天使と悪魔と死神と。
3ー2 東門の戦い
 2人が使える能力は、記憶を操ることと言ったことが本当になること。青斗がどんな能力を持っているかは分からないので何とも言えない。 だが、アペルには策があるのか
「君はここで待ってて。僕一人で大丈夫だ。」
と言って、アペルだけで青斗の前に立つ。杏樹は特に返事をすることもなくアペルの背中を目で追う。
「あれ?杏樹ちゃんは?」
 青斗はチラリと杏樹を見る。
「君は僕一人で充分だ。───何があっても杏樹ちゃんには手を出すなよ?」
 最後だけいつもより低い声で言い、青斗を睨みつける。
「えぇ〜?アペルくん1人で充分とか、めっちゃ僕を馬鹿にしてる感じするぅ〜……。杏樹ちゃんの能力も知りたかったのに……。でもアペルくん以外には何もしないから大丈夫!―――アペルくん以外は、ね?」
 青斗はウシシと笑った。だが、次の瞬間今までの可愛らしい顔をはどこへやら、今度は青斗がアペルを睨む。
「じゃあ今度こそ始めようか!」
そう青斗が言った瞬間、水がどこからか流れてくるように杏樹は見えた。
 しかし、実際はそうではない。
 青斗の  ゛手  ゛から水が出ていたのだ。
 杏樹は驚くと同時にそれが青斗の能力だと悟った。アペルが対応できているかアペルへと視線を戻す。
 アペルは軽々と水を避けて青斗との距離を詰めていた。最初は余裕だった青斗も次第に汗を浮かべる。
「あれぇ?さっきは余裕そうだったけどなぁ〜?」
「う、うるさい!!」
 アペルに煽られるのが嫌だったのか、青斗が叫んだ瞬間今までの倍の量の水がアペルを追いかける。
 だが、アペルはそれもわかっていたかのように、かわしていく。アペルが青斗の額に触れた瞬間、アペル達の勝ちが決まる。
 アペルはどんどん青斗に近づく。
 青斗は下がるが水を操りながらなのであまり上手く避けることが出来ない。そして遂にアペルは青斗に追いついた。
「そんな攻撃は僕に効かないよ?」
アペルは笑い、青斗が目を見開く。青斗は避けようとするも一瞬早く、アペルの手が青斗の額に触れる。手から滝のように吹き出てきた水もスっと引いていった。青斗は動かなくなる。アペルが記憶を操っているのだ。
 暫くすると、青斗は自我を取り戻し、頭を抱えながら座り込む。
「ぐぅ……。」
おそらくアペルが青斗にとって、辛い記憶などを付け加えたのだろう。顔は青ざめ、何かブツブツと呟く。記憶を操ることに成功したことを確認し、アペルは振り返った。そして少し離れた所にいる杏樹に声をかける。
「ねぇ〜〜!君がトドメをさしてくれなぁい?」
「私……?わかった。」
 杏樹は特に何も考えず言われた通りに動く。
 第1人格目の杏樹だったらトドメをさすことはできなかっただろう。だが、第2人格目の杏樹はそんな慈悲など持ち合わせていない。殺れと言われたら殺るだけなのだ。
「トドメって言っても青斗の右耳に付いてる東って書いてある玉を取るだけでいいから。守人の魂はそこに預けられてる。」
 杏樹はコクリと頷き、青斗の目線の高さに合わせるために腰をかがめる。青斗は頭を抑えながらも杏樹の方を見た。
「……何?取るなら早く取ってよ!」
  青斗は杏樹をキッと睨む。
  その目には悔しさからか涙が滲んでいた。
  だが、杏樹はお構い無しに、こういった。
「わかった。」
 そして躊躇なく東と書かれた玉を取る。玉はゆっくりと浮遊し、やがて青い光を帯びて消えた。青斗の目からは光が消え、最期に
「ごめん、なさい……───ちゃん……。」
とだけ弱々しく呟き、やがてロボットのように動かなくなった。
後には、ゆっくりと開き始めた重々しい扉の音が残るだけであった───。
「君はここで待ってて。僕一人で大丈夫だ。」
と言って、アペルだけで青斗の前に立つ。杏樹は特に返事をすることもなくアペルの背中を目で追う。
「あれ?杏樹ちゃんは?」
 青斗はチラリと杏樹を見る。
