夢見る頃を過ぎても

篠原皐月

第12話 既視感

 《バカンス会》二日目の朝、予め決めてあった時間通りに、宿泊階のエレベーターホールに真澄、恭子、清香が現れた。
「おはよう、聡さん」
 聡の顔を見るなりパタパタと走り寄って来た清香に、約1メートル離れた場所から自分に向けられる視線を意識しつつ、挨拶を返す。


「おはよう、清香さん。今日も元気だね」
「聡さんは……、何となく疲れてる感じがするけど……、大丈夫ですか?」
「……はは、多分ね」
 幾分心配そうに見上げてきた清香に、聡は曖昧に笑って誤魔化した。
(正直言って……、兄さんと同室だなんて、一時も気が休まらなかった……。ただでさえ微妙な空気なのに、暇さえあれば始終ノートパソコンを開いて難しい顔をしてるし)
 そんな本音を押し隠していると、聡がここに来た原因の男女が爽やかに朝の挨拶を交わし合った。


「おはようございます、真澄さん」
「おはよう清人君、今日も良いお天気で良かったわ」
「そうですね。真澄さんと一緒に旅行する時、大抵天気は良いですから、真澄さんは晴れ女ですね」
「そうかもしれないけど、『晴れ女』なんてちょっと無粋な言い方より、『日頃の行いが良いから』とか言って欲しかったわ」
「それは失礼しました」
 笑顔でそんな会話をしている二人に背を向け、聡は密かに溜息を吐いた。そんな聡の心情が分からないらしい清香は、上機嫌で聡に顔を寄せて囁く。


「聡さん、聡さん。あのね?」
「どうかした?」
 自然と肩を寄せ合う体勢になりながら、聡も小声で応じる。
「昨日のサンダルもそうだったんだけど、真澄さんの今日の靴もヒールが低いの」
「……ああ、そうなんだ」
「普段はもっと高いのを履いてるもの。やっぱりお兄ちゃんより身長が高く見られたく無くて、わざわざ低いのを履いてるのかな? 真澄さんって結構可愛いかも」
「…………そうだね」
 小さく「うふふ」と含み笑いをしている清香から微妙に視線を逸らしながら、聡は(本当に可愛い人は、嫌がらせとかしないだろ……)としみじみ考えていたが、そこでいきなり自分と清香の間に棒状の物が上から降ってきた。


「きゃっ!」
「うわっ!」
 バシッと勢い良く聡の肩にぶつかって二人の間に割り込んだそれは、新聞紙を細く丸めた物で、ホールのソファーセット横に置かれたマガジンラックに装備されていた物の様だった。
「あら、ぶつかった? ごめんなさい。なんだか目障りな小バエが飛び回ってたから、つい……」
 そう言ってクスクスとわざとらしく笑う真澄に、聡と清香は僅かに顔を引き攣らせながら応じる。
「だ、大丈夫、ですよ?」
「小バエ、ですか……。もう居なくなったみたいで良かったですね」
「まだ一回り大きいのが居るみたいだけどね?」
 サラッと嫌味をぶつけてきた真澄に聡が何かを言いかけた時、横から清人が口を挟んだ。


「真澄さん、それはこのホテルの備品です。他の人も読むのにそんなにクシャクシャにしてどうするんですか。早く元通りに戻して下さい。皆揃いましたしそろそろ降りますよ?」
「……分かったわ」
 ピシャリと窘められた真澄だが気を悪くした風情は無く、冷静に新聞紙を広げて元のように折り畳み、ラックに差し込んだ。彼女のそんな一連の動作と、溜め息を吐きたい様な顔付きの清人と憮然とした表情の聡を、いつの間にかエレベーター前に勢揃いしていた一同は、顔を見合わせながら見守っていた。


