転移したのに人間じゃない!?

逢夢

第51話 ウンター・ヴェルト 紅事件 ディノスの正体。

漆黒石、それは元は違う名前で呼ばれていた。
聖霊石、それは聖なる力を持って
人々の願いを叶える為にほんの少しだけ、後押ししてくれる
そんな些細なアイテムだった。
聖霊石にも意志というものが根底にはあった。
願いを叶えたい。そしてそのまま、聖なるアイテムとして残るはずだった。
ある時を境に、その意味が変わった。


ほんの少し、人の後押しのはずが人々は願った。
「もっと、叶えて欲しい」「更なる高みへ」
聖霊石も願った。
「叶えてあげたい。」「もっと…」と
そして、崇高な願いよりも人々の闇の部分
黒く、ゲスな部分の願いが聖霊石の意志すら飲み込み
漆黒石へと変えた。


聖霊石が自然に出来上がるまで約500年。
聖霊石が漆黒石に変化したのは、たった50年。
それほど、人々の願いは闇が深かった。


そして、漆黒石へと変わり果てた途端人々は、恐れた。
溜まりに溜まった負の力は不幸や天災として人々へと降り注いだ。
とある国の王は、不老不死を願い王に固執した結果、その国は滅び自身は魔物として討伐された。
とある豪商は、願いが叶うランプを願い手に入れ、最初は順調だったが次第に
心が蝕まれ自身がランプに飲み込まれ、ランプは闇に葬られた。


そして、漆黒石は、原色竜 紅姫の手に渡り
原色竜が住む、竜の口と言われる、棲家に運ばれて竜族が保存するはずだった。
その時に、ヒデアキとすれ違い、力の一部がヒデアキに移った。


本来なら、1カケラ(1センチ前後)分の漆黒石の力でも厄災のもとになる。
それが人間に移ったがそれで生き絶えると持っていた。
だから、あの時は見逃して原色竜 紅姫は漆黒石を持ち帰った。
それから少しして漆黒石を見てある時、驚いた。
結界の中で安全に保管されているが
時折、胎動を示す。まるで、力を溜めているように。
そして、漆黒の色をしていた石に
本当に小さな弱いが確かな白い光がある事を気づいた。
漆黒石の負のエネルギーは中で循環している為、外にその力を出さなければ
自身で負のエネルギーを循環し続ける。
だが、その力を全て出して浄化させるには世界が3度ほど滅ばないと
浄化をスタートできないほど、溜まっている負のエネルギー。
それが浄化を示す白の光、元の聖霊石の光を放っている事実。


その原因はあの時だと直感的に思った、原色竜 紅姫。
だから彼女ははウンター・ヴェルトへ向かいあの時の人間を探していた。

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