復讐、報復、意趣返し……とにかくあいつらぶっ殺す!!
第35話 ワニとの戦闘
「完全にハズレだな……」
「そうですね……」
町のはずれに住み着いた人間がいるということで、ワニ被害と合わせて限たちを人体実験した研究員の可能性を考えたのだが、完全に期待とは違っていた。
確認せずに建物ごと破壊していたら危ないところだった。
町中に戻ってきた限とレラは、残念そうに呟く。
「つーか、ただの大家族じゃねえか! あのジジイ!」
「でしたね……」
こんな結果になり、限は町中で聞いた老人に文句を言いたいところだ。
たしかに老人の言うように数人が集まっていた。
しかし、それはただ子沢山の家族が住み着いていただけだった。
どうやら小人族のゼータの祖父の占いは、どうやらここを指していたのではないのかもしれない。
「でも、ワニの被害に遭ったのは事実ですから、どうにかした方が良いですよね?」
「あぁ、せめてそのワニでも捕まえて食っちまおう」
研究員は居なかったため、この町を破壊したワニは単純に発生した変異種なのかもしれない。
せっかく来たのに、空振りで帰るのはつまらない。
そのワニもまだ駆除されていないという話だし、限は捕まえて食ってしまうことにした。
「……ワニを食べるののですか?」
「何言ってんだ? ワニ肉は美味いんだぞ」
鳥や豚などの肉はレラも食べるが、ワニ肉はあまり食べたことがない。
と言うよりも、食べられるのかという疑問が浮かぶ。
そんなレラに対し、限はまるで当たり前のように発言する。
「脂の乗った鶏肉って感じかな……」
「へぇ~……」
限が地下廃棄場で暮らしていた頃、何度かワニの死体も落とされて来た。
ワニ肉は食べられるとは聞いていたが、どんな味だか分からなかったため、最初は限も試す気持ちで食べてみた。
すると、鶏肉に近い味をしていて臭みもなく、とても気に入ったのを思いだす。
何なら食用として繁殖するのを進めたいくらいだ。
「聞いてると何だか美味しそうです!」
「いや、美味いから楽しみにしてろよ!」
「はいっ!」
限が気にいているため、討伐前からワニ肉の話にばかりになってしまう。
聞いていたレラも何だか食べてみたくなってきた。
そもそも、限が言っているので、もう食べることは決定した状態だ。
「そういや、どうやって捕まえるか?」
「海の中で戦うとなると不利ですからね……」
泳ぎの上手い生物相手に人間が立ち向かうのは、かなり無謀な行為だ。
水中だと水の抵抗もあって打撃なんて通用しないため、魔法で戦う以外の方法は無いも等しいといえる状況だ。
「キュキュッ!」
「んっ? もしかしてお前が囮になるって?」
「キュッ!」
見つけることも捕まえる方法もないまま、限とレラがが策を考え始めると、亀のニールが声をかけてきた。
言葉は分からないが、従魔になったことで限にはなんとなく意思は伝わってくる。
確認するようにニールの言いたいことを問いかけると、正解だったようで頷きを返してきた。
「大丈夫か? また食われないか?」
「キュッ!」
限がニールに会うことになったのは、この町を破壊したワニによって脚を怪我をしたからだ。
それなのに囮のようなことをして、また怪我をするのではないかと心配になって来る。
念のため確認すると、ニールは平気と言わんばかりに右前足を上げた。
「じゃあ、お前がおびき寄せて、ワニを町近くの陸に上がらせてくれるか?」
「キュッ!」
レラの言うように、水中で戦うのは不利かもしれない。
限は何とかする方法はあるが、それよりもワニを陸に上げて戦った方が勝つことができると思う。
そのため、囮役をかって出てくれたニールに誘導してもらい、陸に上げて戦う作戦をおこなうことに決定し、ワニの大きさがどれくらいなのか分からないので、念のため町から離れた所で戦うことにした。
