エルティモエルフォ ―最後のエルフ―
第70話
「我々は王の命によって、調査と共に、この地を手に入れるように言われてきました」
ケイたちが警戒したのが分かったが、ファウストは特に態度を変えることなく話し始めた。
要するに、この島を獣人族の領土の1つにするということだろう。
「…………それで?」
ファウストの態度で、ケイは若干緊張を緩め、話の続きを促した。
「住人がいないと思っていたため揉めることもないと思っていたのですが、いたとなると話が変わってきます」
「……力尽くってことですか?」
話を聞いた感じから、揉めるようなことをするつもりなのだろうか。
なんとなく嫌な予感がしたので、ケイはストレートに問いかけた。
「力尽くと言えばある意味力尽くですね」
「ある意味?」
返答次第ではすぐにでも腰の銃を抜こうと思っていたケイだが、なんとなく中途半端な答えに手が動かなかった。
力尽くにしては様子が違うようなので、話を最後まで聞くことにした。
「勘違いしないでほしいのですが、何かしらの勝負によって決めたいと思っています」
「……勝負?」
そもそも、勝手に来ておいて戦えということにツッコミを入れたいところだが、ただの暴力で奪い取りに来たのではないということは分かった。
しかし、結局のところ戦わなくてはならないというのは変わらないようだ。
「ルイスと同じパターンのようだな……」
「物事を決める時は戦って決めるというのが風習なので……」
獣人は強さ重視な部分が部分があることは聞いていたが、まさかこんな時がまた来るとは思ってもいなかった。
しかし、ルイスとも話し合っていたので、この提案は予想できた。
そのため、ファウストの提案に驚きはしなかった。
獣人たちには普通のことだが、ケイたち人族側にはそういった風習がない。
なので、いきなり勝負というのはちょっと疑問がわいてくる。
「戦って決めるってそんなのずるくないか?」
たしかに略奪とかとは違うが、未開の地に向かうような戦闘自慢の連中が、普通の村人相手に戦えというのは結果が分かり切っている。
完全に出来レースのようなものではないか。
挑まれてもそんな不条理受け入れる訳にもいかない。
「勝負内容は何でもいいですよ」
「……じゃあ、例えばじゃんけんでも良いのか?」
と思っていたら、そうでもなかったようだ。
何でも良いというなら、ケイが言うようにじゃんけんでも良いということになる。
「極論はそうですが、さすがにそれで完全に我々が引き下がるとは思ってほしくないです」
「なるほど……、それでこっちが勝っても、一旦引くだけってことか……」
たしかに、王にじゃんけんで負けたからあの島は諦めましょうはあり得ない。
勝負内容は何でも良いと言っても、その内容によっては一時の猶予を得るだけにしかならないようだ。
何度も勝負に来られるのは、こっちとしても面倒くさい。
「ルイス、今回だけで済ませられるようにできないか?」
この島は、もうここに住むみんなの物。
武力で来られたら数の面から降伏するかもしれないが、いきなりきた者にあっさり渡すのは癪に障る。
何か策がないかと、ケイはルイスに尋ねた。
「ケイ殿なら大丈夫じゃないですか?」
「えっ?」
自分なら大丈夫言われても、何が大丈夫なのか心当たりがない。
ルイスの言葉に、ケイは首を傾げた。
「武力で戦うことが獣人にとっては最大の決着方法です。なので、戦えば良いと思います」
「王命を受けるような部隊なのに弱いのか?」
目の前のファウストたちは、国という大きな組織に属する部隊。
ルイスも戦闘自慢な部分があったが、言ってはなんだが地方の村の中での話。
国中から集めたであろう実力者たちの集まりである彼らが、ケイには勝てないとルイスは普通に言うので、実力がたいしたことないと言っているように聞こえた。
「いや、そうじゃなくて、今のケイ殿が負けるとは思わないので……」
