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アビシニアンと狡猾狐

篠原皐月

第14話 救出劇

 軽いノックの後、案内役の行員の背後から現れた人物を見て、和臣は意外そうな顔になった。対する弘樹もすぐに和臣を認め、周囲の人間に会釈しながらまっすぐ彼の元にやって来る。
「遠藤さん? どうしてこちらに?」
「こちらに向かうパトカーに便乗させて貰いました。一応勤務中に発生した事態なので、社としても何かあった場合の補償の問題で、直属の上司の俺が出向く様に上から指示が出たんです。すみません、捜査の邪魔はしませんので」
「いえ、構いません。どうぞ」
 神妙に頭を下げた弘樹の立場は十分理解できた和臣は、早速室内にいた捜査の責任者に彼を引き合わせ、同席する旨の了承を取った。そして二人で壁際に離れてから、弘樹が声を潜めて問いを発する。


「それでその後の進展は? 身代金の要求があったと聞きましたが、受け渡しの準備とかは」
「電話はまだありませんが、受け渡し云々は関係ありません」
「どうしてです?」
 不思議そうに問い返した弘樹に、和臣は忌々しげに説明した。
「犯人は『融資をした事にして、自分の口座に五千万振り込め』と言ってきました」
「なるほど。それならリスクの高い、金の受け渡しをしなくて済むか。いや~、頭の良い犯人だな~。……って、ちょっと待って下さい。五千万の融資なんて、一行員が小手先の操作でできませんよね? 第一、色々書類を作成したり揃える必要があるでしょうし、記名捺印までどう誤魔化せと?」
 うっかり感心しかけたものの、すぐに穴だらけの計画なのが分かった弘樹は呆れながら問い返したが、和臣は益々怒りを露わにしながら吐き捨てた。
「全く荒唐無稽です。銀行内でどれだけチェックを入れているかの、判断すら付かないらしい。どう考えてもまともな判断力を無くしている様で、余計に何をするか分からなくて危険です」
「それはそうですね」
 弘樹も難しい顔になって相槌を打ったが、ふと気になっていた事を思い出した。


「ところで、どうして荒川の奴が狙われたんです? 君島さんがあいつにアプローチ中なのは知ってますが、まだ付き合ってませんよね?」
「…………」
 途端に和臣が黙り込み、その場の空気が重くなった為、弘樹は慌てて弁解した。
「あ、いや……。妹である綾乃ちゃんが狙われたなら分かりますが、どうしてかなと。すみません。ちょっとした好奇心からの質問でしたので、無視して下さい」
「偶々……、彼女からリクエストがあった焼き鳥を食べに行った先で、犯人に絡まれました」
 ボソッと説明された内容を聞いた弘樹は、それだけで殆ど真実に近い内容を導き出した。
「……何となく分かりました。そこで何か犯人と揉めて、偶々一緒に居た荒川を犯人が君島さんの彼女だと誤解した、と」
「仰る通りです」
 溜め息を吐いて肯定した和臣を見て、弘樹はうんざりした表情になった。


「荒川、無茶苦茶怒ってるな……。寧ろ怖がって泣いててくれた方が、犯人を刺激しないかも」
「怖い想像をさせないで下さい、遠藤さん」
「すみません。でも君島さんの顔も十分怖いですから、リラックスリラックス。いい男が台無しですよ?」
「…………」
 そう言いながら弘樹は笑顔で両手を伸ばし、和臣の両頬を摘んで左右に引っ張った。
 端から見るとかなり間抜けな顔になった和臣が驚いた様に両目を瞬かせたが、弘樹が手を離してから頬を手で軽くさすりつつ、しみじみとした口調で述べる。


「遠藤さん。彼女があなたについて色々評していましたが、何となくそれが実感できました」
「へぇ? あいつ、どんな風に言ってました?」
「それは……」
 興味津々と言った顔付きの弘樹に和臣が苦笑しながら説明しようとしたところで、机の上に置かれていた内線電話が呼び出し音を鳴り響かせた。と同時に、室内全員の顔が瞬時に引き締まる。そして一人の捜査員が受話器を取り上げた。


