第59話 ウンター・ヴェルト 紅事件　アマリアとコブシ。

呆気に取られていたからかすんなり通す、フェルディナンド。
そこから復帰して
「良かったのかい？」
そう、ディナンに問い掛ける、フェルディナンド。


「なんでだろ、初めて何も知らない人の事を応援してみたいと思ったの。」
「そうか」
「こりゃ、明日は雨じゃなくて、槍が降ってくるな！」
良い雰囲気をせっかく出していたのに、ナンドがぶち壊してくれた。
だから
「せっかく、ディナンが何か良い事に気付いたんだ。
　ナンド、お前も何か体験をして気づきを得ようじゃないか。」
笑顔でナンドの肩を掴み、アマリアの向かった方ではない方の一匹の方に
連れて行った。


「ちょっと待て、俺だけか！？ディナンは？？」
「彼女にはこちらでギルマスと一緒に聖女様を守ってもらうよ
　ナンドは私と一緒に紅姫と遊ぼうじゃないか。」
目線を合わせて、笑顔で語りかけているが全く、目が笑っていない
フェルディナンド。
「貧乏くじは俺ばっかりだな！！」
「はっはっはっ、楽しまないと人生損だぞ！」


そう口論もしながらも、しっかりと二人は一匹の竜を見据えていた。


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アマリアは、今まで姿を見せていなかった、仲間の名前を呼んだ。
「コブシ様！」
〈アマリア、行くぞ、主の元へ〉
「はい、コブシ様」


そして、主人と対峙するアマリアとコブシ。


目の前には焦点があっていない目で左腕の自己再生中の主人の姿がある。


〈これは主人自身が行なっている事か？〉
「違うと思います。先にシオリさんから聞かされていた感じに似ているので
　中で、統合が行われいるのだと思います。」
〈後で、そのシオリとやらとも話をしないとな〉
「そうですね、これが終わったらいっぱい喋りましょうよ！コブシ様」
〈そうしてみるか、主人とはなぜか緊張して喋れなくなってしまうからな〉
「そういう所、可愛いですね！」
〈うるさい！私はカッコイイ王なのだ！〉


なんて喋っている間に主人の身体は元どおりになっていた。


「殺すのではなく、暴走を止めておく形で待ちますよ、コブシ様」
〈意外と面倒そうだな、だが面白そうだ！〉


そして目の前の意識の混濁で暴走している主人に宣誓をした、アマリア。


「ご主人様、アマリアとコブシ様の力、お見せします！」