転移したのに人間じゃない!?

逢夢

第78話 ウンター・ヴェルト 紅事件 目が覚めて、最初にすることは…

目が覚めた時、一言。
「知らない天井だ…」
「お主は何を言っているのじゃ?」
「うぉ!!」


起きてすぐに俺に声かけてきたのは、赤い髪と金色の目の美女。


「なんじゃ、人の顔をマジマジと見て」
「いや、紅竜が実体としていることに驚いて…」
目の前の美女は紅姫。
こうして、容姿をはっきりと認識できると戸惑ってしまう。
そんなことを感じていたら
「それよりも!
 お主が起きなかったから、わっしが怒られたておったのだぞ!」
「えぇ〜、起きて一発目にそれ!」
大きな声が聞こえたのか、寝ていた部屋のドアが開き
アマリアとコブシが入ってきた。
「ご主人様!」
そう、俺に向かって飛び込んで入ってきた。
「アマリ!!グホォ」
「良かったです!」
抱きついて頭をグリグリとしてくる、アマリア。
俺はそれを受け止めたが、ちょうどみぞおちに入り、悶絶中。


「そうしていると、普通の人間と変わらないのだね」
「フェルディナンドさん」
悶絶しながらもその声の主に返事をなんとかした。
「身体はなんともないのかい?」
「はい、大丈夫そうですね」
肩を回しながら、返事をしたら
「なら、良かった。」
その一言で、蔓でぐるぐる巻きにされて、持ち上げられた。
「えっと、これは?」
「君は、彼女と同じくあの事件の容疑者の様なものだからね
 これから話を聞かせてくれ、紅姫では話にならなかった。」
蔓にぐるぐる巻きにされながら、紅姫を見ると
「わっしは説明したのじゃ!なのに、誰も理解してくれぬ!」
「試しに俺に説明してみて、紅竜」
「お主の体に入った時はバッとすれ違ったお主の中にギュッと入っておって
 バンバン暴れていたら、仲間が増えて、レギオンゴブリンもバッサリと倒して
 別れてからは本体の中でシオリと一緒にボーンとバーンと活躍しておったのじゃ!」
「ありがとう…よくわかった…」
「どうじゃ、フェルディナンド!
 ヒデはわかってくれておるぞ、さすがわっしの一部を持っておっただけのことはあるの!」
「紅竜は喋らなくていいから、俺と一緒に怒られような」
「なぜじゃ!さっきまで聖女を相手に怒られておったのに!」
「目を離した隙に、どこに行っているのですか、紅姫様!」
フェルディナンドの後ろに聖女 ウルスも入ってきた。


「あら、ヒデ様、起きられたのですね!良かったです」
「ありがとう、ウルス。」
「では…」
「うん?」
「フェルディナンド様、お先にお話しされますか?」
「いや、私はいつでも良いよ」
「では、お先に良いでしょうか?」
フェルディナンドと話しているウルスは笑顔だが、なぜか恐怖を感じる笑顔だった。
それはアマリアとコブシも気づいたのか、俺から離れて
「ご主人様、お話が終わるまでディナンちゃんといますね…」
そう行って、苦笑いで部屋から出ていってしまった。
「アマリアちゃんコブシさん、ありがとう」
「ウルス様、ごゆっくり〜」
そそくさといなくなる、アマリア。
「アマリアがなんか感情豊かになってきた。
 なんか、嬉しい気持ちもあるが今は複雑だ!!」


「アマリアちゃんやコブシさんとどう出会ったのかなど
 詳しく教えてくださいね!ヒデ様」


そう笑顔で、扉を閉めたウルス。
俺が目を覚めてぐるぐる巻きにされながら
最初にしたことは謝罪と説明だった。
今、目の前にいるフェルディナンドとウルスは暴走中の紅竜より怖かった。

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