「はい、会議室です」
「君島さんに外線です。三番を取って下さい」
「発信者番号は分かりますか?」
「先程君島さんにかかって来た携帯番号と同一です」
「分かりました」
 スピーカー設定になっている電話での、捜査員のやり取りを聞いて、室内の緊張度が更に増した。


「君島さん! 出て下さい。湯村からです」
「くれぐれも犯人を刺激しない様に」
「分かりました」
 捜査員に軽く頷いた和臣は、受話器を受け取って静かに三番のボタンを押し、電話の向こうに普段の口調で話しかけた。


「……お待たせしました。君島です」
「ああ、随分待たせてくれたじゃねぇか。それで? もうそろそろ振り込みの手続きは済んだよな?」
 その余裕綽々の口振りに、和臣が無意識に眉を寄せた。そして低い声で何事かを呟く。
「……が、……」
「あぁ? 何だ? 良く聞こえねぇなぁ?」
 電話の向こうで問い返して来たが、室内の者達も和臣の発言を聞き損ね、怪訝な顔を向けた。しかし次の瞬間、和臣がきっぱりと言い切った内容を聞いて蒼白になる。


「『そんな事ができるか、ボケ』と言ったんだ。この間抜け」
「……は?」
「ちょっ……、君島さん!?」
「何を言ってるんです!」
 電話の向こうで湯村が絶句したが、捜査員達も揃って動揺して和臣を窘めようとした。しかしそれには構わず、和臣は主張を続ける。
「貴様の様な低脳野郎には理解できないかもしれんが、一応教えてやる。それだけの大金、一行員が小手先の操作でそうそう動かせるわけが無い。そこら辺の闇金と一緒にするな。管理状態がそんな穴だらけだと言うのは、青葉銀行全体への侮辱だ。融資して貰いたかったら、納得できる担保と返済計画を提出しに窓口まで来い。話を聞くだけ聞いてやる」
 堂々と言い放った和臣に弘樹はさすがに顔色を無くしたが、電話越しに激しい歯軋りの音が聞こえてから、湯村が唸る様に言ってきた。


「貴様……、この女がどうなっても構わないってのか?」
「彼女を無事に返さなかったら、無事に済まないのは貴様の方だ。豚箱でならたっぷり後悔できるぞ? 良かったな。三食昼寝付きの、静かな別荘だ」
「てめぇ……」
「さあ、どうする? 今詫びを入れて彼女を解放するなら、親父に頼んで事件を綺麗さっぱり無かった事にしてやるが?」
「……君島さん。堂々と裏取引をほのめかさないで下さい」
「我々にも立場が有りますので」
 相手の恫喝にも怯まず、堂々と言い返す和臣に捜査員達は頭を抱えたが、弘樹は思わず拍手しそうになった。しかしここで更に予想外の声が会話に割り込む。


「だから『振り込む筈がない』って言ったのに、とこっとん物分かり悪いわね、あんた」
「何?」
「幸恵さん! 黙ってて」
 はっきりと顔色を変えた和臣が受話器片手に叫んだが、幸恵の勢いは止まらなかった。
「あいつは自分自身と自分の仕事に誇りを持ってる奴よ! 責任と従業員放り出して遁走したあんたとは違うわ。そんな不正をするなんて有り得ないわよ。馬鹿じゃないの?」
「何だと? もう一度言ってみろ!?」
 響いてくる怒声にさすがに和臣は余裕を無くしながら呼び掛け、弘樹は溜め息を吐いて項垂れる。
「幸恵さん! 相手を興奮させないで!」
「荒川……、頭に来てるのは分かるが、少しは状況を考えて発言しろ……」
 しかし電話越しに男達が動揺している事など気にも留めず、幸恵は堂々と宣言した。


