転移したのに人間じゃない!?

逢夢

第70話 ウンター・ヴェルト 紅事件 聖女と女神。

「あの………もしかして、女神ファティマ様ですか?」


〝私は貴女に助けて欲しいのです!
 というか、助けてください!!
 お願いします!!〟


ウルスは女神から懇願されて、またおいてけぼりをくらった。


「あの、どういうことでしょうか?」
〝この世界は今、変革の時を迎えています、たった一人の男によって
 ………………誰だかわかりますね〟
そう、ウルスは問われてその視線の先にいる
魔力で作った拳を竜の顎にクリーンヒットさせている、男を見た。


「もしかして、ヒデ様の事ですか?」
〝もしかしなくても、彼です。
 細かいことは彼から聞けば良いと思うので端折りますが
 彼がやること、やることほとんど!
 いや、全てと言っていいです!
 それがこの世界の流れを変えていっています!
 わかりますか!それは====〟


喋りだしたら止まらないほど暴走している女神に対して
「落ち着いてください!ファティマ様!」
なんとか、宥めるウルス。


〝はっ、失礼しました。
 彼のことになると、ついね…〟
遠い目で、魔力で作った拳を竜の顎にクリーンヒットさせている、男を見た。


「それは、私もそう思います。」
〝ですよね!ですから
 貴女には彼のストッパーになって欲しいのです!〟
 ストッパーの意味はウルスには分からなかったが
「…私に出来る事なら、お手伝いはしますよ」
そう、答えてからファティマに聞き返した。
「ヒデ様は常識というのでしょうか?ご存知ない印象が少しあるのですが
 それは関係していますか?」
〝その真意については彼の口から詳しい事は聞いた方が良いでしょうが
 私が伝えられるのは
 この世界の事は何も知らないという事です。〟
「この世界の事?」
〝詳しい事は本人に聞いてみてください、私の名前を出して
 「聞いても良い」と女神も言っていたと言えば話してくれるでしょう。〟
「………わかりました。」


〝ストッパーというと、向こうの言葉なので意味がわからないと思いますが
 彼の思いつきや行動する前に彼にこの世界の常識や当たり前だと思われることを
 伝えてください。
 彼なら賢いので、自重をしてくると思います。
 この世界の基準がまだないから、これだけの事をしでかしていると思いますから〟


これで安心できると思っている、女神ファティマ。
だが、頼まれている、聖女ウルスは
「常識を身につけたとしても、ヒデ様は変わらない気が…」
その視線の先、魔力で作った拳を
竜の顎にクリーンヒットさせている、男を見ながら呟いた。



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