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天使と悪魔と死神と。

哀乃

2ー2 眼帯

 
 2人は東門を目指して歩いていた。
杏樹はアペルの後ろを歩いている。アペルは意外と身長が高い。後ろにいると前は完全に見えなくなる。

「ねぇ、一つ僕も聞いていい?」

「あっ、はい。なんでしょうか?」

 いきなり振り返ったアペルに驚いたのか、杏樹は動きを止める。たが、アペルの聞きたいことは杏樹の予想を遥かに超えてくるものだった。

「その眼帯、なんでしてるの?…… 〝念の為〟外してもらってもいいかな?」

「……え……。」

 今まで何故眼帯をつけているかと聞かれたことがある。が、外してと言われたのはこれが初めてだった。

「確か光が目に入ると痛むんだったよね。あぁ、これも調べたんだ。でも、ここはそんなに光が届いていないし大丈夫じゃないな……?……僕も確認したいことがあるしね。」

 杏樹はドキリとした。
 なぜかは分からない。だが、嫌な予感だけはする。

「  ゛今  ゛じゃないとダメですか……?」

 杏樹は無意識のうちにそんな言葉をこぼしていた。自分でも驚く。
 アペルはそれを聞くとスっと真顔になった。

「……うん、今。」

 杏樹はその言葉を聞くと、誰かに操られるように眼帯に手が伸びた。
 外したくない。
 でもなぜそう思うのかも分からない。
 見えない力にただ従い、ゆっくりの眼帯が外されてゆく。今まで眼帯で隠されていた右目があらわになる。



 ───杏樹の右目は燃えるように赤かった。

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コメント

  • ベリー

    ここに感想書いても大丈夫かな……

    ここまで読んだんでこれからはここに感想を……

    『太陽の光』が当たらなければ良いのか? なら完全に太陽の光がない所に行ったらどうなるのだろうか。
    それとも痛むだけで、人格交代は太陽の光関係ないのか……

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