「第一、私だって、あいつが捕まって、代わりに会社で開発した特許を渡せって言われても、絶っ対に渡さないわよ! 人でなしと言われても結構! こっちは開発に命かけてんのよ!? 穀潰し元経営者の分際で、サラリーマンを舐めんな!!」
「ふざけんな!! どこまで人を馬鹿にする気だ!」
「幸恵さん!!」
「お前って奴は……、星光文具の社員としては、天晴れな心意気だがな」
 幸恵の剣幕に捜査員が唖然とし、弘樹が本気で頭を抱えたが、ここで幸恵が決定的な台詞を放った。


「大体ね、さっき私に『元の従業員が、金が集められたらまた下で働いても良いと、何人も言ってる』とかほざいたけど、退職金も出さず、再就職の世話もせずに自分だけ逃げた男の下で、誰が好き好んでまた働きたがるのよ。あんたに金が集められないのを見越して、体の良い断り文句を口にしたに決まってるわ。それ位察しなさいよ。部外者の私にだって分かるのに」
「黙れ! 言わせておけばこの女! 金にならないなら殺してやる!!」
 いきなり激昂した湯村の叫びと共に、何かが激しく倒れる音が響いた。それに重なる様にして幸恵の言い返す声と、今まで聞こえなかった女性の泣き声が響き渡る。
「ふざけんじゃないわよ! 自首するなら今のうちよ!」
「あなた! お願いもう止めて! この人の言う通りだから、もう自首して頂戴!」
「うるせぇ!!」
「幸恵さん!?」
 そこで唐突に音声が途絶えた為、和臣は慌てて呼び掛けたが、やはり通話が切れた状態になっていた。そこで机上の電話に着信があり、それに応答した捜査員がメモを取ると同時に、周囲の者達に口頭で伝える。


「携帯会社から連絡が来ました! 犯人の携帯の発信先は、足立区清川三丁目基地局から、半径800m圏内です!」
「くそ、やっぱりそこら辺までしか分からんか」
「すぐにそこの管轄に応援要請を」
「上出来だ!」
 忌々しげな捜査員とは裏腹に、何故か和臣はその地名を聞いて満足そうに叫んだ。そしてハンズフリー機能のままのスマホを操作して、相手が応答するやいなや時間を無駄にせず呼びかける。


「青山! 発信元は足立区清川三丁目基地局から半径800m圏内だ。全員急行させて、特に貸店舗や廃屋の類を重点的に探索。路地の一本一本までしらみつぶしに探せ。反応が有ったら、二組揃ったらすぐに踏み込め! かなり切迫した状況だ」
「了解。私の待機位置からは、一分程度で該当エリアに入ります。詳細は後程」
「頼む」
 短く会話を終わらせた和臣は、何が起きているか分からない室内の面々に向かって、軽く頭を下げた。


「それでは俺は現場に向かいますので、失礼します」
「ちょっと待った、君島さん! さっきの電話は何ですか? それに誰を動かすって言うんです?」
 あっさりと部屋を出て行こうとした和臣を、比較的ドアの近くにいた弘樹が捕まえて問いただすと、和臣は淡々と事情を説明し始めた。


「実は俺の周囲を探っている人間の存在を感じた時点で、念の為彼女に知らせないまま発信機を持ち歩く様にさせました。今回脅迫電話があってから、急遽それから出る特殊な電波を受信できる装置を持たせて、契約している警備会社の人間を二人一組で十五組、湯村の生活圏内に配置させたんです」
「生活圏内って……、何でそんな事分かるんです?」
「可能性のある何人かの身辺調査をしたら、湯村は破産後に転居していましたが、引っ越し業者から転居先を聞き出しておいたんです。先程の番地は、そこから徒歩二・三十分と言う所です」
「……個人情報保護法って何なんですかね?」
 どうやら君島代議士辺りが超法規的措置を取ったらしいと察した弘樹は、思わず遠い目をしてしまったが、すっかり蚊帳の外に置かれていた捜査員達は揃って血相を変えた。


