アビシニアンと狡猾狐

篠原皐月

第4話 打算と本心

 久しぶりに下の息子から呼び出しを受けた君島東志郎は、私設秘書一人を伴っただけで指定された料亭を訪れた。そして座敷で待ち構えていた息子と差し向かいで飲み始めると、和臣が父親に酌をしながら唐突に言い出す。
「親父、俺、結婚しようと思う」
「ほう? フラフラしていたお前が身を固める気になったのは、随分めでたい事だな」
 その台詞に、君島は片方の眉を上げて盃を座卓に置き、その代わりにお銚子を持ち上げた。その意を汲んだ和臣が、今度は自分の盃を手にして父親に向けて差し出す。すると君島が、幾分機嫌良く息子に酌をしながら問いかけた。


「それで? お前の結婚相手は誰なんだ?」
「荒川幸恵さん」
「…………」
「親父、零れてる」
「……おう」
 和臣が淡々と幸恵の名前を口にした途端、夢にも思っていなかった名前を聞かされた君島は表情を消して固まり、傾けたままのお銚子から盃へと注がれた酒がダラダラと座卓に零れ落ちる。それを息子に指摘されると、無言のままおしぼりで零れた所を拭き始めた。


(うん、自分に非がある時は人任せにしない所は、さすが親父だよな)
 密かに父親に対する尊敬の念を新たにしながら和臣がテーブルを拭いている君島を眺めていると、部屋の隅に正座して大人しく控えていた秘書の青山が、全くめでたくなさそうな表情で淡々と祝いの言葉を口にした。


「それはおめでとうございます。ですが君島家の世間体と先生のスケジュールの問題がありますので、可能であればデキ婚と選挙期間中の挙式披露宴だけは回避して下さい。後はどうとでもなりますので、お二人のお好きになさって下さって結構です」
「……親父の私設第一秘書が、すこぶる優秀で嬉しいですよ、青山さん」
「恐れ入ります」
 軽く皮肉交じりに返しても、相手は動じることなく軽く会釈してくる。そして律儀に座卓を綺麗にしてから君島が和臣を問い質した。


「和臣。お前、いつの間に幸恵さんと婚約したんだ? 今まで彼女と付き合っている云々の話を、俺は全く聞いていなかったんだが」
 些か腹を立てながらの君島の問いかけに、和臣がけろりとして言い返す。
「ああ、だってまだ付き合ってないし」
「は?」
「現在進行形で、口説いているところだから」
「…………」
 そんな事を言われてしまった君島は、次男の破天荒ぶりに思わず無言で頭を抱えた。すると負けず劣らず呆れた声で、青山が口を挟んでくる。


「何アホな事言ってんだ! と、叱りつけたい所だが……。相手が彼女なら本気だな、お前」
 急に口調を変えて確認を入れてきた兄の幼馴染に、和臣はふと懐かしさを覚え、昔呼びかけていた名称で呼びかけつつ問い返した。
「今の台詞、どういう意味か分かんないけど? よっちゃん」
「よっちゃん言うな! 彼女と結婚しても、君島家には何のメリットも無いからだ」
「益々意味不明」
 あくまでしらばっくれようとした和臣だったが、君島が近い将来地盤を息子に譲り渡す時の布石として、スタッフの若返りを図って自分の私設第一秘書に取り立てた、有能な兄の幼馴染の目を誤魔化す事は不可能だった。


「今までお前、色々なツテを介して、君島家の後援を期待できる筋の女性とばかり付き合ってたよな。その挙句、全員見事に向こうからお前を振る形に持ち込んで、その度にこちらの面目を潰したと感じたり申し訳なく思ったその方面からの、先生や篤志への支援をがっつり確保って流れだったじゃねぇか!」
「はは……、やっぱり分かってたんだ」
 これまでの自分の女性遍歴の秘められた側面をしっかり把握されていた事に、和臣は苦笑いして軽く頭を掻いた。それに憤然として青山が話を続ける。