ルイスが初めて会った時ですらケイの実力はとんでもなかったが、これまでの年月でさらにとんでもない強さになっている。
しかも特殊な人種なせいか、年による肉体の老化が全くない。
子供や孫ができて、昔のような強さがもう必要なくなってきたルイスとは違い、村のみんなのために常に魔物と戦い続けているケイではもう格が違い過ぎる。
ファウストは耳や尻尾の模様を見た感じ、恐らくは虎人族だろう。
集団戦闘が得意なルイスたち狼人族とは違い、個人戦闘が得意なタイプの獣人だ。
ルイスでは勝つのは難しそうだが、少しはいい勝負ができるとは思う。
その程度の相手ならケイが負けるわけがない。
「……勝てるかな?」
「大丈夫です!」
勝負の前に相手を鑑定するのは、誠実に話してくるファウストに対して卑怯な気がしてすることができない。
なので、見た目だけで判断するしかないのだが、ファウストは筋肉が必要なところに必要なだけしっかりついていて、かなりバランスがとれているように見える。
佇まいからは自信に満ちているように見えるため、なんか強そうだ。
勝てるか疑問に思うケイが尋ねると、ルイスは自信ありげに返答してきた。
「いかがですか? 勝負内容は知能戦でも構いませんよ」
「いや、武力で勝負する」
知能戦でも良いかもしれないが、ルイスがこれだけ自信ありげに言うのだから大丈夫だろう。
何度も挑まれるくらいなら、今回限りで済むように武力で決着をつけた方が良い。
なので、ケイは武力で勝負することにした。
「……宜しいのですか?」
「あぁ!」
ファウストたちからすると、全く筋肉のついていないケイは弱そうに見える。
同じ獣人のルイスたちは手強そうだが、国のエリートである自分たちが負けるわけがない。
なので、知能戦を選ぶと思っていたため、ファウストは武力勝負を選択するとは思わなかった。
何だか舐められたような気がしたのか、ファウストの部下たちは表情が少し硬くなっている。
しかも、確認の問いかけにケイの返事がすぐ帰って来た事で、更にムッとした表情をした。
ケイたちが警戒したのが分かったが、ファウストは特に態度を変えることなく話し始めた。
要するに、この島を獣人族の領土の1つにするということだろう。
「…………それで?」
ファウストの態度で、ケイは若干緊張を緩め、話の続きを促した。
「住人がいないと思っていたため揉めることもないと思っていたのですが、いたとなると話が変わってきます」
「……力尽くってことですか?」
話を聞いた感じから、揉めるようなことをするつもりなのだろうか。
なんとなく嫌な予感がしたので、ケイはストレートに問いかけた。
「力尽くと言えばある意味力尽くですね」
「ある意味?」
返答次第ではすぐにでも腰の銃を抜こうと思っていたケイだが、なんとなく中途半端な答えに手が動かなかった。
力尽くにしては様子が違うようなので、話を最後まで聞くことにした。
「勘違いしないでほしいのですが、何かしらの勝負によって決めたいと思っています」
「……勝負?」
そもそも、勝手に来ておいて戦えということにツッコミを入れたいところだが、ただの暴力で奪い取りに来たのではないということは分かった。
しかし、結局のところ戦わなくてはならないというのは変わらないようだ。
「ルイスと同じパターンのようだな……」
「物事を決める時は戦って決めるというのが風習なので……」
獣人は強さ重視な部分が部分があることは聞いていたが、まさかこんな時がまた来るとは思ってもいなかった。
しかし、ルイスとも話し合っていたので、この提案は予想できた。
そのため、ファウストの提案に驚きはしなかった。
獣人たちには普通のことだが、ケイたち人族側にはそういった風習がない。
なので、いきなり勝負というのはちょっと疑問がわいてくる。
「戦って決めるってそんなのずるくないか?」
たしかに略奪とかとは違うが、未開の地に向かうような戦闘自慢の連中が、普通の村人相手に戦えというのは結果が分かり切っている。
