苦労して魔王を倒したと思ったら勇者パーティーを追い出された件
脱出したもののまた強敵の件
ーーウィスト城城門ーー
「死にたくない奴は詰所にでも引っ込んでなさい!トトアーシュ!もっと早く動けぇ!遅いのよ、あんた!」
「は、はいぃ....すいません...」
「私とキャラ被ってるですぅ」
「そういうことを言うな。あと被ってないぞ。お前はギャグ担当だから」
「!?」
なにやらハッスルしているガーフェナがほぼ一人で敵を倒していっている。
向かってくる兵士をちぎっては投げ、ちぎっては投げ。
切り捨てては切り捨て、吹き飛ばしてはまた吹き飛ばす。
この戦場はどうやらガーフェナの独壇場らしい。
そりゃあ唯一現存の勇者パーティーメンバーでウィスト公国騎士団団長、しかも俺と同じ上級精霊使いなんだから強いに決まっている。
下位精霊しか使えない一般兵なんか目ではない。
「凄いわね、彼女」
「まあ、あれでも公国最強の剣士だからな。ところで随分軽く感じるけどもう治ったのか?」
「.....あら?立ち眩みが...まだ駄目みたい...ちゃんと抱えてくれる?...ほらここ持って...もっと抱き寄せて...」
リリアーシュが俺の手を掴み腰へと持っていき自分から身体をくっつけてきた。
「お前...さては治ってるな?」
「さ、さあ...どうかしらね...」
こいつ、顔背けやがった。
「うがああああ!さっさと掛かってきなさいよおおお!ストレスたまってんのよ、こっちはあああ!」
「うわあああん!怖いよー!おっさん助けてー!」
「頑張れ、骨は拾ってやる」
「私死ぬの!?」
ーーウィスト城下町・噴水広場ーー
段々騎士団が可哀想になってきた。
「だ、団長が来たぞー!」
「ぎゃああああ!殺されるー!」
「お、俺はもう騎士団抜ける!団長に殺されるくらいならプライドなんて捨ててやるぅ!」
「俺も...いやああああ!」
「吹き飛びなさいよ!風燐千陣!」
ガーフェナが風精霊の力で浮遊するとまるでハニーの様に優雅に飛び、敵陣の真っ只中に突っ込み剣を地面に突き立てる。
するとどうだろうか、人が宙に浮いているではないか。
どうやら突き刺した時の衝撃波と摩擦、風力を莫大に増大し、台風を模した暴風を発生させている。
「あぶない!おっさん!」
「あ?....はい...」
「せいや!...ふん!私のダーリンに近づくなんて笑止千万ね!」
隙を突いたつもりの兵士の一人が俺をダーリンとか言い出したリリアーシュによって壁にめり込まされている。
一応手加減しているので死んではいない。
殺さないのがリリアーシュの矜持らしく、殺さずの誓いをたてていると先程聞いた。
それこそが強さの秘密かもしれない。
殺した方が楽だからな。
「ダーリン、やったわ!」
「ああ、そうですね....」
「むきいいいい!」
「ご主人さまお疲れですぅ」
リリアーシュの原型がもう無い気がしないでもない。
「姉さん、以外と積極的やし」
「そうだな...ロゼに聞かれたら殺されそうだ」
「いえ~、奥様ならリリアーシュさんを殺しそうですぅ」
そっちの方がしっくりくるな。
よく見てるんだな、フェニア。
二人の活躍をトトアーシュと眺めているとふと、兵士の数が妙に少ないのに違和感を感じる。
すると生き残った部隊長が「全隊後退せよ!援軍来たり!巻き込まれたくなくば引けい!」と号令をするなり兵士だけでなく、市民まで逃げ出している。
これは何かあるな...
