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前の野原でつぐみが鳴いた

小海音かなた

Chapter.53

 翌日。「お店、良さそうなトコ見つけたからあとでグループに送っとくね」と右嶋に言われ、紫輝がキョトンとした。
「えっ? 忘れたの? おじいちゃん」
「……あぁ! えっ? 気ぃ早くない? 鹿乃江さんの都合もわかんないのに」
「カノエさんって言うの?」
「えっ……うん」
「写真ないの写真」
「ないよ」
「この写真じゃカオわかんないしなー」と左々木がスマホを操作して、いつかの雑誌記事を表示させた。
「ちょっとやめてヨ」
 完全にイジられている。
「会えるのたのしみだなー」
「オレらだって最近スケジュール合わないのに、すぐにはムリでしょ」
「そこをなんとかするのがリーダーの仕事でしょ?」
「いや、所沢さんの仕事でしょ」
 名前を呼ばれ、かたわらでスケジュール確認をしていた所沢が顔をあげる。
「なに?」
「所沢さーん」
「なに」猫なで声の右嶋をあからさまに警戒する所沢。
「おやすみちょーだい♪」
「えっ? いつ?」
 開いていたスケジュール帳を確認して右嶋に問いかけるが
「えっ、わかんない。いつ?」右嶋は答えず紫輝に問う。
「えっ、オレもわかんない」問われた紫輝も、右嶋に負けじとキョトン顔だ。
「空けたい日あるなら善処するから、決まったら教えて」所沢の提案に
「はーい」と右嶋、
「はーい」左々木、
「はーい」後藤が返事し、
「はーい」と紫輝の手を挙げて右嶋が代返した。
「えっ? 全員? いーけど別に」
「所沢さんも一緒に行こうよ~」
「いいよ別に。紫輝のカノジョとか、俺が会ってどーすんの」
「えっ、聞いてないフリして聞いてるのズルくないっすか?」
「別に聞いてないフリはしてないよ。仕事してただけだよ」
「そうっすけどー」
「応援するけど羽目は外さないように。あと、なにかあったらすぐ報連相ね」
「はいっ」所沢の急な業務口調に、紫輝は背筋を伸ばして返事する。
「後藤、左々木、右嶋は会ったあと、どんなコだったか俺に報告すること」
「らじゃー」敬礼して返事する三人に
「いや、要らないでしょ報告」紫輝がツッコミを入れる。
「これも仕事の一環だから」うそぶく所沢に
「いやいやいや。別にいーですけど」
 苦笑しながら紫輝が頭を掻く。
 さて、鹿乃江になんと説明したものか、と考えつつ、待ち合わせ時間を決めるためにメッセを送信した。

* * *

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