転移したのに人間じゃない!?

逢夢

第32話 迷界樹の暗黒街へ向かう道中 カイザーシュピンネの気持ち

カイザーシュピンネ視点


俺様は、この迷界樹の森 内輪では8つある地域のうち2番目に大きいサイズの地域を
縄張りとして、その頂点に君臨しているカイザーシュピンネ種だ。
迷界樹の森 中心にあるウンター・ヴェルトにつながる道も俺様の支配地域にある。
ウンター・ヴェルトにつながる道の近くに急に魔力の気配を感じて、配下の者が怯え出したお陰で
俺様が直々に出向いてきたのに、そこにいたのは、一人の人間の男と娘だった。


外輪を抜けて、中心に近い内輪部分にいるというのに軽装の二人を見て驚いた。
娘の方は人間ではなく魔物だとなんとなく理解した。
恐ろしく密度が高い魔力を持っていたからだが、男の方は何も感じなかった。
あの娘がいればここまでなんとかこれるだろうが、無傷でこれるだろうか?そんな疑問が浮かんだが
両方捉えれてしまえば問題ないと思い直し、糸を空間に張り巡らせた。


カイザーシュピンネ種の固有スキル
空間配置 3辺が自身の決めた長さで形は正方形の固定空間の中に自身の糸で動きを封じる結界を張れる


高レベルの感知スキル系を持っていないと認識できない能力を使って、糸結界を張った。
これでゆっくりと観察でも虐殺でも出来ると思っていた。
あの何も出来ないと思っていた男が普通に歩き出す瞬間までは。


俺様のこのスキルで動きを封じれないのはサイズが操れる竜種や
透過など姿形を俺様が認識できない状態があった場合程度。


なのになぜ、あの男は動けるのだ!!


そう思ったら体が勝手動き、その男の前に姿を現していた。
そしてまだその糸結界が広がっている中を男は俺様の方に向かってどんどん歩いてくる。
糸は切られ、その目の前に魔力や力などが見ないただただ普通の人間が俺様には恐ろしく写っていたが
俺様のそばまでに来る時に聞こえた一言。


「おぉ〜かっこいい蜘蛛だな」


その一言を聞いた時、心をくすぐられ
この男に仕えても良いと思えるようなそんな気さえ起こさせる一言だった。
なぜ、そう感じたかはわからない。
ただ、俺様の前まで来る間で見せられた未知の力、そして最初に掛けられたその言葉だけで
カイザーシュピンネの王は、目の前の人間を自身の王と認めた。



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