転移したのに人間じゃない!?

逢夢

第44話 ウンター・ヴェルト 紅事件 いきなり眠らされた!?

「ナンド、ディナン、こちらに聖女様と一緒に来た方々はまだいるかい?」
髪の長い、誰もが見惚れるであろうエルフの男が入ってきた。


「本物のエルフだ!」
俺はテンションが上がり過ぎて大声で言ってしまった。
でも、こんなどう見ても耳がとんがっていて青い目をしていて
腰まである金色の髪を見てしまっては、どうしてもテンションは上がってしまう。


「君はストレートだね」
笑顔で返されてしまった。


「すいません、初めて見たもので…」
「いやいや、良いんだよ、ちょっと驚いたけどね」
ウィンクで返されてしまった。
おぉ〜と驚いているとアマリアは先ほどまでの戸惑いなどなかったかのように
強張って、俺の服の裾を取って寄り添っていた。


「どうした?アマリア?」
「お嬢さんは私が怖いようだけど、君はなんともないね。」
「テンションは上がってますが、特に何も…」
アマリアを落ち着かせるように、抱えながら伝えたが
「うぅ〜ん、普通の人間のようにも見えるのだが
 私が前にいて普通に居られるのもおかしいし…」
と考え込み出した。


「と〜ぉ!!」
「おふっ!」
「いきなり来て、困らせる!」
考え込んだエルフに蹴りを入れナンドとディナン
「ごめんね、アマリアちゃん」
そう言って、アマリアに抱きつく、ディナンちゃん。
「おっちゃんもなんか、ごめんな」
そう言って、俺に謝る、ナンド君。


「いや、俺は良いんだが…」
蹴られて倒れているエルフを見ながら俺は思った。
大丈夫か?あのエルフ?
「いや、大丈夫ではあるんだが、この2人はいつも手厳しくてね。」
そう言いながら、立ち上がる、エルフ。


えっ?俺、今声出してなかったような。


「あぁ、ごめんごめん、心が読めるのでついね。」
笑顔で謝る、エルフ。


「自己紹介が遅れたね。
 私はフェルディナンド。
 この2人の保護者的な立場であり、この2人でもあるし
 迷界樹の主でもあるよ。
 よろしく。」


「そして、少しの間だけ、寝ていて貰えると嬉しいかな」
左手を上げて、こちらに向けてくるフェルディナンド。
「おい、それだと!」
「優しくしてあげて!」
焦っている、ナンド君とディナンちゃん。


「あっ…」
アマリアは少し、うつらうつらしたが、頭を振ったら目が覚めたようだ。
「おっ、アマリア色々あって疲れたか?」
「?? ご主人様はなんともないのですか?」
「何が?」


「ん??」と
俺達の前に立っている、フェルディナンドと後ろの2人。
そして、フェルディナンドは一度深呼吸してから
「そして、少しの間だけ、寝て貰えると嬉しいかな」
「おい、それだと!」
「優しくしてあげて!」
と同じことを繰り返し、またアマリアがうつらうつらしていたが頭を振って起きた。


その間俺はずっと、キョトンとしていた。
その流れが終わった後、フェルディナンド、アマリア、ナンド、ディナンが
俺を見て、キョトンとした。



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