「おっさん、今のうちに行った方がよくない?兵士居なくなったし」
「いや...リリ、どう思う?」
「怪しいと思うわ。明らかにね。」
そもそも何か来るらしいからな。
嫌な予感しかしない。
「ちょっと!トトアーシュ!待ちなさい!」
「はあ?...あ、あのバカ!なに考えてやがる!」
「大丈夫だって!大丈夫!もう敵居ないし!」
だが勿論そんな事はなく噴水が突然爆発し間欠泉の様に吹き出した。
「だから言ったろうが!」
「ひええ~!ごめんなさいし~!」
トトアーシュの首根っこをひっ掴み、自分の方に引き寄せる。
「これは....!ちぃ!まずいわね!」
「水が....」
嫌な予感は的中してなんぼだ。
今回もやはり外れない。
まさか間欠泉の底から順に氷始め、水飛沫さえ宝石の様になり、空中を漂う。
その凍った水分全てが街の入り口に消えていく。
「なんだ....あれは....」
「なんだって分かるでしょ?あれの同様の奴と戦ったんだし」
「だよな...」
「な、何ですかぁ!?この精霊力はぁ!?」
消えていった先の大通りから徐々にこちらに氷の群れが先程とは打って変わってまるで生きているようにうねっている。
その中心に人影があり、それが口を開く。
「ふふ...予想より156秒早いですね。まあ凡人にしては上出来でしょう」
「....な、なに...あれ...氷の....皇女?」
色々やばい発言だがその通りだろう。
心なしか喋り方にも熱が感じられない。
「一応聞くがあれって....」
「分かるでしょ?あれがこの国の第二....」
「お待ちなさい」
ガーフェナの口を閉じさせるように氷が巨腕に変貌していき、手を開いたままつき出していた。
「........」
俺達がみな黙ると声高々に言葉を連ね始めた。
「わたくしはウィスト公国第二皇女、ラスタ。ラスタ・ウィストです。以後お見知りおきを....とはいかないでしょうね。」
「そりゃなんでだ?教えてくれんかな、皇女様よ?」
俺の不遜な態度にも眉一つ動かさず心がない能面のような表情のまま吐き捨てる。
「勿論あなた方はここで死ぬからです。ああ...訂正します。そちらの男性は生かさなければいけませんね。御姉様も酔狂な」
「それをさせるように見えるかしら?」
「そ、そうだ!そうだ!私達だって強いし!」
アーシュ姉妹の言動にようやく口角が上がるが、その笑みは氷の悪魔と呼んでも問題ない程冷たく恐ろしかった。
「なら殺し合いと参りましょう。わたくし意外とお強いんですの。さあ行きますわよ、わたくしの精霊。氷獄のセプテウム」
そう宣言した途端、氷が巨人に変わっていき、更に街中の水場から水が集まってきており、それが剣と斧に形を変え、巨人の武器となった。
大精霊...ほんとに常識外れだな。勘弁しろよ。
この金髪のショートボブ女が...
「死にたくない奴は詰所にでも引っ込んでなさい!トトアーシュ!もっと早く動けぇ!遅いのよ、あんた!」
「は、はいぃ....すいません...」
「私とキャラ被ってるですぅ」
「そういうことを言うな。あと被ってないぞ。お前はギャグ担当だから」
「!?」
なにやらハッスルしているガーフェナがほぼ一人で敵を倒していっている。
向かってくる兵士をちぎっては投げ、ちぎっては投げ。
切り捨てては切り捨て、吹き飛ばしてはまた吹き飛ばす。
この戦場はどうやらガーフェナの独壇場らしい。
そりゃあ唯一現存の勇者パーティーメンバーでウィスト公国騎士団団長、しかも俺と同じ上級精霊使いなんだから強いに決まっている。
下位精霊しか使えない一般兵なんか目ではない。
「凄いわね、彼女」
「まあ、あれでも公国最強の剣士だからな。ところで随分軽く感じるけどもう治ったのか?」
「.....あら?立ち眩みが...まだ駄目みたい...ちゃんと抱えてくれる?...ほらここ持って...もっと抱き寄せて...」
リリアーシュが俺の手を掴み腰へと持っていき自分から身体をくっつけてきた。
「お前...さては治ってるな?」
「さ、さあ...どうかしらね...」
こいつ、顔背けやがった。
「うがああああ!さっさと掛かってきなさいよおおお!ストレスたまってんのよ、こっちはあああ!」
「うわあああん!怖いよー!おっさん助けてー!」
「頑張れ、骨は拾ってやる」
「私死ぬの!?」
ーーウィスト城下町・噴水広場ーー
段々騎士団が可哀想になってきた。
「だ、団長が来たぞー!」
「ぎゃああああ!殺されるー!」
「お、俺はもう騎士団抜ける!団長に殺されるくらいならプライドなんて捨ててやるぅ!」
