その華の名は
(3)油断大敵
「お父様、お母様。戻りました」
ひょんなことからカテリーナが漠然とした不安を抱える事になった、建国記念式典の四日前。彼女は休暇に合わせてほぼひと月ぶりに屋敷に戻ったが、そこで思わぬ事態が発生していた。
「おう、カテリーナ。元気そうでなによりだ」
「お帰りなさい。今日はあなたに良い話があるのよ」
「良い話ですか? どんなお話でしょう」
上機嫌に出迎えてくれた両親に、制服姿のカテリーナは、怪訝な顔でソファーに座りながら尋ねた。すると、全く予想外だった事を告げられる。
「あなたの婚約が決まったの。喜んで頂戴!」
「いや、本当にめでたいな」
「え!?」
驚愕したカテリーナは限界まで目を見開いて絶句したが、そんな娘の戸惑いなど意に介さない様子で、二人は交互に話し出した。
「正直に言うと、カテリーナに関する不愉快な噂が広がった後であるし、こうなったら嫁がないままでも良いかと思っていたのだがな」
「私も、変に条件の悪いところに無理に嫁いで、嫁ぎ先で形見の狭い思いをさせるのは忍びないと思っていたのだけど」
「ちょっと待ってください。縁談が持ち上がったわけではなくて、婚約したというのは、一体どういうことですか!?」
なんとか気を取り直したカテリーナが一足飛びの話の詳細を尋ねると、イーリスが穏やかな口調のまま説明を始める。
「エリーゼが、カモスタット伯爵家からのお話を持ってきてくれたの」
「……お義姉様のご紹介ですか」
もうそれだけで、ろくでもない予感しかしなかったカテリーナだったが、余計な事は言わずに口をつぐんだ。そんな娘には構わず、ジェフリーとイーリスは笑顔のまま話し続ける。
「嫡男のダマール殿は今年二十八になるそうだが、上級貴族には珍しく、いまだに決まった相手がおられないそうでな」
「これまでに随分と勇猛な見た目で損をされていたそうで、見た目に怯えられた何人ものご令嬢から縁談をお断りされてしまったとか」
「確かに眼光鋭いというか威圧感がある面構えであるのは確かだが、そこまで恐怖を覚えるほどの人相ではなかろうに」
「世の中には人を見る目の無いご令嬢が、意外に多くいらっしゃるのね。確かに少々恐ろしげな顔立ちではありますが、殿方の魅力というものは容姿の美醜ではないはずよ?」
「そうだな。男の価値が顔だと言うのなら、その基準で言えば私はとてもお前に選んで貰えなかっただろう」
「まあ、あなたったら」
(ちょっと待ってよ! ダマール・ヴァン・カモスタットといえば、時たま騎士団内で聞くのは悪い噂ばかりよ!? 本当にお義姉様経由だと、ろくでもない縁談しか持ち込まれないわね!)