完全に出来レースのようなものではないか。
挑まれてもそんな不条理受け入れる訳にもいかない。
「勝負内容は何でもいいですよ」
「……じゃあ、例えばじゃんけんでも良いのか?」
と思っていたら、そうでもなかったようだ。
何でも良いというなら、ケイが言うようにじゃんけんでも良いということになる。
「極論はそうですが、さすがにそれで完全に我々が引き下がるとは思ってほしくないです」
「なるほど……、それでこっちが勝っても、一旦引くだけってことか……」
たしかに、王にじゃんけんで負けたからあの島は諦めましょうはあり得ない。
勝負内容は何でも良いと言っても、その内容によっては一時の猶予を得るだけにしかならないようだ。
何度も勝負に来られるのは、こっちとしても面倒くさい。
「ルイス、今回だけで済ませられるようにできないか?」
この島は、もうここに住むみんなの物。
武力で来られたら数の面から降伏するかもしれないが、いきなりきた者にあっさり渡すのは癪に障る。
何か策がないかと、ケイはルイスに尋ねた。
「ケイ殿なら大丈夫じゃないですか?」
「えっ?」
自分なら大丈夫言われても、何が大丈夫なのか心当たりがない。
ルイスの言葉に、ケイは首を傾げた。
「武力で戦うことが獣人にとっては最大の決着方法です。なので、戦えば良いと思います」
「王命を受けるような部隊なのに弱いのか?」
目の前のファウストたちは、国という大きな組織に属する部隊。
ルイスも戦闘自慢な部分があったが、言ってはなんだが地方の村の中での話。
国中から集めたであろう実力者たちの集まりである彼らが、ケイには勝てないとルイスは普通に言うので、実力がたいしたことないと言っているように聞こえた。
「いや、そうじゃなくて、今のケイ殿が負けるとは思わないので……」
ルイスが初めて会った時ですらケイの実力はとんでもなかったが、これまでの年月でさらにとんでもない強さになっている。
しかも特殊な人種なせいか、年による肉体の老化が全くない。
子供や孫ができて、昔のような強さがもう必要なくなってきたルイスとは違い、村のみんなのために常に魔物と戦い続けているケイではもう格が違い過ぎる。
ファウストは耳や尻尾の模様を見た感じ、恐らくは虎人族だろう。
集団戦闘が得意なルイスたち狼人族とは違い、個人戦闘が得意なタイプの獣人だ。
ルイスでは勝つのは難しそうだが、少しはいい勝負ができるとは思う。
その程度の相手ならケイが負けるわけがない。
「……勝てるかな?」
「大丈夫です!」
勝負の前に相手を鑑定するのは、誠実に話してくるファウストに対して卑怯な気がしてすることができない。
なので、見た目だけで判断するしかないのだが、ファウストは筋肉が必要なところに必要なだけしっかりついていて、かなりバランスがとれているように見える。
佇まいからは自信に満ちているように見えるため、なんか強そうだ。
勝てるか疑問に思うケイが尋ねると、ルイスは自信ありげに返答してきた。
「いかがですか? 勝負内容は知能戦でも構いませんよ」
「いや、武力で勝負する」
知能戦でも良いかもしれないが、ルイスがこれだけ自信ありげに言うのだから大丈夫だろう。
何度も挑まれるくらいなら、今回限りで済むように武力で決着をつけた方が良い。
なので、ケイは武力で勝負することにした。
「……宜しいのですか?」
「あぁ!」
ファウストたちからすると、全く筋肉のついていないケイは弱そうに見える。
同じ獣人のルイスたちは手強そうだが、国のエリートである自分たちが負けるわけがない。
なので、知能戦を選ぶと思っていたため、ファウストは武力勝負を選択するとは思わなかった。
何だか舐められたような気がしたのか、ファウストの部下たちは表情が少し硬くなっている。
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