異世界転生って、まだ死なせてくれないんですか?〜老衰から誕生へ〜

真木 輝

第1章 第1話 新世界

《魔法歴628年》風の国ウィングブルク
あの出来事から早5年が経った
その5年で分かったことがいくつかある
私の名前はアース・ラインハルトだということ、5歳で誕生日は12月1日、私アースの容姿はそれなりに美形だということ、髪は黒色で赤髪のメッシュが入っていること、ラインハルト家は一級貴族だということ、両親は美男美女だということ、この世界では日本語が通じるということ、そして私は異世界転生してしまったということだ。
ひ孫たちの見ていたアニメでは異世界転生は大体が若き頃に事故死して起こるはずだったが、まさかこの歳で転生するとは

「アース!アース!」

ゴンゴンと階段を登り、ドアを力強く開いてきたのはこの世界での私の父 アーク・ラインハルトだ
私の名前はアークからきているという
紛らわしいにも程がある
いっそジロウ・ラインハルトと改名したいほどだ

「アース、また魔法書を読んでいるのか、昔から本当に本が好きだな」

こんな粗っぽいアークだが一級貴族ラインハルト家の当主であり、一応八帝国騎士団の副団長らしい。

「アース!今日はお父さんとの約束の剣の特訓の日だぞ!」

言い忘れていたがアークは脳筋というやつだ、ものすごく単調で頭が悪い
しかし一応一級貴族だ社交辞令やマナーなどはしっかりしている

「父さん今いいところだからもう少し待ってよ」

今いいところなんだ待ってくれアークよ

「ダメだ!早く行くぞ!!!」

そういってアークは私のことをひょいっと担ぎ出した、ほんとにどこまでも真っ直ぐすぎる父親だ
階段を降り庭に出るとアークは私を地面に下ろした

「あら、アース、あなた、また剣の特訓?」

庭で花たちに水をやりながら話しかけてきたのはこの世界での私の母、アリス・ラインハルトだ
一言で言おう美人だ
よく脳筋のアークに結婚できたものだ
まぁアークもそこそこ皇民の女性には人気があるらしいが

「そうそう!やはりアースは俺のような屈強な騎士になってもらわないとな!」

「あらあら、魔法士でもいいじゃない」

大事なことを言い忘れていたようだ
この世界には魔法というものがある
そしてアリスは引退した身ではあるが元八帝国魔法士団の一級魔法士だ
つまりそれなりのエリート家系にうまれてしまったのだ

「いや!男は騎士だろう!!!」

「男は騎士という考え方は古いのよ?今は男の子も魔法士の時代よ」

また始まってしまった
この2人はいつも私を騎士にするか魔法士にするかで揉めているのだ
そして大体・・・

「ああいいさ、なら決闘で決めようじゃないか」

「あらあら、昔ボコボコにされたのを忘れたの?」

そう決闘で決めようとするのだ
この2人が戦ってしまっては家が潰れてしまう
ここはめんどくさいが私が止めるしかない

「お父さん、お母さん喧嘩はダメだよ・・・」

「「アースは黙ってて!!!」」

ひぃっ
こわいこわい
圧だけで泣きそうだ

「わ、わかったから、僕騎士にも魔法士にもなるから!!!」

お決まりのセリフだ

「いつもいっているが、アースそれは無理だ」

「そうよアース、そんなことができるの1人しか聞いたことがないわ」

1人いるじゃないか
無理なんて決めるもんじゃない

「なら僕絶対なるから!そのために頑張るから!!」

そういうと2人の喧嘩は収まったようだ
ふぅ
やっと一息だしかし・・・

「ならこれからはお父さんと剣の特訓をもっとやるぞ!」

「アース、私とも魔法の練習ハードにするわよ!」

しまった・・・
火をつけてしまったようだ・・・

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