「君は僕一人で充分だ。───何があっても杏樹ちゃんには手を出すなよ?」
 最後だけいつもより低い声で言い、青斗を睨みつける。
「えぇ〜?アペルくん1人で充分とか、めっちゃ僕を馬鹿にしてる感じするぅ〜……。杏樹ちゃんの能力も知りたかったのに……。でもアペルくん以外には何もしないから大丈夫!―――アペルくん以外は、ね?」
 青斗はウシシと笑った。だが、次の瞬間今までの可愛らしい顔をはどこへやら、今度は青斗がアペルを睨む。
「じゃあ今度こそ始めようか!」
そう青斗が言った瞬間、水がどこからか流れてくるように杏樹は見えた。
 しかし、実際はそうではない。
 青斗の  ゛手  ゛から水が出ていたのだ。
 杏樹は驚くと同時にそれが青斗の能力だと悟った。アペルが対応できているかアペルへと視線を戻す。
 アペルは軽々と水を避けて青斗との距離を詰めていた。最初は余裕だった青斗も次第に汗を浮かべる。
「あれぇ?さっきは余裕そうだったけどなぁ〜?」
「う、うるさい!!」
 アペルに煽られるのが嫌だったのか、青斗が叫んだ瞬間今までの倍の量の水がアペルを追いかける。
 だが、アペルはそれもわかっていたかのように、かわしていく。アペルが青斗の額に触れた瞬間、アペル達の勝ちが決まる。
 アペルはどんどん青斗に近づく。
 青斗は下がるが水を操りながらなのであまり上手く避けることが出来ない。そして遂にアペルは青斗に追いついた。
「そんな攻撃は僕に効かないよ?」
アペルは笑い、青斗が目を見開く。青斗は避けようとするも一瞬早く、アペルの手が青斗の額に触れる。手から滝のように吹き出てきた水もスっと引いていった。青斗は動かなくなる。アペルが記憶を操っているのだ。
 暫くすると、青斗は自我を取り戻し、頭を抱えながら座り込む。
「ぐぅ……。」
おそらくアペルが青斗にとって、辛い記憶などを付け加えたのだろう。顔は青ざめ、何かブツブツと呟く。記憶を操ることに成功したことを確認し、アペルは振り返った。そして少し離れた所にいる杏樹に声をかける。
「ねぇ〜〜!君がトドメをさしてくれなぁい?」
「私……?わかった。」
 杏樹は特に何も考えず言われた通りに動く。
 第1人格目の杏樹だったらトドメをさすことはできなかっただろう。だが、第2人格目の杏樹はそんな慈悲など持ち合わせていない。殺れと言われたら殺るだけなのだ。
「トドメって言っても青斗の右耳に付いてる東って書いてある玉を取るだけでいいから。守人の魂はそこに預けられてる。」
 杏樹はコクリと頷き、青斗の目線の高さに合わせるために腰をかがめる。青斗は頭を抑えながらも杏樹の方を見た。
「……何?取るなら早く取ってよ!」
  青斗は杏樹をキッと睨む。
  その目には悔しさからか涙が滲んでいた。
  だが、杏樹はお構い無しに、こういった。
「わかった。」
 そして躊躇なく東と書かれた玉を取る。玉はゆっくりと浮遊し、やがて青い光を帯びて消えた。青斗の目からは光が消え、最期に
「ごめん、なさい……───ちゃん……。」
とだけ弱々しく呟き、やがてロボットのように動かなくなった。
後には、ゆっくりと開き始めた重々しい扉の音が残るだけであった───。
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コメント
ねこくん
どもにゃるです
好きです
ベリー
……ん? 杏樹戦わないの? あんなに持ち上げてたのに?! 『僕一人で十分』って、杏樹眼帯外した意味は……?
トドメは何故杏樹なのか。杏樹(2)は余裕で殺すから? アペルは人を殺せないということ?
あと、多分これ三人称だよね。『〜だろう』とかで一人称と混ざって余計読み辛くなってる気がする。安心して。私も三人称視点はバリ苦手((((
難しいから最初のうちは二人称にした方がいいかもしれない
そして、何となく東門の先で冒険が終わりと感じた。意外と長くない感じなのかな。
次も読む