「君島さん! そう言う事は最初に言って下さい!」
「現場が混乱します! 第一、犯人を確保するのは我々警察の役目で!」
「すみません、湯村が狙い通りに住居近辺で彼女を監禁しているかどうか、確証が無かった上に、彼女に持たせたのがサイズの都合上GPS機能の物では無く、障害物無しで100m、壁を挟むと20m程度の範囲内でしか電波を探知できなくなる代物で、確実性に不安があったので。ですが大丈夫です。現場に踏み込ませますが、死なない程度に痛めつけて動かない様にしてから、警察に引き渡しますから」
 真顔でそんな事を言い切った和臣に、捜査員達は何か言おうとして黙り込み、結局何か苦い物でも飲み込んだ表情をしてから慌ただしく動き出した。
「とにかく、連絡員だけ残して我々も行くぞ!」
「管轄署に応援要請は出したか? 近隣に居るパトカーを急行させろ!」
 青葉銀行内の会議室が喧騒に包まれていた頃、つい先程まで非友好的な会話が交わされていた場所では、会議室以上に緊迫した状況になっていた。


「邪魔するな! この女、殺してやる!」
「お願いもう止めて! あなた、早く逃げて!!」
(どうせだったらガムテープを剥がして欲しかったけど、贅沢は言えないわね)
 連れ去る時運転手役をやっていた湯村の妻が、ナイフを振りかざした夫の腕に取り縋り、何とか動きを封じながら必死の面持ち幸恵に向かって叫び、その様子を見た幸恵は呆然と眺める様な真似はせず、勢いよく立ち上がって後ろ手に縛られたまま部屋の隅のドアへと走った。


「全く。結構騒いでるのに、外に聞こえていないの? この建物、元々修理工場っぽいから住宅が隣接していないか、構造上あまり外に音が漏れないのかもしれないけど」
 悪態を吐きながらドアに背中を向け、自由の利かない手でドアロックを外そうとしていると、少し離れた所で勢いよく湯村が妻を振り払い、突き飛ばした。
「くっ、ロックが外れない」
「邪魔だ! どけぇぇっ!!」
「きゃあっ! ぐうっ……」
 そして倒れた妻に一瞥もくれずに湯村がゆっくりと幸恵に向かって歩き始めたが、床に倒れ込んだ女性がピクリとも動かないのを見て、幸恵は顔色を変えた。


「……ちょっと。奥さん、起き上がらないわよ?」
「それがどうした」
「どうした、じゃないでしょう!? 打ち所が悪かったかもしれないわ。早く救急車を呼んで、搬送して貰わないと!」
「お前を殺してからな。ひと思いに殺すのも勿体無い。じわじわと殴り殺してやるぞ!」
 吐き捨てる様にそう言った湯村はナイフを放り出し、壁際に転がっていた握るのに手頃な太さの鉄パイプを持ち上げながら、狂気を含んだ視線を幸恵に合わせた。それを真正面から受け止める羽目になった幸恵は、さすがに内心でたじろぐ。


(さすがに言い過ぎたとは、自分でも思うけどね……。だってこいつがあんまり自分勝手な事ほざきまくるんだもの。挙げ句の果て、嫌々ながら誘拐の片棒担いだ奥さんを放置って、どこまで性根の腐った野郎なの!? 悔しい! 両手が自由なら絶対殴ってやるのに!!)
 この状況でも反撃を諦め切れない幸恵だったが、さすがにじりじりと後退りしてドア近くまで下がった時、いきなり背後で物音が生じた。


「幸恵さん、そこに居ますか!」
「……何!?」
「は、はいっ!」
 勢いよく金属製のドアを叩きながらの叫び声に、湯村同様動揺しながら幸恵は叫び返した。するとドアの向こうから、先程より幾らか声量を下げた指示が飛ぶ。
「できるだけドアから離れて、体を低くしていて下さい。今から破ります」
(破りますって…)
 咄嗟に内容を理解できなかったものの、幸恵は湯村からなるべく距離を取りつつ、壁際に沿ってドアからもなるべく離れてみた。するとドアに激しい衝撃音が響く。


