リセット~主人公が親友のあいつだった件~
2 救いの無い忍ワールド 一の巻
瞼を開くと忍装束の校長先生があぐらをかいて話しかけてきている最中だった。
「頼んだぞ、佐藤よ。」
「何がやねん。」
「貴様、話を聞いていなかったのか!!」
今起きた所なんだよな。
どうやらタスク通り忍の世界らしい。
さて、それじゃあ状況確認からだな。
毎度の事ながらこの世界の自分からの情報なんか無い。
だから一番最初にやることは自分の立ち位置を知ることから始めなければいけない。
「ははは。すいません!!最初からお願いしまっすっ!!」
後頭部を掻きながら愛想笑いをしていると「全くお前と言う奴は...いつもふざけおってからに...」と呆れ顔をされてしまった。
「....では最初から話してやろう...今度はしっかりと聞いておくのだぞ。分かったな?」
「うっす。」
ーー。
どうやらこれから俺は中忍である悠人の為に斥候...今風に言えばスパイをすることになりそうだ。
何でも悪忍の一団がこの近くで発見されたらしく、討伐するように国から要請があり、一先ず下忍である俺が様子見に行かなければ行かないらしい。
話が終わり放心気味に屋敷の外に出るなり溜め息を吐く。
「一真、あと少しで行くんだよね?」
「...あ、ああ。まあな。」
すると何処からともなく現れた忍姿の悠人が心配そうに話しかけてきた。
少し前の出来事を思い出し上手く言葉に出来ない。
また悠人にあんな顔をさせなければいけないのか...という思いはあるがそれが主人公の通る道、そして俺の脇役道だと自分に言い聞かせストーリーを進ませる手法の一つを実践する。
「大丈夫なの?悪忍といえば残忍で暴虐だと習ったんだし、わざわざ一真が行かなくても...」
「だからだろ?お前が仕事しやすいようにすれば二人揃って生き残れる可能性も上がるんじゃね?それに死ぬつもりなんて毛頭無いからよ。...それに。」
「それに?」
そこまで言ったものの以降の台詞を用意していなかったので目線を動かし自分と同い年くらいのくの一を見つけ閃いた。
「それによ...俺...帰ってきたらあの子に告白するんだ。」
「....ぷっ!ははははっ!!そっかそっか、分かった。もう何も言わないよ。情報よろしくね。」
これこそが手法その一。フラグ立てである。
帰ってきたら~と言い始める脇役やモブはほぼ死ぬ。
だが今回は簡単に死ねないだろう。
ワールドタスクに載っている通りなら悠人が到着するまでの生存が条件だからな。
恐らくは死ぬより酷い目に遭う可能性が高い。
正直怖いし、痛いのは嫌いだ...けど、悠人の為なら俺は耐えられる。
他ならない親友の為なんだからな。
「それじゃあ行ってくるわ!!成功したら良いもん食いに行こうぜっ!!」
「うん。気を付けてね、一真!!」
「おうともよっ!!」
懐から校長先生...ではなく里長から貰った地図を取り出し、忍の里から踏み出した。
ーー目的地付近の森の中央ーー
「すげえなっ、この世界の佐藤一真はよっ!!」
流石は忍として訓練を重ねてきた身体だけあり、ひょいひょいっと木の枝の上を軽々と跳び移っていける。
このRe:Setという未知の現象には2通りクリア方法がある。
一つはワールドタスクをクリアする事。
もう一つは命を失うことだ。
前の世界を鑑みると一見無理ゲーな感じもするが実際には死にゲーに近い。
何故なら知識は俺の意識に根付き、次の自分に意識を移す際引き継がれる。永久に。
詰まるところこれが俺の武器、知識だ。
とは言えRe:Setしたのはほんの数回だけだし、日常回からのピンチばかりなので蓄えるのは逃げ方やもう遭遇する事が無い化け物の容姿ぐらいのものだから余り期待は出来ないが。
だからいつも結局その世界の元の自分の能力を駆使するしか無い。
かといってそんな直ぐに忍者らしく振る舞える筈もなく...結局こうなる。
「あー、くそ...トラップかよ....まずいだろこれ。」
地図にある目印付近に近づくと光の灯ったあばら屋を発見し、例の悪忍ってのがいるかもと思いバレないようにするため木の枝から飛び降りた時だった。