「……大丈夫でしょうか?」
「待つしかないだろ?」
町から少し離れた海岸で待ち受けることにした限たち。
大きさを元の巨大サイズにしたニールは、そのまま海へと入って行った。
それから少し経つが、まるっきり音沙汰無しという状況になっている。
そのため、レラはニールのことが心配になってきたようだ。
もしかしたらという嫌な予想をしてしまうのだろう。
限も心配ではあるが、ニール自身が名乗り出たことなので信じて待つしかない。
「っ!! 来たか!?」「ッ!? ワウッ!」
「えっ!? はい!」
ニールのことを待っていた限たちだったが、何かが近付いてくることに気が付いた。
そのため、限とアルバは同時とも言うようなタイミングで臨戦態勢に入った。
攻撃魔法の威力は上がってきているが、魔力の探知などはまだそこまで得意ではないのか、レラは一人ワンテンポ遅れて武器となる杖を構えた。
「キュッ!!」
「ガアァーー!!」
大きな波が押し寄せてきたと思ったら、そこから勢いよくニールが飛び出してきた。
すぐさま小型化して海岸に着地すると、ニールはそのまま限たちの背後へと下がった。
「キュッ!!」
「よくやった! 休んでていいぞ!」
連れてきたと言うように鳴き声を会えたニールに、限はそのまま休憩するように指示した。
長い間全力で泳いだのが分かるように、ニールが疲れているのに気付いたからだ。
「……結構でけえな」
追いかけてきたワニは、ニールが小さくなったことに気付いていないのか、周りをキョロキョロと眺めている。
まるで眼中にないような態度にイラつくが、限はひとまずワニの全身を見て分析を開始した。
そのうえでの感想はこの一言だった。
ニールの足の一部を噛み千切るようなワニだから、3、4mくらいかと予想していたがその考えは間違いだったようだ。
倍近い大きさのワニが目の前にいる。
人も簡単に食べてしまいそうな印象に思える。
こんなのが暴れたら、町が大規模に破壊されても仕方がない。
「グルㇽㇽ……」
「おっ! ようやく俺たちに気付いたか?」
食いごたえのありそうなでかい亀がいなくなってしまったが、ワニは側に限たちがいることに気付いたのようだ。
餌だと思ったのか、涎を垂らしながらこちらへと近付いてきた。
「俺がメインで突っ込む! アルバも隙を見て攻撃しろ!」
「ワウッ!」
このワニはでかいだけでなく、皮も厚そうだ。
しかし、白狼のアルバの牙ならなんとかダメージを与えられる事だろう。
アルバの場合魔法も使えるので、適度に距離を測って戦うように指示を出す。
「レラは俺たちの援護とニールの護衛だ!」
「畏まりました!」
魔法での戦いがメインのレラは、ワニの気を反らすなどことで限たちが攻撃するのを援護してもらう。
あと、もう少しの間ニールが回復するまで守ることを指示した。
少し休めば、ニールも魔法を使った攻撃をしてくれるだろう。
「グルアァァーー!!」
「やかましいな! 咆哮で動きを止めようって考えか!?」
魔物の中には、大きな声を出してこちらの動きを止めようとするものがいる。
このワニも、その咆哮で自分たちを動けなくするつもりなんだろうが。
しかし、相手が限たちでなければ通用しただろうが、限をはじめとしてみんな咆哮に対して耳を防ぐ反応をしたためなんの成果も出さなかった。
「刀は通用するか?」
「ギャッ!!」
まずは限が先陣を切って攻めかかたった。
刀でどれほどのダメージを与えられるか確認する。
ワニは大きく口を開けて噛みついてくるが、限は左へ躱して難なく回避する。
「充分通用するようだな……」
接近すると同時に、限は刀を抜いて斬り刻む。
硬いことは硬いが、限の刀攻撃はワニに通用し、小さいながらも多くの傷を負わせることに成功した。
足を斬られた痛みで腹を立てたのか、ワニは怒りの満ちた目で限を睨んだ。
