転移したのに人間じゃない!?

逢夢

第10話 ここで生きていく。 朝焼け

アマリアや紅竜との会話をしているうちに
朝が開けてきたのか、少しずつ明るくなってきた。


結構、長めに気絶していた事がこれでわかった。
アマリアには本当に感謝だ。
あんな狼の魔物に襲われていたらと考えると…恐ろしい。
それはそうと、これからどうするか、考えないと。


「アマリアはここがどういう場所か正確にわかるかい?」
「はい、ここは 迷界樹の森 と人間達は言っていました
 それとこんなものも持っていました。」
どこから出したのか、それは銀色のコインだった。
銀貨にはミルヒシュトラーセ王国と名が入っていた。
「あれ?これ読めるぞ」
『当たり前じゃ、わっしの記憶を持っているからの〜』
「言葉も通じるのか」
『多分、大丈夫じゃ!』
「本当か??」
『…………多分!』
その時になったらわかるからからかうのはこの辺でやめて
言葉がわかるのはありがたい。
これで大分、楽になる。
「しかしミルヒシュトラーセ王国ね、本当に違う世界なんだな」
コインを見ながら、そんな言葉が出てきた。


自分がこの世界で生きていくという事が
やっとリアルに感じてきた。


アマリアは独り言を言っている俺を不思議がって
「どうして、一人で喋るのですか??」
と聞いてきた。
「あぁ〜ごめんな、よく俺もわからないんだが紅竜の記憶というのがあって
 記憶なのに俺と意思疎通が出来るんだよ。」
「イシソツウ??」
??という感じが伝わる表情でこちらを見る、アマリア。
「わかりやすくいうと、喋れるって事。
 俺の中にもう一人いる感じかな、時々勝手に喋ってくるから反応すると
 独り言っぽくなる感じかな」
「ご主人様は二人いるんですか??」
『そうじゃ、わっしも敬うが良い!』
「おっ、お声だけ聞こえました!!」
「えっ?マジで?」
「はい!」
嬉しそうなアマリア。
「よろしくお願いします!紅竜様」
『アマリアとやら、よろしくのぅ〜』


記憶だけのはずが、喋れるしここまで意思疎通が出来るものなのか?
竜ってすごいなと思っていたら
『わっしはすごいのじゃ!わかったか!』
「すごいです、すごいです!」と褒めるアマリアのお陰で
いつも以上にテンションが高い紅竜の記憶は嬉しそうだった。


俺は最初からあんまり、相手にしてなかったもんな。
ごめんな、紅竜。

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