転移したのに人間じゃない!?

逢夢

第107話 楔として 楔と絶対神様。

〝さて、本来のご連絡をしますね。
 ヒデアキさんにはこの世界の楔としてこれから活動して頂きます。
 絶対神 様からの依頼で貴方の力をこの世界の為に使えるようにしようとの判断です〟
「女神様、本心は?」
〝楔となれば此方からの直接な関わりでコントロールが効きます!
 そうすれば貴方を止めやすくなり、私がもっと楽ができる!〟


そうして、女神 ファティマは今までの神界での話をしてくれた。
1つの世界が邪神像を作り上げた事やその世界の魂の流用がこれからあるなど
それらの事実について
ウルスとアルベルタは驚愕していたが
紅竜、アマリア、コブシは話を理解するのを途中でやめたらしい。


俺は前世の記憶もあったお陰なのか壮大な事を言われても
そうなんだ程度のリアクションをして、話を聞いていた。


〝そして、ヒデアキさんにはこれからこの世界の秩序を守る活動を
 これからして欲しいのです!私が楽になる為に!〟


「これこれ、そんな事を言ってはいけないよ。」


それは大きな声ではないが、しっかりと聞き取れる声だった。


そして、それは目の前に現れた。
ウルスとアルベルタには、イケメンな若い男性からその声を聞き
紅竜、アマリア、コブシには光が人の形を象っているものからその声を聞き
俺とセイさんとディノスとシオリには巨大な光の塊からその声が聞いていた。


「各々私の姿の見え方が違うようだが、特に君は僕の姿を捉えられないのだね。」
「なんじゃ、ヒデにはどう見えておるのじゃ?」
「俺には巨大な光の塊から声が聞こえている形だね。」
「なんじゃと!?」
「ファティマ君が司る世界に住む者には信仰の対象のイメージ
 竜種や上位の魔物には聖属性である光が象徴として見えているはずだ」
「ならば、ヒデは竜種や上位の魔物に近いという事か?」
「いや、まだ彼はどれにも属せていない状態に近い。
 何せ、神々ですら予想し得ない状態での誕生だったからね
 だから、ここでさっさと決めてしまおうと思っているよ」


そう絶対神が言葉を発したと同時に白い世界が
だだっ広い荒野へと変わった。
「ここで力を見せてくれ、さすればタチバナヒデアキ、君の存在が定義される」
そう絶対神が言葉を発したと同時に現れた、三神。
一人は牡鹿の角を持ち、長髪で髭をたくわて装飾を施された首輪をしている男、ケルヌンノス。
一人は背中にトビの翼を持った女、イシス。
一人は王冠をかぶってはいるが、体に包帯をぐるぐる巻きの人型、オシリス。


ケルヌンノスは紅竜に向かって突進をしてきたが、それを片手で受けるがた紅竜。
しかし力を全て止められなかった。
そのまま、吹っ飛んでは行ったが後方で綺麗に着地していた。


「うむ、さすが竜種」
そうボソッと言って、ケルヌンノスは紅竜に向かっていった。


イシスはゆっくりとこちらに歩き、俺の脇を抜けて
アマリア、コブシの前に立った。
「貴女達の相手は、私。よろしくね」
アマリアを撫でようとしたがアマリアはスッと下がって、睨んだ。
「私たちの力も見るという事ですか?」
「絶対神 様がそう決められたからね!」
笑顔でイシスは言うがその言葉と同時に無数の亡者達が地中から目を覚まし
アマリア、コブシに襲いかかっていった。


俺はというと、包帯をぐるぐる巻きの人型、オシリスから
伸びてきた無数の包帯によりぐるぐる巻きにされて、立ったままミイラのようにされていた。
{…主人様、ミイラになりましたね}
“ヒデヒデがミイラに!!”
“お主は何をしておるんじゃ”
「俺だって好きでミイラになってないよ!」
包帯に巻かれながら、俺は叫んでいた。

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