なごやかに言葉を交わす両親を見ながら、カテリーナは義姉に対する怒りを募らせたが、それをひとまず抑え込みながら声を上げた。
「お父様、お母様、ちょっと待ってください!」
「どうした、カテリーナ?」
「そんなに声を荒らげて、どうしたの?」
不思議そうに声をかけてきた両親に向かって、カテリーナは可能な限り冷静さを保ちながら問いかけた。
「今のお話を伺うと、お父様達はダマール殿に直接お会いしているのですか? これまで我が家とカモスタット伯爵家は公式行事で顔を合わせる程度のことはあったかもしれませんが、私的な交流は無かったと記憶していますが」
そのカテリーナの疑問に、ジェフリーとイーリスが笑顔で答える。
「ああ。それは間違っていない。確かにこれまで、先方との付き合いは殆ど無かった」
「だけど先月に三回お会いして、両家で話が弾んで、トントン拍子に話が纏まったのよ」
「三回!? いつの間に!?」
「お前は先月忙しかったみたいで、屋敷に戻って来なかったからな」
「お茶会に招かれた程度の事を、わざわざ手紙で知らせる必要性はないと思ったし。詳細が決まったら教えるつもりだったの」
「…………そうですか」
(失敗した……。先月は色々バタバタしていて、ジェスラン兄様やお義姉様との嫌みの応酬で神経をすり減らしたくなかったから、家に戻るのを躊躇っていたのよね。すっかり油断していたわ)
あまりの急展開にカテリーナが舌打ちしたいのを堪えていると、イーリスが不思議そうに尋ねてくる。
「カテリーナはダマール殿とお知り合いではないの?」
「ダマール殿は近衛騎士団所属で小隊長だそうだが、騎士団は人数が多いし面識が無くてもおかしくはないがな」
「ええと……。直接の面識はありませんね。複数の隊で合同の仕事をする場合は限られていますし、私の隊は女性王族や賓客の護衛に特化していますから」
「それもそうね」
「ですが……、ダマール殿の噂は、少々耳にした事があります。……あまり良い噂ではありませんでしたが。お父様達は、それらを耳にしたことがおありでは無いのですか?」
相手は一応上級貴族の一員であり、かつ年上で小隊長でもあるので、どこまで非難して良いものかと咄嗟に判断できなかったカテリーナは言葉を濁しながら指摘してみた。全く初耳であればこの場で正直に、洗いざらいぶちまけようと考えた彼女だったが、両親が予想外のことを口にする。
「そうらしいわね。お気の毒に」
「ああ。それは私達も本人から直に聞いたぞ」
「……本人から、何をお聞きになったのですか?」
真顔になった両親が、妙にしみじみとしながら頷いたことで、カテリーナは嫌な予感を覚えながら話の先を促してみた。すると二人が心底同情するように言い出す。
「恐ろしげな風貌で先入観を持たれて、周囲の方達になかなか打ち解けて貰えないとか」
「後輩にも真摯に指導しているつもりだが力が入り過ぎて、不必要にしごかれたと不当に訴えられたらしいな」
「そんな事が積み重なって、未だに小隊長止まりでお恥ずかしいと仰っておられたわ」
「ジャスティンが既に隊長に任じられているのを、引け目に思われたらしい」
「小隊長止まりなのはご本人のせいでは無いのに、不憫なことだわ」
「イーリス、不憫などと言うのは、かえって彼に失礼だろう」
「そうですわね」
「不憫……、ですか? 私が耳にしている内容とは、かなり違うと思うのですが……」
カテリーナは顔が引き攣りそうになるのを自覚しながら控え目に反論しようとしたが、途端にジェフリーとイーリスが咎める視線を向けてくる。
「カテリーナ。お前は先程、ダマール殿と直接の面識はないと言っていただろうが」
「そうですよ。それなのに、どこの誰とも知らない方の無責任な伝聞を鵜呑みにするなど、見識が無いと思われても仕方がありませんよ?」
「……申し訳ありません」
(今の話、絶対自業自得よね! それなのに責任転嫁したり都合よく論点をすり替えて、お父様もお母様がすっかり丸め込まれているなんて! どれだけ外面が良いのよ! それに絶対、お義姉様達もぐるになって、あえて悪評を公にした上で堂々とごまかしたわね!?)
