転移したのに人間じゃない!?

逢夢

第8話 変移の形 ブラッドマンイーターの想い(後編)

全身に漲る力から先ほど燃やされた荊棘のツタもあっという間に
復活をしていた。


そして、スタンプボアの頭と血の栄養素をある程度吸った事もあるが
今日まで断食していた為に食欲が一気に湧き上がって来た。


目の前の強き者は、襲う気は無いがスタンプボアの分解された肉は
興味がある。とういうかそれにしか興味がない。


そして、また燃やされるかもしれないが食欲には勝てずに
荊棘のツタを伸ばし肉を掴んだ。


そして、その瞬間に強き者が荊棘のツタを見つめていた。


終わった、これはさすがに終わった。。。


そう思ったら、こちらを見て少し苦笑い様な感じで
「ちょっと待ってろ、生肉も良いとは思うが、焼いた肉も食べてみろ」
と言ってくれた。
人間の言葉など今まではわかるはずもないのになぜか今は理解できた。


そして、焼き上がった事を教えてくれた。
持ち上げて、自分の所まで持って来て、一口喰らいついた。


焼いたその肉は、普段食べているエサとは全く違った味だった。
こんなにも旨味が強く、しっかりと食べ応えがある肉は初めてだとさえ
感じた。
あっという間になくなった。でももっと食べたい。
ダメならダメで聞いてみよう。


そして荊棘のツタを伸ばし、別の部位を荊棘のツタで指した。


「まだ、食えるのか?」
喰える、貴方が作ったのならもっと喰えると思い
荊棘のツタを相槌の様に上下させた。


「食える時には食っとく感じでまた捕まえればいいか」
やはり、貰う事が出来るらしい。
言ってみるもんだと思いつつ
更に「しかし、うま味の強い部位が好きだね、君は」と
問われたので
貴方の作るものなら多分、なんでも美味いと思うと思い
荊棘のツタでサムズアップの形にした。
「どこで覚えるんだ、そんなこと!」
どこで覚えたかは忘れたが、喜んで貰えたと思い
なぜか嬉しくなった。
そして、その肉も堪能した後も骨の周りの肉や内臓なども
今までは出来なかった、根を使った動きでその骨と内臓の山まで
自力で動き、一気に吸い上げて力とした。
全てを吸い上げて粉になるまで吸い上げた時に気づいた。
このスタンプボアは、この辺では強い方にいた奴だったと。
強い奴を喰らえば強くなるブラッドマンイーターとしては
こんなに幸運なことはなかった。
更に感謝を少しでも伝えれればと思っていたら


「こんな植物いるんだなぁ〜」
そして、少しの間があったのち
「なんかあるかなぁ〜いい名前」
と強き者が言った。


名と言ったか?それは本気なのか?
そう思って、根を動かしながらその強き者に近づいた所で
「アマリア」と言われた。


「アマリア」そう、私は「アマリア」。
それが主人である、タチバナヒデアキとの出会いだった。

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