「そうですね……」
町のはずれに住み着いた人間がいるということで、ワニ被害と合わせて限たちを人体実験した研究員の可能性を考えたのだが、完全に期待とは違っていた。
確認せずに建物ごと破壊していたら危ないところだった。
町中に戻ってきた限とレラは、残念そうに呟く。
「つーか、ただの大家族じゃねえか! あのジジイ!」
「でしたね……」
こんな結果になり、限は町中で聞いた老人に文句を言いたいところだ。
たしかに老人の言うように数人が集まっていた。
しかし、それはただ子沢山の家族が住み着いていただけだった。
どうやら小人族のゼータの祖父の占いは、どうやらここを指していたのではないのかもしれない。
「でも、ワニの被害に遭ったのは事実ですから、どうにかした方が良いですよね?」
「あぁ、せめてそのワニでも捕まえて食っちまおう」
研究員は居なかったため、この町を破壊したワニは単純に発生した変異種なのかもしれない。
せっかく来たのに、空振りで帰るのはつまらない。
そのワニもまだ駆除されていないという話だし、限は捕まえて食ってしまうことにした。
「……ワニを食べるののですか?」
「何言ってんだ? ワニ肉は美味いんだぞ」
鳥や豚などの肉はレラも食べるが、ワニ肉はあまり食べたことがない。
と言うよりも、食べられるのかという疑問が浮かぶ。
そんなレラに対し、限はまるで当たり前のように発言する。
「脂の乗った鶏肉って感じかな……」
「へぇ~……」
限が地下廃棄場で暮らしていた頃、何度かワニの死体も落とされて来た。
ワニ肉は食べられるとは聞いていたが、どんな味だか分からなかったため、最初は限も試す気持ちで食べてみた。
すると、鶏肉に近い味をしていて臭みもなく、とても気に入ったのを思いだす。
何なら食用として繁殖するのを進めたいくらいだ。
「聞いてると何だか美味しそうです!」
「いや、美味いから楽しみにしてろよ!」
「はいっ!」
限が気にいているため、討伐前からワニ肉の話にばかりになってしまう。
聞いていたレラも何だか食べてみたくなってきた。
そもそも、限が言っているので、もう食べることは決定した状態だ。
「そういや、どうやって捕まえるか?」
「海の中で戦うとなると不利ですからね……」
泳ぎの上手い生物相手に人間が立ち向かうのは、かなり無謀な行為だ。
水中だと水の抵抗もあって打撃なんて通用しないため、魔法で戦う以外の方法は無いも等しいといえる状況だ。
「キュキュッ!」
「んっ? もしかしてお前が囮になるって?」
「キュッ!」
見つけることも捕まえる方法もないまま、限とレラがが策を考え始めると、亀のニールが声をかけてきた。
言葉は分からないが、従魔になったことで限にはなんとなく意思は伝わってくる。
確認するようにニールの言いたいことを問いかけると、正解だったようで頷きを返してきた。
「大丈夫か? また食われないか?」
「キュッ!」
限がニールに会うことになったのは、この町を破壊したワニによって脚を怪我をしたからだ。
それなのに囮のようなことをして、また怪我をするのではないかと心配になって来る。
念のため確認すると、ニールは平気と言わんばかりに右前足を上げた。
「じゃあ、お前がおびき寄せて、ワニを町近くの陸に上がらせてくれるか?」
「キュッ!」
レラの言うように、水中で戦うのは不利かもしれない。
限は何とかする方法はあるが、それよりもワニを陸に上げて戦った方が勝つことができると思う。
そのため、囮役をかって出てくれたニールに誘導してもらい、陸に上げて戦う作戦をおこなうことに決定し、ワニの大きさがどれくらいなのか分からないので、念のため町から離れた所で戦うことにした。
「……大丈夫でしょうか?」
「待つしかないだろ?」
町から少し離れた海岸で待ち受けることにした限たち。