現時点で自分から騎士団内で広まっているダマールの悪評をぶちまけても、素直に聞き入れて貰えないと察したカテリーナは、悔しげに口を閉ざした。これ以上この場での押し問答は避け、後日改めて近衛騎士団で隊長職を務めているジャスティンに口添えして貰えば信憑性が増すかとの考えを巡らせたカテリーナだったが、事態は彼女の想像以上に切迫していた。
「これで私達も、肩の荷が下りたな。お前は昔から私のような腕の立つ人間であれば結婚しても良いと言っていたし、れっきとした近衛騎士団の小隊長であれば技量に問題はあるまい」
「家格も年齢も釣り合っているし、全く問題ありませんわね。本当に安心しましたわ」
「だからちょっと待ってください! 私はまだ、結婚する気はありません!」
慌てて制止したカテリーナだったが、イーリスとジェフリーは満面の笑みで話を続けた。
「安心して頂戴。勿論、今すぐ結婚しなさいなどと言うつもりはないわ。盛大に婚約披露パーティーを開催してから、結婚に向けての詳細な日程を詰めるわね」
「取り敢えず、半月後に双方の親族を招いてカモスタット伯爵邸で午餐会が開催されるから、その場で皆さんに二人の婚約を報告する段取りになっているから、そのつもりでな」
「はぁ!? 半月後ですって!? そんな急な!」
そんな話冗談ではないと、思わず声を荒らげたカテリーナだったが、別の意味で心配したと誤解したイーリスが苦笑しながら娘を宥める。
「カテリーナ、慌てなくても大丈夫よ。ドレスやアクセサリーはエリーゼがいつもあなたが頼んでいるところに声をかけて、準備万端整えてくれているから」
「お前が仕事で忙しいからと、この間色々と気を遣ってくれてな。今日もジェスランと一緒に、カモスタット伯爵家に午餐会の打ち合わせに出向いてくれているんだ」
「本当にカテリーナのために、あれほど親身になってくれるとはね」
「ああ、ありがたいことだな」
(どこがよ! 私に次期当主の座を奪われるかもと邪推して、私を厄介払いするために血道を上げているだけじゃない! ……だけどここで反論しても、完全に丸め込まれているお父様達が納得してくれる可能性は低いし)
悔しさのあまりカテリーナは喚き散らしたくなったが、なんとか小さく歯軋りするだけに留めた。するとここで後方から、控え目な声がかけられる。
「……カテリーナ?」
「え?」
慌てて振り返ると、小さな姪が不安そうに自分を見上げているのを認めたカテリーナは、取り敢えず兄夫婦への怒りを心の隅に追いやりながら笑顔を取り繕った。
ひょんなことからカテリーナが漠然とした不安を抱える事になった、建国記念式典の四日前。彼女は休暇に合わせてほぼひと月ぶりに屋敷に戻ったが、そこで思わぬ事態が発生していた。
「おう、カテリーナ。元気そうでなによりだ」
「お帰りなさい。今日はあなたに良い話があるのよ」
「良い話ですか? どんなお話でしょう」
上機嫌に出迎えてくれた両親に、制服姿のカテリーナは、怪訝な顔でソファーに座りながら尋ねた。すると、全く予想外だった事を告げられる。
「あなたの婚約が決まったの。喜んで頂戴!」
「いや、本当にめでたいな」
「え!?」
驚愕したカテリーナは限界まで目を見開いて絶句したが、そんな娘の戸惑いなど意に介さない様子で、二人は交互に話し出した。
「正直に言うと、カテリーナに関する不愉快な噂が広がった後であるし、こうなったら嫁がないままでも良いかと思っていたのだがな」
「私も、変に条件の悪いところに無理に嫁いで、嫁ぎ先で形見の狭い思いをさせるのは忍びないと思っていたのだけど」
「ちょっと待ってください。縁談が持ち上がったわけではなくて、婚約したというのは、一体どういうことですか!?」
なんとか気を取り直したカテリーナが一足飛びの話の詳細を尋ねると、イーリスが穏やかな口調のまま説明を始める。
「エリーゼが、カモスタット伯爵家からのお話を持ってきてくれたの」
「……お義姉様のご紹介ですか」
もうそれだけで、ろくでもない予感しかしなかったカテリーナだったが、余計な事は言わずに口をつぐんだ。そんな娘には構わず、ジェフリーとイーリスは笑顔のまま話し続ける。
「嫡男のダマール殿は今年二十八になるそうだが、上級貴族には珍しく、いまだに決まった相手がおられないそうでな」
「これまでに随分と勇猛な見た目で損をされていたそうで、見た目に怯えられた何人ものご令嬢から縁談をお断りされてしまったとか」
「確かに眼光鋭いというか威圧感がある面構えであるのは確かだが、そこまで恐怖を覚えるほどの人相ではなかろうに」
「世の中には人を見る目の無いご令嬢が、意外に多くいらっしゃるのね。確かに少々恐ろしげな顔立ちではありますが、殿方の魅力というものは容姿の美醜ではないはずよ?」
「そうだな。男の価値が顔だと言うのなら、その基準で言えば私はとてもお前に選んで貰えなかっただろう」
「まあ、あなたったら」
(ちょっと待ってよ! ダマール・ヴァン・カモスタットといえば、時たま騎士団内で聞くのは悪い噂ばかりよ!? 本当にお義姉様経由だと、ろくでもない縁談しか持ち込まれないわね!)
