異世界転生で貰ったチートがTS魔法少女変身能力でしたがこの世界で頑張るしか無いようです
27 帰ってきた害獣
「ふんふんふーん。ふふふんふ~ん。」
お昼頃にのそのそと自堕落に起床した私がまずやった事は怪鳥のお肉での干物作りだ。
作り方は簡単で、家にあったフォークで均等に刺しながら、空気を含ませる。
それが一通り終わったら川上にある水で(下流だと排泄物で汚いため)もみ洗いして、綺麗な木綿製の布で拭く。
「んんんんんん~♪」
因みに歌っているのはスターライトの新曲『I Loveイオン』だ。
ただただシャンテが私の好きなところを綴った歌詞を歌い、私が踊るという自分殺しの歌である。
「その微笑は~♪私だけに向けて頂戴~♪」
その歌を口ずさみながら次の工程、干すを行う。
お隣さんのルームシェアをしているアーミンさんとルルエナさんに手伝ってもらったお陰で短時間ですみそうだ。
「いおちゃん、歌旨いねー。吟遊詩人だったりするの?」
「あーちゃん、イオンっちはきっと何処かの一座にいたんじゃない?身体能力凄いらしいし。」
「惜しいね~。ちょっと違うかなー。」
貰った洗濯物干しやザルを使い、作業的に肉を干していく。
その間に世間話に花を咲かせていたらいつの間にか二人と友達になっており、どうやら私が外から来た昨日から気になっていたらしく、根掘り葉掘り聞いてくる。
私もナンパやファンの子達以外に友好的に話し掛けられたのは久々だったので、嫌な顔一つせず会話を楽しんでいると。
「えー、いいでしょー?」
「ダメダメー。街に来たら教えてあげても良いけどねー。」
「ひどーい!私達大人になるまで出れないんだよ!?いおちゃんはいいなー。大人の女って感じでさあ、都会で男侍らしてそうだよねー。」
この二人、当たらずとも遠からずな事を言うから心臓に悪い。
そういえば、エリーとセシルに何も言わずに出てきたから心配してるかもしれない、が会いたくもないと気持ちが鬩ぎ合い、手だけ動かしながら口を尖らせていると、久しぶりだが腹が立つ声が聞こえてきた。
「マジっすか?ご主人、やりまくりなんすか?」
その憎たらしく、下ネタ全開の思いの外渋い声の畜生に振り向き、姿を確認すると。
「...........」
絶望した表情のまま、肉を落とした。
「え?やり?」
「聞かなくて良いから!....おい、ラビお前今まで何処に!」
そう詰め寄るとやれやれという顔と仕草をしながらラビが胸を揉んできた。
「ほほう。今日は下着無しですか...ご馳走さまで!...ごふうっ...」
「だから揉むなっつってんだろうがあっ!」
ぬいぐるみの様な身体の小さな顎を的確にアッパーを食らわすと星になった。
だが油断出来ないと周りをキョロキョロと警戒していると。
「きゃああああ!」
「いやああああ!」
と、アーミンとルルエナの叫び声が響き渡り、彼女達を見ると二人の胸を同時に持ち上げていた。
「いやあ。お二人も中々良い物をお持ちで。このくらいでいかがですかな?...ぶふうっ!」
何処の金か分からない紙幣をピラピラと見せびらかしながら、何処から取り出したのか分からないサングラスを掛けて、最低な事を口走ると涙目の二人が平手打ちをし、近くの用水路にぽちゃんした。
「な、ななな何なの、あの人形?ぬいぐるみ?生物?ど、どれでも良いけど気持ち悪すぎるんだけど!」
「わ、私ちょっと無理...いおんっちの知り合い?」
二人が私の背中に隠れ震えながら、あの今や奇怪な形に変形させた何かを指差しながらそう問いかけてきた。
(い、言いたくねぇ...けど被害にあった以上話すべきか?)