大きさを元の巨大サイズにしたニールは、そのまま海へと入って行った。
それから少し経つが、まるっきり音沙汰無しという状況になっている。
そのため、レラはニールのことが心配になってきたようだ。
もしかしたらという嫌な予想をしてしまうのだろう。
限も心配ではあるが、ニール自身が名乗り出たことなので信じて待つしかない。
「っ!! 来たか!?」「ッ!? ワウッ!」
「えっ!? はい!」
ニールのことを待っていた限たちだったが、何かが近付いてくることに気が付いた。
そのため、限とアルバは同時とも言うようなタイミングで臨戦態勢に入った。
攻撃魔法の威力は上がってきているが、魔力の探知などはまだそこまで得意ではないのか、レラは一人ワンテンポ遅れて武器となる杖を構えた。
「キュッ!!」
「ガアァーー!!」
大きな波が押し寄せてきたと思ったら、そこから勢いよくニールが飛び出してきた。
すぐさま小型化して海岸に着地すると、ニールはそのまま限たちの背後へと下がった。
「キュッ!!」
「よくやった! 休んでていいぞ!」
連れてきたと言うように鳴き声を会えたニールに、限はそのまま休憩するように指示した。
長い間全力で泳いだのが分かるように、ニールが疲れているのに気付いたからだ。
「……結構でけえな」
追いかけてきたワニは、ニールが小さくなったことに気付いていないのか、周りをキョロキョロと眺めている。
まるで眼中にないような態度にイラつくが、限はひとまずワニの全身を見て分析を開始した。
そのうえでの感想はこの一言だった。
ニールの足の一部を噛み千切るようなワニだから、3、4mくらいかと予想していたがその考えは間違いだったようだ。
倍近い大きさのワニが目の前にいる。
人も簡単に食べてしまいそうな印象に思える。
こんなのが暴れたら、町が大規模に破壊されても仕方がない。
「グルㇽㇽ……」
「おっ! ようやく俺たちに気付いたか?」
食いごたえのありそうなでかい亀がいなくなってしまったが、ワニは側に限たちがいることに気付いたのようだ。
餌だと思ったのか、涎を垂らしながらこちらへと近付いてきた。
「俺がメインで突っ込む! アルバも隙を見て攻撃しろ!」
「ワウッ!」
このワニはでかいだけでなく、皮も厚そうだ。
しかし、白狼のアルバの牙ならなんとかダメージを与えられる事だろう。
アルバの場合魔法も使えるので、適度に距離を測って戦うように指示を出す。
「レラは俺たちの援護とニールの護衛だ!」
「畏まりました!」
魔法での戦いがメインのレラは、ワニの気を反らすなどことで限たちが攻撃するのを援護してもらう。
あと、もう少しの間ニールが回復するまで守ることを指示した。
少し休めば、ニールも魔法を使った攻撃をしてくれるだろう。
「グルアァァーー!!」
「やかましいな! 咆哮で動きを止めようって考えか!?」
魔物の中には、大きな声を出してこちらの動きを止めようとするものがいる。
このワニも、その咆哮で自分たちを動けなくするつもりなんだろうが。
しかし、相手が限たちでなければ通用しただろうが、限をはじめとしてみんな咆哮に対して耳を防ぐ反応をしたためなんの成果も出さなかった。
「刀は通用するか?」
「ギャッ!!」
まずは限が先陣を切って攻めかかたった。
刀でどれほどのダメージを与えられるか確認する。
ワニは大きく口を開けて噛みついてくるが、限は左へ躱して難なく回避する。
「充分通用するようだな……」
接近すると同時に、限は刀を抜いて斬り刻む。
硬いことは硬いが、限の刀攻撃はワニに通用し、小さいながらも多くの傷を負わせることに成功した。
足を斬られた痛みで腹を立てたのか、ワニは怒りの満ちた目で限を睨んだ。
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