なごやかに言葉を交わす両親を見ながら、カテリーナは義姉に対する怒りを募らせたが、それをひとまず抑え込みながら声を上げた。
「お父様、お母様、ちょっと待ってください!」
「どうした、カテリーナ?」
「そんなに声を荒らげて、どうしたの?」
不思議そうに声をかけてきた両親に向かって、カテリーナは可能な限り冷静さを保ちながら問いかけた。
「今のお話を伺うと、お父様達はダマール殿に直接お会いしているのですか? これまで我が家とカモスタット伯爵家は公式行事で顔を合わせる程度のことはあったかもしれませんが、私的な交流は無かったと記憶していますが」
そのカテリーナの疑問に、ジェフリーとイーリスが笑顔で答える。
「ああ。それは間違っていない。確かにこれまで、先方との付き合いは殆ど無かった」
「だけど先月に三回お会いして、両家で話が弾んで、トントン拍子に話が纏まったのよ」
「三回!? いつの間に!?」
「お前は先月忙しかったみたいで、屋敷に戻って来なかったからな」
「お茶会に招かれた程度の事を、わざわざ手紙で知らせる必要性はないと思ったし。詳細が決まったら教えるつもりだったの」
「…………そうですか」
(失敗した……。先月は色々バタバタしていて、ジェスラン兄様やお義姉様との嫌みの応酬で神経をすり減らしたくなかったから、家に戻るのを躊躇っていたのよね。すっかり油断していたわ)
あまりの急展開にカテリーナが舌打ちしたいのを堪えていると、イーリスが不思議そうに尋ねてくる。
「カテリーナはダマール殿とお知り合いではないの?」
「ダマール殿は近衛騎士団所属で小隊長だそうだが、騎士団は人数が多いし面識が無くてもおかしくはないがな」
「ええと……。直接の面識はありませんね。複数の隊で合同の仕事をする場合は限られていますし、私の隊は女性王族や賓客の護衛に特化していますから」
「それもそうね」
「ですが……、ダマール殿の噂は、少々耳にした事があります。……あまり良い噂ではありませんでしたが。お父様達は、それらを耳にしたことがおありでは無いのですか?」
相手は一応上級貴族の一員であり、かつ年上で小隊長でもあるので、どこまで非難して良いものかと咄嗟に判断できなかったカテリーナは言葉を濁しながら指摘してみた。全く初耳であればこの場で正直に、洗いざらいぶちまけようと考えた彼女だったが、両親が予想外のことを口にする。
「そうらしいわね。お気の毒に」
「ああ。それは私達も本人から直に聞いたぞ」
「……本人から、何をお聞きになったのですか?」
真顔になった両親が、妙にしみじみとしながら頷いたことで、カテリーナは嫌な予感を覚えながら話の先を促してみた。すると二人が心底同情するように言い出す。
「恐ろしげな風貌で先入観を持たれて、周囲の方達になかなか打ち解けて貰えないとか」
「後輩にも真摯に指導しているつもりだが力が入り過ぎて、不必要にしごかれたと不当に訴えられたらしいな」
「そんな事が積み重なって、未だに小隊長止まりでお恥ずかしいと仰っておられたわ」
「ジャスティンが既に隊長に任じられているのを、引け目に思われたらしい」
「小隊長止まりなのはご本人のせいでは無いのに、不憫なことだわ」
「イーリス、不憫などと言うのは、かえって彼に失礼だろう」
「そうですわね」