「俺も...いやああああ!」
「吹き飛びなさいよ!風燐千陣!」
ガーフェナが風精霊の力で浮遊するとまるでハニーの様に優雅に飛び、敵陣の真っ只中に突っ込み剣を地面に突き立てる。
するとどうだろうか、人が宙に浮いているではないか。
どうやら突き刺した時の衝撃波と摩擦、風力を莫大に増大し、台風を模した暴風を発生させている。
「あぶない!おっさん!」
「あ?....はい...」
「せいや!...ふん!私のダーリンに近づくなんて笑止千万ね!」
隙を突いたつもりの兵士の一人が俺をダーリンとか言い出したリリアーシュによって壁にめり込まされている。
一応手加減しているので死んではいない。
殺さないのがリリアーシュの矜持らしく、殺さずの誓いをたてていると先程聞いた。
それこそが強さの秘密かもしれない。
殺した方が楽だからな。
「ダーリン、やったわ!」
「ああ、そうですね....」
「むきいいいい!」
「ご主人さまお疲れですぅ」
リリアーシュの原型がもう無い気がしないでもない。
「姉さん、以外と積極的やし」
「そうだな...ロゼに聞かれたら殺されそうだ」
「いえ~、奥様ならリリアーシュさんを殺しそうですぅ」
そっちの方がしっくりくるな。
よく見てるんだな、フェニア。
二人の活躍をトトアーシュと眺めているとふと、兵士の数が妙に少ないのに違和感を感じる。
すると生き残った部隊長が「全隊後退せよ!援軍来たり!巻き込まれたくなくば引けい!」と号令をするなり兵士だけでなく、市民まで逃げ出している。
これは何かあるな...
「おっさん、今のうちに行った方がよくない?兵士居なくなったし」
「いや...リリ、どう思う?」
「怪しいと思うわ。明らかにね。」
そもそも何か来るらしいからな。
嫌な予感しかしない。
「ちょっと!トトアーシュ!待ちなさい!」
「はあ?...あ、あのバカ!なに考えてやがる!」
「大丈夫だって!大丈夫!もう敵居ないし!」
だが勿論そんな事はなく噴水が突然爆発し間欠泉の様に吹き出した。
「だから言ったろうが!」
「ひええ~!ごめんなさいし~!」
トトアーシュの首根っこをひっ掴み、自分の方に引き寄せる。
「これは....!ちぃ!まずいわね!」
「水が....」
嫌な予感は的中してなんぼだ。
今回もやはり外れない。
まさか間欠泉の底から順に氷始め、水飛沫さえ宝石の様になり、空中を漂う。
その凍った水分全てが街の入り口に消えていく。
「なんだ....あれは....」
「なんだって分かるでしょ?あれの同様の奴と戦ったんだし」
「だよな...」
「な、何ですかぁ!?この精霊力はぁ!?」
消えていった先の大通りから徐々にこちらに氷の群れが先程とは打って変わってまるで生きているようにうねっている。
その中心に人影があり、それが口を開く。
「ふふ...予想より156秒早いですね。まあ凡人にしては上出来でしょう」
「....な、なに...あれ...氷の....皇女?」
色々やばい発言だがその通りだろう。
心なしか喋り方にも熱が感じられない。
「一応聞くがあれって....」
「分かるでしょ?あれがこの国の第二....」
「お待ちなさい」
ガーフェナの口を閉じさせるように氷が巨腕に変貌していき、手を開いたままつき出していた。
「........」
俺達がみな黙ると声高々に言葉を連ね始めた。
「わたくしはウィスト公国第二皇女、ラスタ。ラスタ・ウィストです。以後お見知りおきを....とはいかないでしょうね。」
「そりゃなんでだ?教えてくれんかな、皇女様よ?」
俺の不遜な態度にも眉一つ動かさず心がない能面のような表情のまま吐き捨てる。
「勿論あなた方はここで死ぬからです。ああ...訂正します。そちらの男性は生かさなければいけませんね。御姉様も酔狂な」
「それをさせるように見えるかしら?」
「そ、そうだ!そうだ!私達だって強いし!」
アーシュ姉妹の言動にようやく口角が上がるが、その笑みは氷の悪魔と呼んでも問題ない程冷たく恐ろしかった。
「なら殺し合いと参りましょう。わたくし意外とお強いんですの。さあ行きますわよ、わたくしの精霊。氷獄のセプテウム」
そう宣言した途端、氷が巨人に変わっていき、更に街中の水場から水が集まってきており、それが剣と斧に形を変え、巨人の武器となった。
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ノベルバユーザー385074
とても続きが気になる