話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

苦労して魔王を倒したと思ったら勇者パーティーを追い出された件

ベレット

最低な警備の件

「お待ちくださいぃ!ご主人さまぁ!」


「フェ、フェニア!あぶねえだろが!」


「.....虫が喋ってるのだけど」


「虫じゃないですぅ!...どなたですぅ!?」


もう戦う空気じゃないな、これ。


「ええと、私は...」


「んー、あなたぁ...何処かで見覚えがぁ...ああ!」


フェニアがフードの下を覗き込むと眼球が飛び出しそうになるほど驚いている。


「あの女医さんですぅ!」


「ふう...ばれちゃったわね」


フードをとり顔を晒す。
その下から露になったのは予想通りアミシアの顔...いや、リリアーシュの素顔だった。


「そっちのお兄さんにはもうバレてたかしら?」


「そりゃあな。ヒント出しすぎだ、リリアーシュ。どうしてわざわざ俺を引き込もうとする?」


「トトからあなたの話を聞いててピンときてね。お人好しのあなたなら数年前から起きている真実を知ればきっと力になってくれると思ったからよ」


剣を砕き溜め息を吐く。


「そうかよ...で、その真実ってのは?」


「それは...この先を見れば理解出来るわ。ねえ、おちびちゃん?」


「は、はい!そうなんですぅ!大変なことがぁっ!」


一体全体なんなんだ...
随分な慌てようだが。


「行けば分かるわよ、ちょっと、どいてちょうだいね」


「はいぃ」


「開けるんならファフニールで...」


剣で錠を破壊しようとしたのだがリリアーシュが扉を殴ると、鋼の何百キロもありそうな重厚な扉を殴り飛ばした。


「「えぇ....」」


「ほら行くわよ、あなたたち」


あり得ない光景に呆気に取られていると手招きされたので後ろについていく。


「....べっこべこじゃねえか」


扉の残骸を見ると殴った箇所がへしゃげていた。


ーー通路最奥ーー


「また扉か...」


とはいえ先程よりかは幾分か脆そうではある。
ただ妙な扉だ。
その理由が鍵の位置。
何故外側につまみがあるのか。


「.....これは...!」


その理由は直ぐに理解できた。


「子供が繋がれている!?」


扉についているガラスから覗くと鎖で杭に繋がれた子供達が無惨な状態になっている。


俺はリリアーシュを押し退け扉を切り裂き中へと踏みいった。


「ひっ!も、もう止めてぇ!もう乱暴なのはいや!」


「だ、誰か...助けて...」


「う、うぅ...」


部屋の中には年端もいかない男女が4人それぞれ二人づつ掃き溜めの様に監禁されていた。


少年達は手足を折られており、少女達は半裸で所々に痛々しい痕がある。
しかもこの垂れいている液体は...


「......っ!」


「ご主人さまぁ....」


「.........」


手に痛みを感じ握りしめていた拳を開くと爪が食い込み血が滲んでいた。


リリアーシュも唇を噛み締めている。




「君...なにを...」


一歩近づくと「来ないで.....」と、怯えている少女に向かって剣を振り下ろした。


「え...あの...?」


少女は俺の顔を見上げ不安げな表情を見せる。


「あの時、手枷と布切れだけ残して子供が居なかったのはお前が助けたのか?」


「ええ...私だけじゃないけどね...」


「.....そうか...だから呼び戻したのか」


他の子達の鎖も断ち切りゴーレムを呼ぶ。


汚されていても怪我は軽い女の子2人をゴーレムに抱き抱えさせ、少年達は俺とリリアーシュが脇に一人づつ抱える。


「おじさん...助けてくれるの?」


「ああ、しっかり掴まってろよ」


リリアーシュを見ながらこれからどうするのか問うと右手を握りふりかぶった。


「ここから逃げるわよ」


そして壁に大穴を空けるとそこに身体を潜り込ませた。


「ゴーレム、気を付けろよ」


相棒は頷くと大事に抱き抱えながら、壁を通る。
その際、少し身体が辺りボロボロと石材の破片が落ちた。


「おーい!おっさーん!こっちこっちー!リリ姉も、はやくだしー!」


「あれ、トトさんですねぇ?」


「ああ、リリアーシュの活動に協力してるんだろ」


トトアーシュは破壊した壁の外側。
屋敷を囲う塀から裏口を開けていた。


俺達がそこから逃げ出そうとすると聞き覚えのある声に引き留められる。


「ユウキ!...それと...リリアーシュ!?何でそいつと!その子達はなんなの!?」


ミツキは腰から剣を引き抜き、リリアーシュに切っ先を向け、警戒している。


なんでこいつはこう、タイミングが悪いんだ。


「すまんトト、この子を...」


「う、うん!うわあ...ひど...」


「ミツキ!悪いが今回の仕事、キャンセルさせて貰うぞ!」


子供をトトに抱えさせポケットから財布を取り出し、それをミツキに投げると財布に視線を移した。
その隙を逃さず逃走を図る。


「すまんが俺は街を出る!後な!クマハチとかいう奴、ちゃんと調べてみろ!」


「はあ!?意味が分からないんだけど!?あっ、ちょっと!待ちなさい!このバカハーフーー!」


またしても怒りの余り剣をぶん投げるがもうその時には暗がりへと姿を眩ましていた。


「お、おい!わしの宝はどこへいった!」


「宝...ですか?それはどういった物で?ギルドで総力を挙げて探しますが...」


「な、なんでもない。もうよい、帰りたまえ」


クマハチは妙な態度をとり、逃げるように屋敷に引き返していった。


「....この街で一体なにが起こっているの?ユウキ...あんたはリリアーシュの行動と関係があるの?」


ミツキは俺達の逃げた路地を長い間見つめ続けポツリと呟くのだった。









「苦労して魔王を倒したと思ったら勇者パーティーを追い出された件」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く