「それ位、篤志の奴だって分かってるぞ。口にはしないだけで『余計な事しやがって』と、相当向かっ腹立ててる事だけ覚えておけ」
「肝に銘じておきます」
 取り敢えず和臣が神妙に頷いた事で良しとしたのか、青山は表情を改め興味津々で質問を繰り出した。


「それで? お前、いつから彼女に惚れてんだ? 例の『安芸の虎殺し事件』で初めて顔を合わせた時からか?」
「…………」
「青山さん……、親父は蹴り倒されただけで死んでないから」
 無遠慮な秘書の言葉に君島は憮然となり、和臣は疲れた様に溜め息を吐いて指摘する。しかし青山は真顔で話を続けた。


「いや、だけど、先生を蹴り倒した人間なんて、後にも先にもその女性だけだろ? 噂に尾鰭背鰭が付いて、議員秘書の間ではもはや伝説になってるぞ?」
「親父、今の話本当か?」
「…………」
 和臣が思わず眉を顰めて父親を見やると、君島は目を逸らしつつ無言で肯定する。それを確認した和臣は、思わず片手で額を押さえた。


「頼むから勘弁してくれ。そうでなくても彼女、あの一件以来、実家の周囲で『虎殺し幸恵』って二つ名でからかわれたり敬遠されたりして、かなり意固地な性格になったんだから。さっき言った事、本人には絶対内緒で頼む。耳に入れたら激怒する事確実だ」
「彼女の自業自得の面は有るが……、確かに妙齢の女性に対する名称としては不適切だな。分かった。こちらからは漏らさない様にしておこう。それで?」
 話をうやむやにするつもりは無かった青山が、取り敢えず和臣の主張に頷きつつも話の続きを促す。和臣も変に誤魔化すつもりはなく、再び静かに話し出した。


「確かに荒川のお祖母さんの四十九日での出会いはインパクトあったな。親父に真っ向から刃向かう人間なんて初めて見たし」
「確かに衝撃的だろうな。お前が全身泥まみれになったのも、その時が初めてだろうし」
「初めてと言うか、その時だけだよ。そして、この子は俺が守ってあげなくちゃと初めて思ったんだ」
「はぁ? お前、泥をぶっかけられて何言ってんだ? 変な方向に目覚めたわけじゃあるまいし」
 青山が呆れ声で問いかけると、流石に和臣が苦笑した。


「泥をかけられた後、びっくりして固まって彼女を見てたんだ。そしたら彼女、直前まで凄い怒った顔をしてたのに、俺と目が合った瞬間『しまった』って顔になって。次に『どうしよう』って動揺して、泣きそうな顔になってた。そして俺に謝ろうとしてたんだよ」
「本当か? 篤志から聞いた話とは随分違うが?」
 如何にも疑わしそうに口を挟んだ青山に、和臣が苦笑を深くする。
「主観の違いってやつだよ。もう兄貴その時キレまくって、謝罪しようとした幸恵さんを罵倒したから。それで幸恵さんも引っ込みがつかなくなって、余計に楯突いて益々暴走しちゃったし」
「それで大の大人を蹴りつけて押し倒すってか? 大した暴れ馬だな」
「火事場の馬鹿力って凄いよね」
「笑い事じゃないぞ」
 思わず渋い顔をした青山に、和臣は笑いを消して続けた。


「確かに彼女のした事は誉められる事じゃない。だけどあの時、兄貴は本気で彼女に手を上げる気だったんだ。あの兄貴が本気でそんな事をしたら、絶対彼女が怪我をする。そんな事になったら完全に母さんと実家の縁も切れると思って、必死で兄貴の服を掴んで引き止めたんだ。あの時、俺初めて『本気』になったかもしれない。でもちゃんと彼女に謝らせてあげる事ができなくて、周りから随分咎められてたみたいだった」
「お前、小さい頃から妙に要領良かったからな。六歳で初めて本気に出したって、妙に納得できるな。それで惚れたと?」
 疲れた様に溜め息を吐いた青山だったが、和臣は小さく笑っただけで話を続けた。