「不憫……、ですか? 私が耳にしている内容とは、かなり違うと思うのですが……」
カテリーナは顔が引き攣りそうになるのを自覚しながら控え目に反論しようとしたが、途端にジェフリーとイーリスが咎める視線を向けてくる。
「カテリーナ。お前は先程、ダマール殿と直接の面識はないと言っていただろうが」
「そうですよ。それなのに、どこの誰とも知らない方の無責任な伝聞を鵜呑みにするなど、見識が無いと思われても仕方がありませんよ?」
「……申し訳ありません」
(今の話、絶対自業自得よね! それなのに責任転嫁したり都合よく論点をすり替えて、お父様もお母様がすっかり丸め込まれているなんて! どれだけ外面が良いのよ! それに絶対、お義姉様達もぐるになって、あえて悪評を公にした上で堂々とごまかしたわね!?)
現時点で自分から騎士団内で広まっているダマールの悪評をぶちまけても、素直に聞き入れて貰えないと察したカテリーナは、悔しげに口を閉ざした。これ以上この場での押し問答は避け、後日改めて近衛騎士団で隊長職を務めているジャスティンに口添えして貰えば信憑性が増すかとの考えを巡らせたカテリーナだったが、事態は彼女の想像以上に切迫していた。
「これで私達も、肩の荷が下りたな。お前は昔から私のような腕の立つ人間であれば結婚しても良いと言っていたし、れっきとした近衛騎士団の小隊長であれば技量に問題はあるまい」
「家格も年齢も釣り合っているし、全く問題ありませんわね。本当に安心しましたわ」
「だからちょっと待ってください! 私はまだ、結婚する気はありません!」
慌てて制止したカテリーナだったが、イーリスとジェフリーは満面の笑みで話を続けた。
「安心して頂戴。勿論、今すぐ結婚しなさいなどと言うつもりはないわ。盛大に婚約披露パーティーを開催してから、結婚に向けての詳細な日程を詰めるわね」
「取り敢えず、半月後に双方の親族を招いてカモスタット伯爵邸で午餐会が開催されるから、その場で皆さんに二人の婚約を報告する段取りになっているから、そのつもりでな」
「はぁ!? 半月後ですって!? そんな急な!」
そんな話冗談ではないと、思わず声を荒らげたカテリーナだったが、別の意味で心配したと誤解したイーリスが苦笑しながら娘を宥める。
「カテリーナ、慌てなくても大丈夫よ。ドレスやアクセサリーはエリーゼがいつもあなたが頼んでいるところに声をかけて、準備万端整えてくれているから」
「お前が仕事で忙しいからと、この間色々と気を遣ってくれてな。今日もジェスランと一緒に、カモスタット伯爵家に午餐会の打ち合わせに出向いてくれているんだ」
「本当にカテリーナのために、あれほど親身になってくれるとはね」
「ああ、ありがたいことだな」
(どこがよ! 私に次期当主の座を奪われるかもと邪推して、私を厄介払いするために血道を上げているだけじゃない! ……だけどここで反論しても、完全に丸め込まれているお父様達が納得してくれる可能性は低いし)
悔しさのあまりカテリーナは喚き散らしたくなったが、なんとか小さく歯軋りするだけに留めた。するとここで後方から、控え目な声がかけられる。
「……カテリーナ?」
「え?」
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