『のあ』の記録

ばるばろっさ

3

海王星の近くにきたとき


レイジ「わぁー。きっれいだなぁー」
ノリリ「……能天気ねぇ」
海王星。
一つ前の惑星、天王星と同じく、青色のガス惑星である。
レイジはその鮮やかな青の惑星に見とれていた。
一方でノリリの目はまるで興の覚めたかのように冷ややかであった。
“がっかりした”とでも言いたそうにしている。
ノリリ「いい?
あの惑星はねぇ、わたしら人間にとっちゃ死の惑星なのよ。
見かけにだまされちゃ、いけないのよ」
実際、この星には人間が住むことは出来ない。
しかし、レイジは別の視点でこの海王星を見ているようであった。
レイジ「でもさ、この星がきれいなのも、本当でしょ?」


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冥王星の近くに来た時


冥王星。
“かつては”太陽系の惑星の一つだった惑星である。
現実でも、年代物のSF作品の設定にその事を知ることができる。


レイジ「今までの星とくらべると、なんかちっちゃいね」
ノリリ「そーだよ。それが何か?」
レイジ「“太陽系の天体”っていうお星様の一つなのにこんなにちっちゃいんだなぁ、って思って」
ノリリ「あっ、へー。
そーゆーこと言う?
バカだねぇ!」
レイジ「?
なにが?」
ノリリ「ありゃ腐っても“惑星”じゃないんだよなぁ!
“準惑星”だよ!
はい間違えましたわー」
レイジ「(しょぼん)」


レイジの“しょぼん”な表情に申し訳なさを感じたのか、ノリリはすぐにこう付け足す。


ノリリ「……ってね、昔、ハイスクールの頃バカにされてね。
ただの、勘違いなんだ。
そん時見てたSFが結構古いやつだったし。
そんだけのことなんだ、そんだけの……」


この会話には、少し変なところがある。
細かい話になるが、レイジは“冥王星は惑星だ”とは一言も言っていない。にも関わらず、ノリリはレイジが“冥王星は惑星だと勘違いしている”と勘違いしてしまっている。
優秀な彼女らしくないことだ。
ノリリは類い稀に優秀な成績を修め続けてきた。
その彼女がなぜ、このようなことにいちいち過剰に反応するのか。
先にも書いた、彼女はSF好きであったことと関係がある。
彼女はハイスクールの頃までは大のSF好きだった。
ハイスクール……つまり彼女が高校生だった頃。
いつの時代と言いうほどの事ではないが、その頃すでに冥王星は、
“準惑星”であると変更され、それが常識とされていた。
しかし、彼女が夢中になっていたSFはまだ冥王星が“惑星”であるとされていた頃のものだったのだ。
たまたまSFに夢中になっていたあの頃。
“あの頃の”ある時、ノリリは“冥王星と言う惑星”と口にした。
それを、彼女をやっかんでいたクラスメートが揚げ足をとる形で、彼女をからかったのだ。
非常に繊細な心の持ち主であった彼女はこれを気に病んだ。
これが、ノリリのトラウマ。
過剰反応した原因である。


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