「俺、自虐趣味は無いから。別にそれで惚れたって訳じゃないんだ。それからは家の中で荒川家の話題なんか全然出ないし、俺も忘れかけてたんだけど、何年かして綾乃と一緒に砂遊びをしていた時に、彼女の事を思い出したんだ」
「何で綾乃ちゃんと遊んでいる時に?」
 思わず怪訝な顔をした青山だったが、和臣は平然とその理由を告げた。


「綾乃と泥団子を作ってた時、綾乃が欲張ってバケツの水の中に砂を入れ過ぎて固まってしまって、シャベルで掻き出す羽目になったんだ。それで俺が被った泥水の、土と水の配合比率はどれ位だったのかふと疑問に思って。薄いと容易にかけられるけど、上澄みだけで服に土は付かないだろ?」
「……何を疑問に思っているんだお前は?」
 真顔で青山に同意を求めた和臣に、青山に代わったこれまで黙って話を聞いていた君島が、呆れた様に口を挟む。それに小さく肩を竦めて和臣は話を進めた。
「気になってしまったものは仕方ないだろう? それで半ば綾乃をほっぽりだして、色々配合比率を変えてちょうど良い感じの泥水を作ってみたんだ。だけどかき混ぜてから暫く放置すると、どうしても水と砂で層に分かれてね。ちょっと感心した」
「なぜそこで感心する」
「だから幸恵さん、発作的に泥水を作ってぶちまけたわけじゃなくて、多分前日以前からどれ位の濃さで泥水を作れば良いか試作してみて、俺達が来る直前までバケツの中身をかき混ぜながら待ち構えてたんだよ。努力家の上、健気だなと思って」
(それは努力家で健気と言うより、寧ろ執念深いと言わないか? こいつ、大丈夫か?)
 真顔で同意を求められた君島と青山は密かにそんな事を思ったが、何も言わなくても表情で伝わったらしく、和臣は少し困った顔になった。


「まあ、俺の意見が世間一般的な物で無いのは分かってるよ。それから何となく気になって、親父が荒川家を調べさせてた興信所の報告書を、時々盗み読みする様になったんだけど」
「お前、そんな事をしてたのか」
 思わず渋面になった君島に、和臣がすかさず詫びを入れる。


「それに関しては謝るよ。ごめん。親父は荒川家で何か困った事態があったら力を貸す為に調査させてたのは分かってたし、勿論内容については誰にも口外していないから」
「当たり前だ」
 君島が憮然とした顔で(保管場所を変えんといかんな)と考え始めると、和臣は多少居心地悪そうに続けた。


「それで幸恵さんの事も色々把握してたんだけど、彼女かなり気の強い女性になってて。例の一件が結構後を引いたらしいけど」
「まあ、そうだろうな。結局、先生とお前が荒川家の人達と和解した後も、家族が無理に会わせなかった位だし」
 さもありなんと言う感じで青山が相槌を打つと、和臣は苦笑いした。


「気の強さが災いして、恋人とも長続きしないみたいで。正直ちょっと相手にムカついてたんだ。どうして彼女の良さをもっと分かってやれないのかって」
「お前だって、彼女の良さが分かっているとは言えんだろ」
 不思議そうに青山が口を挟んだが、和臣は冷静に言い返した。


「少しは分かってると思うけど。犬が好きで休日に良くペットショップのウィンドーを眺めてるけど、一人暮らしで構ってあげられないから敢えて飼わない事や、ああ見えて子供に好かれるタイプの上子供好きで、大学生の頃近所の図書館でボランティアスタッフになって子供の読み聞かせやイベントに参加してた事や、電車やバスの中でお年寄りや妊婦が乗って来ると、率先して席を譲ったりする事や、デパートで買い物の最中、迷子に遭遇した時には」
「ちょっと待て、和臣」
 立て板に水の和臣の話を、青山が幾分強張った顔付きで遮る。それに怪訝な顔をして和臣が応じた。