まさか漫画で見たことのある輪っかのロープに右足を取られ宙ずりになるとは夢にも思わない。
何か武器とか無いのかと身体中をまさぐると腰にクナイが隠してありそれを使いロープを切ろうと勢いをつけようとしたら、パキッと枝の折れる音がした。
「....マジか....嘘だろ....あー、どうもどうも。はは...いい夜っすね、皆さん。」
あばら屋から忍装束を纏った四人組が寄ってきている。
だが俺とは違いハチガネではなく素性の一切を隠すべく木彫りの仮面をしていた。
「どっかの部族かよ....」
異様な仮面と佇まいに背筋が凍る。
「このバカ、本当に忍者なの?」
「だろうな。あれを見ろ、ハチガネをしてやがる。」
くそ...まずいな。
何がまずいって、このままじゃ捕まるのは必至だがそれよりもこの声...瑞姫と他世界では悠人の友人であるヤンキー、ソージの声にそっくりだ。
世界が変われば同じ顔、同じ声をしていても状況や敵対勢力か等で立ち位置は当然変わる。
だが変わらないのもある...それはその人物の根っこの部分だ。どうやらその人物を形成する基盤は変わらないらしい。
なら味方かと言えば違う時もある。知ってる人物だから他の世界で悠人の味方だから仲間とは限らない。今の状況の様に。
特にヤバイのは瑞姫だ。
見た目は茶の頭髪に天真爛漫な幼なじみタイプのヒロインだが、まともなのは見た目だけだ。
前の世界でもそうだが手刀で気絶させるなんて並大抵の実力じゃない。
今まで見てきたが戦闘能力にかけてはヒロインズの中ではダントツだ。
しかも、こいつ困ったことにヤンデレ系恋愛脳なのだから手に負えない。
「あー...実は道に迷っちゃって。はは...最寄りの村とかある?」
問いかけると一斉に笑いだした。
「ハハハハ!君バカだねー!...帰れるわけ無いじゃん。」
ズイッと近づけてきた仮面の奥にある瞳は冷たい光を放っている。
身の毛がよだち目を逸らす。
「ですよねー...出来れば痛いのは無し...ぐっ...」
いきなり顔面に重い衝撃が走り目の前が暗くなる。
どうやらソージに殴られたらしくそこで意識が途切れた。
「頼んだぞ、佐藤よ。」
「何がやねん。」
「貴様、話を聞いていなかったのか!!」
今起きた所なんだよな。
どうやらタスク通り忍の世界らしい。
さて、それじゃあ状況確認からだな。
毎度の事ながらこの世界の自分からの情報なんか無い。
だから一番最初にやることは自分の立ち位置を知ることから始めなければいけない。
「ははは。すいません!!最初からお願いしまっすっ!!」
後頭部を掻きながら愛想笑いをしていると「全くお前と言う奴は...いつもふざけおってからに...」と呆れ顔をされてしまった。
「....では最初から話してやろう...今度はしっかりと聞いておくのだぞ。分かったな?」
「うっす。」
ーー。
どうやらこれから俺は中忍である悠人の為に斥候...今風に言えばスパイをすることになりそうだ。
何でも悪忍の一団がこの近くで発見されたらしく、討伐するように国から要請があり、一先ず下忍である俺が様子見に行かなければ行かないらしい。
話が終わり放心気味に屋敷の外に出るなり溜め息を吐く。
「一真、あと少しで行くんだよね?」
「...あ、ああ。まあな。」
すると何処からともなく現れた忍姿の悠人が心配そうに話しかけてきた。
少し前の出来事を思い出し上手く言葉に出来ない。
また悠人にあんな顔をさせなければいけないのか...という思いはあるがそれが主人公の通る道、そして俺の脇役道だと自分に言い聞かせストーリーを進ませる手法の一つを実践する。
「大丈夫なの?悪忍といえば残忍で暴虐だと習ったんだし、わざわざ一真が行かなくても...」
「だからだろ?お前が仕事しやすいようにすれば二人揃って生き残れる可能性も上がるんじゃね?それに死ぬつもりなんて毛頭無いからよ。...それに。」
「それに?」
そこまで言ったものの以降の台詞を用意していなかったので目線を動かし自分と同い年くらいのくの一を見つけ閃いた。
「それによ...俺...帰ってきたらあの子に告白するんだ。」
「....ぷっ!ははははっ!!そっかそっか、分かった。もう何も言わないよ。情報よろしくね。」