 そして朝食会場のレストランに入った面々は、係に先導されて窓際の大きな長方形のテーブルに案内された。
「真澄さんはここですね」
「ありがとう」
 清人が海が見える側の中央の椅子を引いて促すと、自然な動きで真澄がそこに座った。
それが済むと清人が真澄に断りを入れる。
「ちょっと行って来ます。ところで今朝は洋食、和食、どちらが良いですか?」
「う~ん、洋食をお願い」
「分かりました。……じゃあ行こうか」
「え?」
 清人が周囲の皆を促して料理が所狭しと並べられているスペースに向かって歩き出しても、真澄だけがテーブルから動く気配が無いのに聡は戸惑った。しかし他の全員が世間話をしながら普通に清人の後を追った為、大人しくそれに従う。
 しかしその顔を眺めた清香が、不思議そうに声をかけてきた。


「聡さん、変な顔をしてどうしたんですか?」
「いや……、真澄さんはどうして料理を取りに行かないのかな。ダイエット中?」
 そんな疑問を投げかけられた清香は、笑って答えた。
「ああ、違います。昔からこういうビュッフェ形式の時、真澄さんが食べる料理は全部お兄ちゃんが揃える事になってるんです」
「ごめん、ちょっと待って。どうしてそんな事になってるのかな?」
 手を伸ばして自分の肩を掴み、真顔で問い掛けてきた聡に、清香は視線を空中に彷徨わせながらゆっくりと答えた。


「えぇっと……、確か、真澄さんが珈琲をカップに注ごうとして、火傷したからじゃ無かったかな?」
「一体全体、どういう状況で……」
「さぁ……、私も良く覚えていなくて」
 そこで立ち止まって話していた二人の横を、皿を乗せたトレーを持って通りかかった浩一が、思わずと言った感じで口を挟んできた。


「ああ、それなら姉さんが昔、コーヒーメーカーの注ぎ口にカップを置いて話に夢中になって、そのままスイッチを押し続けてたんだ。当然溢れ出した珈琲に驚いてカップを取ろうとしたら、運悪く手が引っかかってカップの中身を零して熱い珈琲が手にかかって、更に転がり落ちたカップから零れた中身で足を火傷したんだよ」
 懇切丁寧に説明されたものの、聡は余計に頭を抱えたくなった。
「……浩一さん、すみません。取り敢えず状況は分かりましたが、どうしてそんなありえない状況に陥ったのか、できればもう少し説明をして貰いたいんですが」
 するといつの間にか料理を取り終えて近くにいた玲二と正彦が、口を挟んでくる。


「それは、偶々ボタンを押しただけ珈琲が出てくる形式の機械だった事が、一番の原因なんだ」
「家ではメイドや執事が必要分だけきっちりと注いでくれし、ボタンを押し続けても珈琲が自然に止まると思い込んでたんだろうね」
「加えてカップから溢れるって初めての状況に遭遇して、余程焦ったんだろう」
「姉貴、しっかりしてる様に見えて、時々抜けてる所があるからさ」
「それがあってから清人が『真澄さんに熱い物は一切持たせません』って頑強に主張してね」
 そんな事を口々に説明された聡は、思わず頭痛を覚えた。
(何だそれは……、どこの世間知らずの箱入り娘の話だよ……。いや、確かに真澄さんはお嬢様かもしれないけど、柏木内ではバリバリのキャリアウーマンの筈なのに……)
 そんな事を考えながらチラッと兄の様子を窺った聡は、再び何とも言い難い表情を周りの人間に向けた。


「あの……、どう考えても熱くないサラダとかもよそってますが?」
「ついでだろ?」
「マメだよな」
「清人は基本的に女性に優しいから」
「そんな訳ありますか。あんなマネしてるのは初めて見ましたよ。第一、清香ちゃんには『自分の事は自分で』が先生の口癖なのに、皆さん揃いも揃って目が節穴どころか洞穴ですね」
「………………」
 ちょうど通りかかった恭子に冷静にぶった切られた男達は、黙り込んで彼女の背中を見送った。そんな論争がされている事など思いもよらない清人は、サクサクと肉と野菜をバランス良く皿に取り分け、少ししてから真澄の所に戻った。