「え? 何?」
「あぁ?」
 思わず二人で呆然とドアの様子を眺めると、一撃目でドアノブの上部が僅かにへこみ、二撃目で何かが廊下に落ちる音がしたと思ったら、廊下側から棒状の物で勢いよく突かれた様にドアノブが外れて中途半端にドアにぶら下がり、次の打撃音と共に勢いよくドアが蹴破られた。続いて揃いの紺の制服に身を固めた男が三人、それぞれ異なる物を手にしながら中に踏み込んで来る。
 その中の一人が太い筒状の物を肩に担いで何やら操作すると、湯村に向かって何かが発射され、呆然としている湯村の前で綺麗に広がり、彼の身体を絡め取った。


「うわぁっ! 何だこりゃあ、離せ!!」
「えっと……、あれって、投網?」
 網が絡まった湯村を特殊警棒らしきもので的確に打ち据え、手際よく縛り上げていく男達を呆然と眺めていると、一人だけ仕立ての良いスーツを着た三十代半ばに見える男が、幸恵の手首のガムテープを外しながら自己紹介してきた。
「荒川幸恵さんですね? 君島東志郎代議士私設第一秘書の青山と申します。初めまして。お怪我はありませんか?」
「私は軽い痣と火傷程度なので、取り敢えずあの女性を搬送して貰えませんか? 共犯者なんですけど、犯人に突き飛ばされて倒れた拍子に頭を打ったきり動かないんです」
 まだ手が後ろに回った状態の為視線で青山に訴えると、心得た様に頷いた。
「分かりました、すぐに手配します」
 そしてガムテープを剥がし終わり、早速救急車を手配し終わった青山の前で、幸恵は無言で床にへたり込んだ。その為青山が慌てて屈んで幸恵に声をかける。


「幸恵さん。やはりどこか具合でも?」
「……今頃になって、腰が抜けました」
 一気に力も抜けた感じで小さく幸恵が告げると、青山は一瞬笑いたそうな表情になってから、真面目な顔でスーツの上着を脱ぎ、それをコンクリートの床に敷いて幸恵に指し示した。
「こちらに座って下さい。コンクリートに直に座ると、身体を冷やしますから」
「すみません。ありがとうございます」
 普段なら「人の服の上になんか座れません!」と固辞する幸恵だったが、色々な事が有り過ぎて一時的に判断力が麻痺しており、大人しくジャケットの上に座り込んだ。そして最大の疑問を口にする。


「どうしてここが分かったんですか?」
「それが、その……、和臣に頼まれて、極小サイズのお守りをあなたに持って貰っていまして……」
 困った様に言葉を濁した青山に、幸恵が顔を強張らせつつブラウスの下からペンダントを取り出して見せた。
「それってこれ、ですよね」
「ええ。……ああ、警察が来ましたね。取り敢えず怪我の手当てをして貰って、署で事情聴取になると思います。私達はこの付近を通りかかった時に、偶々助けを求める声を聞いて偶々開いていたドアから飛び込んだ一般市民で、偶々誘拐犯と遭遇して、正当防衛で相手の動きを封じただけですので」
「はい?」
「私達に関しては、そういう事にしておいて下さい。色々ありますので」
 何やらサイレンと共に外が騒がしくなったのを認めた青山が、平然とそんな事を言ってから、何ら恥じる事無く清々しく笑いかけてきた為、幸恵は思わず呆れ気味に呟いた。


「秘書のお仕事って……、大変なんですね」
「これ位、まだまだ序の口です」
「ご苦労様です」
 そして本心から頭を下げた幸恵に再度微笑んでから、青山は和臣に連絡を入れるべく、内ポケットから自身の携帯を取り出したのだった。



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