と、二人の顔色を窺いながら。
「一応...私の使い魔....嫌だけど。ごめんね、二人とも。ちょっと待ってて。」
きょとんとしている被害者達から離れ、畜生ウサギに向かってすたすたと歩いていき、用水路に浮かぶそいつを掴みあげ。
「いやー、結構良いビンタっすね。ご主人程じゃないっすけど。あっ、久しぶりっすね。ご主人...どうしたんすか?あ...そっちにはいかないっす。まってまって?それ以上は....あああああーー!!」
「ふんっ!」
首と胴体を持ち力の限り引っ張るとブチブチブチと千切れる音と共に断末魔が辺りに響き渡った。
そして半々になったそれを広場の適当な場所にぶん投げた。
「ほんとごめんね。二人とも。あいつは制裁しといたから...」
「使い魔って...いおちゃん魔法使えるの?」
私が頷くとアーミンは感動が抑えきれず目をキラキラ輝かせている。
対してルルエナは同情している表情で私の二の腕をポンポンと二度優しく叩くと。
「イオンっち、大変だね...あんな奴が使い魔なんて...頑張ってね?」
顔を背けながら影を落とし、文字通り同情された。泣きたい。
だが、その瞬間背後に気配を感じラビだと思い、振り向き様にハイキックを放つが。
「ひっ....ご、ごめんなさい!」
「あっ、ごごごごめん!君だと思わなくて...本当にごめんね!」
ラケルタだと思わず蹴りをかましそうになるが風圧だけで、怪我はおっていないらしい。
彼がしきりに頭を何度も下げるものだから申し訳無くて私も何度も頭を下げる。
するとアーミンとルルエナが間に入ってきた。
だが私達の謝罪大会を止めるためでは無さそうで、二人は私を隠すように彼の前に立ちはだかっている。
「ラケルタあんた此処で何してんの?訓練は?」
「あの、その...」
「はああ...そんなんで良いの?あの娘確かにもう手遅れだけどきっとラケルタに最後を看てもらいたいと思ってるよ?それなのに怯えて何も出来ないなんてどうなの?」
あの娘というのが気になるが、二人の剣幕に押され目線は泳ぎ、言葉も上手く出せないラケルタを見て咄嗟に身体が動いた。
「まあまあまあ、私は良く分かんないけどさ。そんな風に言ったらラケルタくんも話せないってっ。」
私が今度は間に入り、困った顔をするとアーミンとルルエナは引き下がってくれたが、余計にラケルタを傷つけたかもしれない。
顔色を伺っていると、アーミンが私越しにラケルタをしかりつける。
「アリア...言ってたよ?いつかそうなるなら私は...ラケルタが良いってさ!ラケルタ!ちゃんとしなよっ!」
そう告げるとアーミンはそのままラケルタを見もせず怒りながら家に入っていった。
そしてルルエナも...
「あんた...いつまで戦うのが怖いとか言ってるのよ。男なら好きな女の願いぐらい叶えてあげなさいよ。」
ラケルタの肩にわざとぶつかりながら去っていった。
その際私にごめんねと手を顔の前で合わすジェスチャーをしながら。
肝心のラケルタの顔を見ると落ち込んでいたものの冷静なんだなと思い話し掛けるが。
「はは...何があるのか私にはよく分かんないけどさ。その...」
視線を下に持っていきそれを目にした途端言葉が出てこなくなった。
彼の両手は血がにじむほど強く握られていたからだ。
二人して黙りこくってしまったものだから、周囲の空気が凍ったように感じて、足をとんとんとしたり、手をお腹辺りで忙しなく動かしていると先に口を開いたのはラケルタだった。
「イオンさん、少しお話しできませんか?」
「え?うん、いいけど。」
広場の岩で出来た椅子を指差しながら真剣な表情で告げられたその言葉に頷き前を歩く彼についていくと。
「そういえばこれ、こっちから来ましたけどもしかしてイオンさんのですか?」
「何々?....げ...」
彼の手の上に収まっていた物体はラビの胴体と頭だった。
「どうぞ...」
「う、うん...」
それを渋々受け取り、バレないようにゴミ箱に捨てると頭だけ動いて。
「はあはあはあ、スプラッタに目覚めそうですな!はあはあはあ!」
「うおおおお!」
と、気持ち悪い事を大声で言うもんだから恥ずかしさと不気味さからラビの上にかき集めた砂をこれでもかとこんもり覆わせる。
ホラーか、あいつは...