「真澄さん、取り敢えずスープはコーンポタージュで、ドレッシングはフレンチにしました」
「ありがとう、それで良いわ」
「それから卵を焼いて貰いますか?」
「そうね、お願い」
「じゃあベーコンと玉ねぎとマッシュルーム入りのオムレツですね」
「ええ、あとは」
「ホットレモンティーも一緒に持って来ますから、温かいうちに食べていて下さい」
「分かったわ。いただいてるわね」
 トレーを真澄の前に置いて短いやり取りをしてから、清人は再び料理が並んでいるスペースに戻った。そのやり取りをちょうどテーブルに戻ってきた聡が目にして、ヒクリと頬を引き攣らせる。


(兄さん、真澄さんの好みを熟知してますね……。なんだか似たような光景を、何度も見せられた記憶が……)
 かつて自分の父親の同様の行為を見て、それが卑屈さからきていると密かに軽蔑していた聡としては、かなり微妙な心境に陥った。そして思わず全身の動きを止めていると、一緒にテーブルに戻ってきた清香が不思議そうに見上げてくる。


「どうかしたの? 聡さん」
「あ、いや、大した事じゃ無いから……。えっと、どこに座ろうか?」
「あ、聡さん、こっちよ」
 既に戻ってきた何人かが椅子を引いて座ろうとしていた為、聡は空いている箇所に目を向けたが、清香は真澄の席の左隣と更にその隣の席を指し示した。


「え? 座る場所って、いつも決まってるとか?」
「はい、一番良い席は真澄さんで、真澄さんの左隣は私で、右隣はお兄ちゃんなんです。後は皆、適当に座ってますけど」
 そう言いながら椅子を引いた清香に、聡が声を潜めて尋ねた。
「……誰がそう決めたの?」
「別に誰が決めたというわけでは……。いつの間にか、何となくそうなってたと言うか」
(いや、これは絶対兄さんが誘導した筈……。そう言えば昨日の昼食も夕食の席も、そんな配置だったような……。自然に誘導されて気が付かなかった)
 殆ど確信に近い考えを裏付ける様に、戻ってくる面々は見事に真澄の隣は避けて座り、最後に自分の分を取って来た清人が当然の如く真澄の右隣に落ち着いたのを横目で眺めた聡は、密かに溜め息を吐いたのだった。


 そして食事が終了後、部屋に戻る途中で、聡は清人に声をかけられた。
「おい、真澄さん達には海岸に十時と言ったが、準備があるから俺達は先に行くからな」
「はあ……」
 何となく予想はしていた為、聡は大人しく頷き返した。そして一度部屋に戻って水着やタオル等を抱え、清人と共にホテルの屋外プールに続く位置の更衣室を目指す。
 そこで他の面々と合流し、水着に着替えた一行が外に出て、プール横からホテルに隣接している海水浴場へと続く階段を降りて行くと、一般道から乗り入れたらしい小型トラックから、二人組の男達が何やらかさばる荷物を次々砂浜に下ろしているのが目に入った。
 聡は(何だあれは?)と訝しく思っていたが、清人が躊躇う事無くその人物に向かって足を進めて行く為、他の皆と同様大人しく後に従う。


「おはようございます、佐竹です。今日はご苦労様です」
「いえ、こちらこそ。それでは一式確認の上、受け取りのサインをお願いします」
 短いやり取りの後、清人は砂浜に置かれた機材を目で素早く確認し、クリップボードに手を伸ばしてサインした。
「結構です。それでは四時に撤収作業をお願いします」
「分かりました。行こうか」
 そうして二人が乗り込んだトラックが走り去るのと同時に、清人が連れを振り返って指示を出した。


