転移したのに人間じゃない!?

逢夢

第18話 ここで生きていく。レギオンゴブリン戦(片付け編)

俺は今まで出したことのない《尻尾》を出した。


スペード状の鱗を連続的に組み合わせた形状をしている尻尾。
蛇腹刀の様なイメージで考えていた、複数殲滅用の武装が、思いついた。
たった1匹の為に、使うのはどうかとも思ったが、思い付いたので使いたくて仕方なかった。


突然、目の前の男にそんな《尻尾》が出てきた事で、動揺しているレギオンゴブリンリーダー。
その気配は見なくても、感じる事が出来た。


そして、もう一歩前に出るのと同時に《尻尾》を本当に軽い気持ちで振った。


振った《尻尾》は蛇腹刀同様、どんどん伸びていき
まるで《尻尾》自体に意識がある様にレギオンゴブリンリーダーの首元に伸びていった。


ただ、そのスピードはレギオンゴブリンリーダーが感知できていなかった。
あっと言う間に突き刺さっていた。


「ナニヲ スル…」
「さすがに よわいものとは くみたくないからな」
レギオンゴブリンリーダーの様に片言で伝え
「お前が俺を試した様に、俺がお前を試した結果だよ」


そして、横に《尻尾》を薙ぎ、身体と頭に分けた。


自分の中に生まれているこのモヤモヤはなんだろう。
まるで獣にでもなった様に全てを壊してしまいたい気持ちに襲われる。




『もう、良いじゃろ、お主は悲しいのじゃよ』
「これは怒りだろ、このモヤモヤは!!」
急に叫んでしまうまでに心に来ていたらしい。
『生きる事は相手を殺す事を今まで感じたことはないものはやはりそうなるのだろうな
 お主の記憶もわっしも見ることは出来る。
 だが、ここはもうお主の生きていた世界とは違う!』
強く紅竜から言われた。
『この世界で生きていく覚悟があるなら、戦い相手の命を奪う事があることは覚悟しろ』
『ただ…………その行為に慣れて、何も感じるなとは言わぬ。
 お主が思う様に感じた様に、この世界を生き抜いて欲しいとわっしは願いたい。』
真面目に伝えてくれた、紅竜。
そして
『強く、凛々しく、わっしの竜の力とお主の力を使って生き抜いていこうぞ』
いつもの感じでラフに伝えてくれた、紅竜。


その喝のお陰か、心が楽になった。
まだ、まだ迷うこともあるだろう
しかし、アマリアや紅竜のお陰で俺は迷いながらも生きていると
そう感じた、戦いだった。



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