「何です?」
「お前、今言った内容は、全部興信所の報告書に書いてあったのか?」
「まさか。俺が直接見て知ってるだけですが、それが何か?」
(こいつ、いつからストーキングしてんだよ……)
 そこで青山は頭痛を覚えたが、和臣はそんな内心を読んで苦笑いした。


「以前は好きだとか何とかは自覚してなくて、昔ちゃんと彼女を庇ってあげられなかった代わりに、困った事があったら今度は助けてあげようって位の心境だったんだ。だからその頃、ちゃんと家を後押ししてくれそうな人物の娘や孫や姪ばかりと付き合ってたし」
「そうだったよな。薄々は分かってるが、お前が何でそんな事してたか、この際きちんと聞かせて貰おうか」
 自分が持ち出した話題を思い出して眉を寄せた青山に、和臣は困った様に告げた。


「兄貴に正直に言ったら激怒する事確実だから口が避けても言わないけど、兄貴昔から義姉さん一筋だったじゃないか。傍目には殆ど分からなかったけど」
「まあ、確かにな……。それで?」
「でも義姉さんの実家なんて無いし、勿論係累からの後押しなんて皆無だろ。しかもあの兄貴でも良いって言ってた、高杉の令嬢をこっぴどく振っちまうし」
「……あれは確かにまずかったな。だけどあんな性格ブスを、篤志の嫁にさせられるかよ」
「だけどあの一件で、県内の労組関係、こぞって『君島』の後援から手を引きかけたのは事実だろ?」
「…………」
 言葉を重ねた和臣に、青山が苦々しい表情になって黙り込む。そこで和臣が溜め息を吐いてから言葉を継いだ。


「その頃にちょっと思い出したんだよ。島崎さんが親父を強力に推してくれる様になったきっかけ」
「島崎氏?」
 今現在、君島の有力な後援者の一人でもある企業家の名前が出てきた為、青山は戸惑った顔になった。しかしそれで話の筋が読めた君島は、険しい表情になる。和臣はそれが分かったが、構わず話を続けた。


「綾乃が小学生の頃、島崎さんの息子と綾乃が同級生でね。多分あのガキ綾乃の事が好きで、しょっちゅうちょっかい出してたんだ。それで時々綾乃が泣いて帰ってきてたんだけど、ある時それがやり過ぎて綾乃が転んで、顔に盛大な擦り傷を作って血だらけになって泣いて帰って来てね。家中大騒ぎになったんだ」
「そりゃあなるだろうなぁ……。篤志が黙っちゃいないだろ」
 思わず遠い目をしてしまった青山に、和臣がうんざりとした表情で返す。


「砂利道で押し倒した相手の名前を聞き出すなり飛び出して行ったさ。すぐ後を追って何とか玄関口で取り押さえたけど、島崎さんの家では平謝りで。それがきっかけで親父の後援をしてくれる様になったわけ。それで中学生だった俺は、ぼんやりと思ったんだよ。弱みを握って脅して協力させるのも有りだけど、向こうに引け目を作らせて自主的に協力してもらう方がスマートだなぁと」
「和臣!! 確かに島崎さんとはあれがきっかけで顔を合わせる事になったが、彼は変に引け目を感じて俺を推してくれている訳では無い! ちゃんと腹を割って話した上で、俺の主義主張に賛同してくれているだけだ。今の話は俺と彼に対する侮辱だ!」
 息子の話を聞いて君島は激しく怒鳴りつけたが、和臣は父親が怒るのは分かっていた為、素直に頭を下げた。