「さあ、準備を始めるぞ」
「OK、さっさと済ませようか」
「ここまで大掛かりなのは、久し振りだな」
「聡君、力仕事は平気だよね?」
「ええ、勿論平気ですが……」
 浩一に穏やかに微笑まれつつ問い掛けられた聡は反射的に答えたが、如何にも慣れた手付きで清人達が取り上げていく物品を認めて、(どこまでやるつもりなんだ、この人達は……)と呆気に取られたのだった。


 そして清人達が海岸で作業を始めてから小一時間後、同様に水着に着替えた真澄達がやって来た。
「お疲れ様、清人君。もう準備は終わったみたいね」
「ええ。昼食はホテルから具材を運んで貰う手筈を整えてますから、ここでバーベキューをしますから」
「本当? 楽しみだわ」
 そんな風に笑顔で会話している清人達から少し離れた所で、砂浜に座り込んでいる聡を見つけた清香は、ペタペタとビーチサンダルで軽い足音を立てて近寄った。


「聡さん、ご苦労様です」
 自身も砂浜に膝を付き、ニコニコと笑いかけてくる清香に何とか笑い返しながら、聡が尋ねた。
「清香さん……。皆で海に来る時って、いつもこんな感じなの?」
 その問い掛けに、清香は怪訝そうに周囲を見回してから、逆に問い返した。
「こんな感じって……、テントとかの事ですか?」
「ああ」
「そうですけど?」
「……そう」
 真顔であっさり頷かれた聡は、もう何も言えずにただ頷いた。
 清人達が分担して手際良く設置した、イベント等で使用する様なパイプの組立式の骨組みにキャンバス地の屋根を張ったテントは二張、ビーチパラソルとデッキチェアが四組あり、更にテント内に野外用のテーブルと折り畳み式の椅子が人数分揃えられていた。そして控え目に隅に準備された食材らしき者は、中身が詰まったクーラーボックスが三個、その他何が入っているのか分からないダンボール箱が二箱と言う有様だった。


(本当に……、たかが海水浴に来たってのに、限度とか節度とかって言葉を知らないのか? この人達)
 周りから、やれ「穴を掘れ」だの「支柱を持って来い」だの「そこを押さえてろ」だの良いようにこき使われた聡が、腹立ち紛れにそんな事を考えていると、いつの間にか真澄が二人の側に近寄って来ていた。


「聡君? ちょっと良いかしら?」
「……なんでしょうか?」
 警戒心も露わに、瞬時に気を引き締めた聡が立ち上がりつつ応じると、真澄は不気味な位の笑顔のまま口を開いた。
「聡君ったら、清香ちゃんに『自分だけが目にするならビキニでも良いけど、他の人間の目に触れる場所ではワンピースにしろ』とか言ったんですってね?」
 そう真澄が口にした途端、彼女の背後から清人の突き刺さる様な視線を受けた聡は、狼狽しつつ弁解を試みた。


「いえ、それはっ! 確かにそんな事を以前口にした記憶が有りますが、ちょっと言葉のあやと言うか何と言うか!」
「あら、駄目じゃない、そんな恋人を萎縮させる様な事を言っちゃ。おかげで清香ちゃんは紺色の地味なワンピースタイプの水着しか持ってこなかったのよ? 清香ちゃん位若くて可愛いなら、大抵の物は似合うのに。可哀想だとは思わないの?」
「……申し訳ありません」
 難癖を付けられている自覚はあったものの、清人の目もあり聡は殊勝に頭を下げた。それを見た真澄が、満足そうに頷いて清香に近付いて手を伸ばす。


「自分が度量が狭い男だって事は認識してる様だし、これ以上は言わないわ。安心しなさい、気が利かない恋人の代わりに、私が清香ちゃんに似合う水着を買ってあげたから。ほら、見て?」
「ぅきゃあぁぁっ!! 真澄さんっ! ちょっと待って、心の準備がっ!!」
「海岸まで来て往生際が悪いわよ!? 恭子さん、そっちの腕を宜しく」
「任せて下さい」
 水着の上に着ているウインドブレーカーのファスナーを真澄に一気に下ろされた清香は、叫び声を上げつつ真っ赤になって前をかき合わせる様にして抵抗したが、笑顔で近寄って来た恭子にも腕を取られ、瞬く間にそれを真澄に剥ぎ取られた。


