第56話 ウンター・ヴェルト 紅事件　全てを合わせる者。

｛なめないでください、私は、鑑定栞カンテイノシオリ
　スキルブックの知識の流れの中で生まれた者
　そして、ヒデアキ様と紅竜様を救う答えを持つ者です。｝
　小さな少女の瞳には力強い意思の炎が燃えていた。


「君とは初めて会うけど、俺の好きそうな性格してるから
　本体でいいのか？俺自身は喜んだんじゃない？」
『お主、いやお主の本体は、わっしのお陰でシオリの事は
　気づいておらなんだよ！』
｛それは言わないでください。紅竜様……………
　ってそんな事より、お互いの利益、願いの為にも完遂させますよ！｝
「待つのじゃ、お互いとはお主たちは何を願って、我が肉体に来たのじゃ？」
『わっしの記憶を持って、わっしの身体でヒデと対面する為じゃ
　あやつはこういったのじゃ。
　「生きてまた会おう。」だからわっしの記憶を持って
　あやつとあって貰わなないとわっしの面子に関わるのじゃ！』
「まて、なぜ、そんな人間臭いのじゃ、わっしの分身体は！」
『強大な力がなくなり、一握りで消えてしまうかもしれない気分は
　最初は恐ろしかったが、今は面白いと思っておる
　その気持ちを本体様にも感じさせようと思うのじゃ！』
「そんなのはいらないのじゃ！」
『いや、退屈しておったじゃろ？？
　だからこそ何か面白い事をと思って、暗黒石を受け取ったのじゃから』
「そうか、紅姫は退屈だったから、俺の話を聞いてくれたんだね」
「うるさいのじゃ！、その時の気分で聞いてやっただけじゃ！」
そう言って、拗ねているようにも見えるが楽しんでいる紅姫がそこにはいた。


｛本体も分身体も同じ性格ですね、紅姫様、紅竜様｝
『そうじゃ！』
「違うのじゃ！」
｛息もピッタリですね｝
笑顔で遇らう、シオリだった。
｛さて、そろそろ始めますか｝
そうして、真っ白の世界で目を瞑り何を祈り出す、シオリ。




そうして、光となり三人に光が降り注ぐ。
そして、シオリの声が聞こえる。
｛紅竜様、紅姫様の意識の統合と主人様の分身体を切り離し、主人様の本体に戻します。｝
「俺が戻る時は触れていなくても良いのかい？シオリ」
｛はい、切り離しが出来れば私と一緒に戻れます。
　本来は私は肉体には縛られる必要はありませんので
　この部分は主人様の体に戻る時は消させて頂きます。
　………離れる事はないので｝
「こっちの世界に飛ばされて、本当に怖かったが君のような子に出会えた事が
　俺は嬉しいよ」
『さて、お楽しみの時間じゃ
　統合には時間が少しかかるので外ではお祭り騒ぎになるじゃろ』
「それに参加する為に、さっさと一緒になるとするかの
　あやつを理解して、今度はしっかり物理的にからかってやるのじゃ！」
「お手柔らかに頼むよ、紅姫。
　俺も戻ったら精神的にからかうように準備しておくから」
「それはやめるのじゃ！」


そんな、言葉を無視してもどこか微笑んでいるヒデの分身体は目を瞑り、その光を受け入れた。
そして全員が目を瞑り、光となった。


｛始めます、世界を破滅させる出会いだったものを世界を変える出会いに。｝
その声色は、女神の声とも取れる声だった。