そのラビの声が聞こえていたのかラケルタが振り返り。
「どうしました?何か声がした気が...」
「空耳だから。ほらほら早くいこ!」
その問いかけにゴミ箱を身体で隠しながら彼の背中を押して広場に向かう。
その途中でまたしても気持ち悪い視線を感じたので後ろを首だけ振り向かせると、ラビが血走った目で私の尻を視姦しており、背筋が凍る思いだった。
お昼頃にのそのそと自堕落に起床した私がまずやった事は怪鳥のお肉での干物作りだ。
作り方は簡単で、家にあったフォークで均等に刺しながら、空気を含ませる。
それが一通り終わったら川上にある水で(下流だと排泄物で汚いため)もみ洗いして、綺麗な木綿製の布で拭く。
「んんんんんん~♪」
因みに歌っているのはスターライトの新曲『I Loveイオン』だ。
ただただシャンテが私の好きなところを綴った歌詞を歌い、私が踊るという自分殺しの歌である。
「その微笑は~♪私だけに向けて頂戴~♪」
その歌を口ずさみながら次の工程、干すを行う。
お隣さんのルームシェアをしているアーミンさんとルルエナさんに手伝ってもらったお陰で短時間ですみそうだ。
「いおちゃん、歌旨いねー。吟遊詩人だったりするの?」
「あーちゃん、イオンっちはきっと何処かの一座にいたんじゃない?身体能力凄いらしいし。」
「惜しいね~。ちょっと違うかなー。」
貰った洗濯物干しやザルを使い、作業的に肉を干していく。
その間に世間話に花を咲かせていたらいつの間にか二人と友達になっており、どうやら私が外から来た昨日から気になっていたらしく、根掘り葉掘り聞いてくる。
私もナンパやファンの子達以外に友好的に話し掛けられたのは久々だったので、嫌な顔一つせず会話を楽しんでいると。
「えー、いいでしょー?」
「ダメダメー。街に来たら教えてあげても良いけどねー。」
「ひどーい!私達大人になるまで出れないんだよ!?いおちゃんはいいなー。大人の女って感じでさあ、都会で男侍らしてそうだよねー。」
この二人、当たらずとも遠からずな事を言うから心臓に悪い。
そういえば、エリーとセシルに何も言わずに出てきたから心配してるかもしれない、が会いたくもないと気持ちが鬩ぎ合い、手だけ動かしながら口を尖らせていると、久しぶりだが腹が立つ声が聞こえてきた。
「マジっすか?ご主人、やりまくりなんすか?」
その憎たらしく、下ネタ全開の思いの外渋い声の畜生に振り向き、姿を確認すると。
「...........」
絶望した表情のまま、肉を落とした。
「え?やり?」
「聞かなくて良いから!....おい、ラビお前今まで何処に!」
そう詰め寄るとやれやれという顔と仕草をしながらラビが胸を揉んできた。
「ほほう。今日は下着無しですか...ご馳走さまで!...ごふうっ...」
「だから揉むなっつってんだろうがあっ!」
ぬいぐるみの様な身体の小さな顎を的確にアッパーを食らわすと星になった。
だが油断出来ないと周りをキョロキョロと警戒していると。
「きゃああああ!」
「いやああああ!」
と、アーミンとルルエナの叫び声が響き渡り、彼女達を見ると二人の胸を同時に持ち上げていた。
「いやあ。お二人も中々良い物をお持ちで。このくらいでいかがですかな?...ぶふうっ!」
何処の金か分からない紙幣をピラピラと見せびらかしながら、何処から取り出したのか分からないサングラスを掛けて、最低な事を口走ると涙目の二人が平手打ちをし、近くの用水路にぽちゃんした。
「な、ななな何なの、あの人形?ぬいぐるみ?生物?ど、どれでも良いけど気持ち悪すぎるんだけど!」
「わ、私ちょっと無理...いおんっちの知り合い?」
二人が私の背中に隠れ震えながら、あの今や奇怪な形に変形させた何かを指差しながらそう問いかけてきた。
(い、言いたくねぇ...けど被害にあった以上話すべきか?)
