでもらおう
そう思いリリーに石板を渡した

「どれどれ、水に氷に・・・・」

リリーが固まる
そしてぷるぷると震え出した

「ん?リリーどうしたの?」

アリスが不思議そうに首を傾げている

「あ、あ、あ、アリス!?」

そういうとアリスに近づき石板を見せる
アリスはしばらく石板を読むと固まった

「な、なんなのこれ?なにかの間違いじゃない?」

アリスは石板と私を交互に見ながらそう口にした
なんなのだろうか
もしかしてステータス低すぎて恥ずかしい息子だとか思われてる?!
終わった私の第二の人生

「あ、アース、心して聞きなさい」

アリスはしばらくの沈黙の後
ようやく口を開いた

「あなたの魔法は・・・・」

あーこの6年の人生も儚かったなあ

「全属性に適正があるわ!」

あー全属性無敵性かおわった
ん?

「母さんもう一度お願い」 

ごほんと咳払いをしてアリスが口を開く

「あなたは全属性の魔法が使えるわ」

え?
しばらくポカンと口を開けたままになる

「アリス!この子は現皇帝をも超える天才かもしれないわ!!!」

「ええ!さすが私の子よ!!!」

そういうと2人は飛び跳ねながら抱き合った
んんん?
私もしかしてやったのか?




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