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天使と悪魔と死神と。

哀乃

3ー 1 東門の守人

 その子の声からは性別を判断することは出来なかった。女の子にも男の子にも聞こえる中性的な声だ。髪はショートカットで水色だ。東を司る神、青龍に似せているのかもしれない。

「アペルくんの後ろにいるのが  ゛キー  ゛かな?」
「……黙れ。」

 アペルは  ゛キー゛という言葉が気に入らないのか、その子を睨む。杏樹は第2人格目のためか、特に興味を示さず黙っている。

「えぇ〜……。そんな怒んなくてもいいじゃんかぁ〜……。」

 青い髪の子は恨めしそうにアペルの顔を見た。二つの視線がバチバチとぶつかり合うが、冷静な声に睨み合いは幕を閉じた。

「ねぇ、あなたは誰?早く戦いを始めよう?」

その声の主は杏樹だった。灰色の瞳で笑っている面影などなく、赤く冷たい瞳で2人を見る。

「……もう!2人とも怖いなぁ?僕は青斗せいと!東門の守人もりびとさ!あ、こう見えても女の子だからね!お手柔らかによろしく♡」

 青斗せいとは癖なのか口に手をあて、ウシシと笑う。

「私は杏樹。」
「僕は…………」

 アペルがいいかけようとしたが青斗に遮られる。

「アペルくんは知ってるよーだ!女の子のほうは杏樹ちゃんね?」

 青斗せいとはアペルに向かって舌を出すと、杏樹に向き直りそう声をかけた。
 杏樹は肯定も否定もせず、ただ青斗せいとを見つめる。

「ん?あんまり喋らない子なのかな?まぁいいや。じゃあ始めようか!」

青斗せいとは言うが早く、今までよりアペル達から離れた。
 アペルも杏樹を守るように立つ。

「大丈夫。……僕が守るから。」

 アペルは杏樹に微笑むと再び鋭い視線を青斗せいとに向ける。

そうして東門の決戦の火蓋は切られた。




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コメント

  • ベリー

    杏樹ちゃんの能力って言ったことが本当になる以外あるのかな? 無かったら守人の前で眼帯外した後にすぐ言葉を発したら勝つのにわざわざ戦い……? 何か制限でもあるのかな杏樹

    1
  • 小八木   蒼花

    アペルくんの黙れかっこよすぎん?
    杏樹ちゃんの第2人格が怖いとかっこいいが混ざってすごい好き(語彙力皆無)

    4
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