転移したのに人間じゃない!?

逢夢

第57話 ウンター・ヴェルト 紅事件 2つの嵐

密着して、動かない。
ヒデと紅姫。
しかし、二人はフッと力が抜けて、その場に倒れこんだ。


「ご主人様!」
「大丈夫かい!?紅姫」


駆け寄ろうとする、アマリアとフェルディナンド。


倒れ込んだ時間はほんの数秒だけだった。


二人は起き上がり、距離を取った。


一匹の竜は、全身から赤のオーラを出し、戦闘態勢を現し
一人の男は、全身を黒々しい鱗状の皮膚を纏い、戦闘態勢を現していた。


そして


二人の立ち位置は一瞬で入れ替わっていた。
その動きはなんとか、フェルディナンドは見えたが他は理解が追いつかなかった。
「全員、伏せろ」
そして、魔力を込めて、結界術として無数の蔦で壁を
アマリア、ナンド ディナンの元に
そして、聖女ウルス、白騎士、ギルドマスターの前にも一瞬で作った。
全員が目の前にその蔦の壁が現れた事に驚いたがその直後
その壁がズタズタに傷つき、切り裂かれたが
全員が無事だった。


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ウルス、白騎士は何が起きたのが理解できなった。
ギルドマスター ルベリーはスライムのポンのお陰で何とか察知は出来ていたが
動くまでには至らなかった。


「さすが、フェルディナンドだな」
「今、何が起きたのですか?」
ルベリーに確認をする、ウルス。
「あの二人が何かをしたのですか?」
そう問いかける白騎士。
「この蔦の残骸はフェルディナンドの結界が砕けたものだ」
そう言って、蔦の破片を見せてくる、ルベリー。


「あの二人は動いただけだろうな、多分」
「正解だ、ルベリー」


先ほどまで離れた位置にいたと思っていた、フェルディナンドがその答えを教えた。
そして、一緒にいるのはアマリア、ナンド ディナン。
自分達がいた位置が危険だと判断したフェルディナンドが連れてきていた。


「アマリアちゃん、あの黒い方はもしかして…」
「ご主人様の身体ではありますが多分、別のものが暴れていると思います…」
「別のもの?」
「なんとなくなんです…」
確信を持てていないが、違和感を感じているアマリア。
さらに戸惑っている、ウルス。


だが、戸惑っていられる時間はそう長くはなかった。


「構え始めたぞ」
その確認をして、いち早く対策を講じる、フェルディナンド。
その実力は迷界樹の主。
そして自分の庭先で暴れられては、良い気分ではなかった。


「君たちの遊び、私も混ぜて貰おう。」
今まで一番冷たい声で
主として一人と一匹に伝えた。



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