これこそが手法その一。フラグ立てである。
帰ってきたら~と言い始める脇役やモブはほぼ死ぬ。
だが今回は簡単に死ねないだろう。
ワールドタスクに載っている通りなら悠人が到着するまでの生存が条件だからな。
恐らくは死ぬより酷い目に遭う可能性が高い。
正直怖いし、痛いのは嫌いだ...けど、悠人の為なら俺は耐えられる。
他ならない親友の為なんだからな。
「それじゃあ行ってくるわ!!成功したら良いもん食いに行こうぜっ!!」
「うん。気を付けてね、一真!!」
「おうともよっ!!」
懐から校長先生...ではなく里長から貰った地図を取り出し、忍の里から踏み出した。
ーー目的地付近の森の中央ーー
「すげえなっ、この世界の佐藤一真はよっ!!」
流石は忍として訓練を重ねてきた身体だけあり、ひょいひょいっと木の枝の上を軽々と跳び移っていける。
このRe:Setという未知の現象には2通りクリア方法がある。
一つはワールドタスクをクリアする事。
もう一つは命を失うことだ。
前の世界を鑑みると一見無理ゲーな感じもするが実際には死にゲーに近い。
何故なら知識は俺の意識に根付き、次の自分に意識を移す際引き継がれる。永久に。
詰まるところこれが俺の武器、知識だ。
とは言えRe:Setしたのはほんの数回だけだし、日常回からのピンチばかりなので蓄えるのは逃げ方やもう遭遇する事が無い化け物の容姿ぐらいのものだから余り期待は出来ないが。
だからいつも結局その世界の元の自分の能力を駆使するしか無い。
かといってそんな直ぐに忍者らしく振る舞える筈もなく...結局こうなる。
「あー、くそ...トラップかよ....まずいだろこれ。」
地図にある目印付近に近づくと光の灯ったあばら屋を発見し、例の悪忍ってのがいるかもと思いバレないようにするため木の枝から飛び降りた時だった。
まさか漫画で見たことのある輪っかのロープに右足を取られ宙ずりになるとは夢にも思わない。
何か武器とか無いのかと身体中をまさぐると腰にクナイが隠してありそれを使いロープを切ろうと勢いをつけようとしたら、パキッと枝の折れる音がした。
「....マジか....嘘だろ....あー、どうもどうも。はは...いい夜っすね、皆さん。」
あばら屋から忍装束を纏った四人組が寄ってきている。
だが俺とは違いハチガネではなく素性の一切を隠すべく木彫りの仮面をしていた。
「どっかの部族かよ....」
異様な仮面と佇まいに背筋が凍る。
「このバカ、本当に忍者なの?」
「だろうな。あれを見ろ、ハチガネをしてやがる。」
くそ...まずいな。
何がまずいって、このままじゃ捕まるのは必至だがそれよりもこの声...瑞姫と他世界では悠人の友人であるヤンキー、ソージの声にそっくりだ。
世界が変われば同じ顔、同じ声をしていても状況や敵対勢力か等で立ち位置は当然変わる。
だが変わらないのもある...それはその人物の根っこの部分だ。どうやらその人物を形成する基盤は変わらないらしい。
なら味方かと言えば違う時もある。知ってる人物だから他の世界で悠人の味方だから仲間とは限らない。今の状況の様に。
特にヤバイのは瑞姫だ。
見た目は茶の頭髪に天真爛漫な幼なじみタイプのヒロインだが、まともなのは見た目だけだ。
前の世界でもそうだが手刀で気絶させるなんて並大抵の実力じゃない。
今まで見てきたが戦闘能力にかけてはヒロインズの中ではダントツだ。
しかも、こいつ困ったことにヤンデレ系恋愛脳なのだから手に負えない。
「あー...実は道に迷っちゃって。はは...最寄りの村とかある?」
問いかけると一斉に笑いだした。
「ハハハハ!君バカだねー!...帰れるわけ無いじゃん。」
ズイッと近づけてきた仮面の奥にある瞳は冷たい光を放っている。
身の毛がよだち目を逸らす。
「ですよねー...出来れば痛いのは無し...ぐっ...」
いきなり顔面に重い衝撃が走り目の前が暗くなる。
どうやらソージに殴られたらしくそこで意識が途切れた。
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