「ほら、皆、可愛いでしょう?」
 そう言って男達に意見を求めながら、真澄が清香を聡と清人の方に押しやった。
 生地が明るい山吹色で、うるさくならない程度に縁に小花が刺繍されている、ホルターネックのビキニを着せられた清香は、身の置き所が無いらしく恥ずかしがって、情け無い声を上げた。
「ま、真澄さん、恭子さん……。幾ら何でもやっぱりこれは恥ずかしいです~」
 それに真澄と恭子は顔を見合わせて苦笑してから、徐に自分達も上に着ていた物を脱ぎ始めた。


「清香ちゃん? 清香ちゃんが『一人でビキニを着るのは恥ずかしい』って言うから、アラサーの私までビキニを着る事になったのに、怖じ気づかないで。私の方が数倍恥ずかしいわよ?」
 そう言いながら恭子がゆったり目のTシャツを脱ぐと、下からストラップレスの流線形の模様が浮き出ている黒いビキニ姿が現れた。清香の叫び声に何事かと集まって来た面々が、それを見て固まっていると、目の前で今度は真澄がブラウスを脱ぎ始める。


「そうよ? 清香ちゃんはまだまだ若いんだから。私みたいな年になったらビキニなんて着たくても着れなくなるんだから、今のうちに着ておくべきよ?」
 そんな事を言いながら自身の水着姿を披露した真澄だったが、それを見た周囲に微妙な沈黙が漂った。
 確かにビキニでは無くワンピースタイプのエメラルドグリーンの水着ではあったが、胸と背中にかなりざっくりとした切り込みがあり、そこの左右の縁に並んだ小さな穴にカラフルな組み紐を通して上で結んで押さえるタイプだったからである。当然脇も一般的なワンピースの水着と比較するとかなり空いており、見えそうで見えないギリギリのラインは、ビキニよりある意味刺激的ですらあった。


「……姉貴、一言良い?」
 ボソッと疲れた様に声をかけた弟に、真澄は不思議そうな顔を向けた。
「何? 玲二」
「確かにビキニじゃ無いよ? 無いんだけどさ……。姉貴のそれ、有る意味清香ちゃんよりエロい」
「はぁ!? 言うに事欠いて何て事言うのよ、あんたはっ!」
 そう真澄が玲二に向かって吠え、恭子が苦笑するのを見ながら、玲二以外の男達は顔を寄せてボソボソと話し始めた。


「うっかりしてたな……、これじゃ清香ちゃんも放っておかれるわけないか」
「以前は子供子供してたんだけど……。感慨深いな」
「これまでは真澄さんだけだったし、あれほどじゃ無かったしな」
「川島さんも居たんだよね。予想以上にお見事なナイスバディで……」
 その間、清人は額に手を当てて黙り込んでいたが、聡がどうしたのかと怪訝に思っているうち、盛大な溜め息を一つ吐いてから額から手を離し、男達に指示を出した。


「皆、どうしようも無いから、今日一日は臨機応変に行くぞ。取り敢えず基本的に二人一組で行動。友之と明良、正彦と玲二、浩一と俺だな。こいつは要領が掴めんだろうから、適当に纏わり付かせておく。人手がいる時は適当に使え」
 聡を指差しながらの一方的な清人の台詞にも、一同は淡々と頷いた。
「そんな所かな?」
「了解」
「色んな意味で熱くなりそうだな」
「よっしゃ、気合い入れるか」
「聡君、宜しく頼むよ」
「……何なんですか、一体」
 意味が分からないまま憮然とした顔で呻いた聡を、周りの者は苦笑混じりに見詰めたのだった。



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