「気に障ったのなら謝る。勿論、島崎さんに他に含む所が無いのは、今だったら分かる。だけど昔の俺はそんな風に思って、それが頭の片隅に残ってたんだ」
「それで、篤志の代わりに有力な後援者に繋がる様な女性と付き合ってみようかと? しかもすぐに一人に決めず、次々振られて先方に引け目を感じさせれば、君島への後援を幾つも引き出せると? 呆れて物が言えんな」
 和臣の言葉を先取りし、心底呆れかえった青山に、和臣は幾分困った様に返した。


「取り敢えず、深入りされても困るししたくも無いから、そこそこ大人の付き合いができる相手を厳選して付き合ってみたんだ。でも女性を弄ぶつもりは毛頭無かったし、もしそれで相手に本気になれればちゃんと結婚するつもりでいたんだ。だけど他に適当な相手を見繕って、その男をこっそり近付けてみたら、見事に全員そっちに靡いて、俺はフラレ男街道驀進中なわけ」
 そこで青山が、冷め切った表情で突っ込みを入れた。


「お前……、容姿も学歴も家柄も稼ぎも文句の付けようが無いのに、女からするとよほど魅力が無い可哀想な男なんだな」
「うわ……、主家のご子息を全然敬ってないね」
「敬って欲しいなら、それにふさわしい行いをしやがれ! お前が裏心ありありで女を選んでたのは、何となく俺達も分かってたからな。だから君島としてメリットの無い彼女との結婚を言い出したから、本気だと思ったんだよ」
 真面目な口調で幸恵についての話題に戻した青山に、和臣は微かに笑った。


「今まで付き合ってた彼女達には、悪いけどそんなに理解したり守ってあげたいと思った事が無かったんだ。俺じゃなくて他にそれをできる奴が居るんじゃないかって何となく思ってて。現にそうなったわけだけど」
 そこで青山が考え深そうに問い掛けた。


「それは……、お前のそういう考えが、何となく彼女達に伝わってたからじゃないのか?」
「ひょっとしたらそうかもしれない」
「それでお前は、そのどうでも良い女達と付き合ってた間も、しつこく荒川嬢の様子を見てたと?」
「それも否定はしない」
「その挙げ句? やっぱり自分が彼女を守ってやらなきゃ駄目だと思ったと?」
「荒川家で遭遇した時、ご両親からまだ結婚しないのか云々と責められてる彼女を見て、つい『俺が彼女を引き受けます』と言ったんだけど、今までこっそり見てたとは言い辛かったから、つい『マザコンで母に似てるから結婚する』と言ってしまって、彼女に激怒された」
 そう和臣が真顔で告げると室内に沈黙が満ち、次いで慎重に青山が確認を入れてきた。


「……ちょっと待て、和臣。勿論お前、彼女と付き合って無かったんだよな?」
「ああ。だから怒らせた後、真剣に口説き始めたし」
「お前……、どこまで馬鹿なんだ……」
 本気で頭を抱えた青山に、和臣が慰める様に声をかける。
「確かに遠回りしたけど、ちゃんと結婚するから安心してくれ」
「今の話のどこに、安心要素が有るんだ。このど阿呆がっ!! こんな事、篤志の耳に入れられるか!」
 本気で喚いた青山だったが、そこで和臣は思い出した様に父とその秘書を交互に見やった。


「ああ、それを頼むつもりだったんだ。親父に先に話を通しておいたけど、暫く兄貴には黙っていて欲しい。兄貴は未だに彼女を毛嫌いしてるから、口説いている最中に、変な横槍を入れて欲しくないんだ」
 しかし言われた二人は、顔を見合わせて難しい顔をした。


「それは構わんが……、下手に隠し立てはできんぞ? 結婚する気なら尚更だ」
「こちらからは言わないが、聞かれたら正直に言うが、それでも良いか?」
「勿論それで結構です。宜しくお願いします」
 先程までの幾分ふざけた物言いをしていた時の表情とは一変し、畳に両手を付いて殊勝に頭を下げた和臣に、君島は幾分不安そうな顔付きで頷き、青山も諦めた表情でそんな親子を眺めたのだった。





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