と、二人の顔色を窺いながら。
「一応...私の使い魔....嫌だけど。ごめんね、二人とも。ちょっと待ってて。」
きょとんとしている被害者達から離れ、畜生ウサギに向かってすたすたと歩いていき、用水路に浮かぶそいつを掴みあげ。
「いやー、結構良いビンタっすね。ご主人程じゃないっすけど。あっ、久しぶりっすね。ご主人...どうしたんすか?あ...そっちにはいかないっす。まってまって?それ以上は....あああああーー!!」
「ふんっ!」
首と胴体を持ち力の限り引っ張るとブチブチブチと千切れる音と共に断末魔が辺りに響き渡った。
そして半々になったそれを広場の適当な場所にぶん投げた。
「ほんとごめんね。二人とも。あいつは制裁しといたから...」
「使い魔って...いおちゃん魔法使えるの?」
私が頷くとアーミンは感動が抑えきれず目をキラキラ輝かせている。
対してルルエナは同情している表情で私の二の腕をポンポンと二度優しく叩くと。
「イオンっち、大変だね...あんな奴が使い魔なんて...頑張ってね?」
顔を背けながら影を落とし、文字通り同情された。泣きたい。
だが、その瞬間背後に気配を感じラビだと思い、振り向き様にハイキックを放つが。
「ひっ....ご、ごめんなさい!」
「あっ、ごごごごめん!君だと思わなくて...本当にごめんね!」
ラケルタだと思わず蹴りをかましそうになるが風圧だけで、怪我はおっていないらしい。
彼がしきりに頭を何度も下げるものだから申し訳無くて私も何度も頭を下げる。
するとアーミンとルルエナが間に入ってきた。
だが私達の謝罪大会を止めるためでは無さそうで、二人は私を隠すように彼の前に立ちはだかっている。
「ラケルタあんた此処で何してんの?訓練は?」
「あの、その...」
「はああ...そんなんで良いの?あの娘確かにもう手遅れだけどきっとラケルタに最後を看てもらいたいと思ってるよ?それなのに怯えて何も出来ないなんてどうなの?」
あの娘というのが気になるが、二人の剣幕に押され目線は泳ぎ、言葉も上手く出せないラケルタを見て咄嗟に身体が動いた。
「まあまあまあ、私は良く分かんないけどさ。そんな風に言ったらラケルタくんも話せないってっ。」
私が今度は間に入り、困った顔をするとアーミンとルルエナは引き下がってくれたが、余計にラケルタを傷つけたかもしれない。
顔色を伺っていると、アーミンが私越しにラケルタをしかりつける。
「アリア...言ってたよ?いつかそうなるなら私は...ラケルタが良いってさ!ラケルタ!ちゃんとしなよっ!」
そう告げるとアーミンはそのままラケルタを見もせず怒りながら家に入っていった。
そしてルルエナも...
「あんた...いつまで戦うのが怖いとか言ってるのよ。男なら好きな女の願いぐらい叶えてあげなさいよ。」
ラケルタの肩にわざとぶつかりながら去っていった。
その際私にごめんねと手を顔の前で合わすジェスチャーをしながら。
肝心のラケルタの顔を見ると落ち込んでいたものの冷静なんだなと思い話し掛けるが。
「はは...何があるのか私にはよく分かんないけどさ。その...」
視線を下に持っていきそれを目にした途端言葉が出てこなくなった。
彼の両手は血がにじむほど強く握られていたからだ。
二人して黙りこくってしまったものだから、周囲の空気が凍ったように感じて、足をとんとんとしたり、手をお腹辺りで忙しなく動かしていると先に口を開いたのはラケルタだった。
「イオンさん、少しお話しできませんか?」
「え?うん、いいけど。」
広場の岩で出来た椅子を指差しながら真剣な表情で告げられたその言葉に頷き前を歩く彼についていくと。
「そういえばこれ、こっちから来ましたけどもしかしてイオンさんのですか?」
「何々?....げ...」
彼の手の上に収まっていた物体はラビの胴体と頭だった。
「どうぞ...」
「う、うん...」
それを渋々受け取り、バレないようにゴミ箱に捨てると頭だけ動いて。
「はあはあはあ、スプラッタに目覚めそうですな!はあはあはあ!」
「うおおおお!」
と、気持ち悪い事を大声で言うもんだから恥ずかしさと不気味さからラビの上にかき集めた砂をこれでもかとこんもり覆わせる。
ホラーか、あいつは...
そのラビの声が聞こえていたのかラケルタが振り返り。
「どうしました?何か声がした気が...」
「空耳だから。ほらほら早くいこ!」
その問いかけにゴミ箱を身体で隠しながら彼の背中を押して広場に向かう。
その途中でまたしても気持ち悪い視線を感じたので後ろを首だけ振り向かせると、ラビが血走った目で私の尻を視姦しており、背筋が凍る思いだった。
「恋愛」の人気作品
書籍化作品
-
-
35
-
-
140
-
-
4503
-
-
353
-
-
221
-
-
238
-
-
4112
-
-
149
-
-
32
コメント