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苦労して魔王を倒したと思ったら勇者パーティーを追い出された件

ベレット

ミツキとの関係の件

「申し訳ありません!この事はどうかご内密に...」


「こいつに頭なんて下げないでよ。」


「マスターも頭下げてください!これ、傷害罪ですよ!」


ギルドマスター室の椅子に座り殴られた頬をさする。


「別にいい...大丈夫だ」


「そりゃそうでしょうよ!そもそもこの男にはこの程度生ぬるいわ!」


「だからダメですってば~!」


胸ぐらを掴みぐらぐら揺らし、椅子も一緒に揺れる。
早く話を終わらせたい今日この頃。


ようやく落ち着きを取り戻したミツキは手を離し、執務机から一枚の手紙を取り出し、応接用のテーブルに叩きつけた。


「あんたねぇ...ほんと...こっちはよりを戻そうとかそういう話かと思ったのよ...なのに...なんで結婚して....うあああああぁ」


「ごめん」


「許すかぁぁぁ!」


許されなかった。


「そもそも別れたのはお前のせいだろうが。仕事ばっかりで付き合いも悪かったしな」


「うっ...そ、それは...」


今度は落ち込みソファに顔を埋めた。
情緒不安定すぎる...


「おい、いい加減仕事の話を頼む。こっちは依頼人だぞ。ほら金」


「わ、分かってるわよ...なによ...」


ぶつぶつ文句いいながらもちゃんとお金は数えている。
相変わらずの守銭奴だな、こいつは。


「えーと内容は共和国へ来てくれそうな医者の調査だったわね...ほらこれ...」


大事にしまっていたのか、シワ一つ無い紙を手渡された。
それを覗き込むと数人の名前と住所が写されている。


「すまんな、助かった。」


「ふんっ!仕事だもの!」


不機嫌な様子でそっぽを向くと今度は俯きながら上目遣いで見てきた。


「あのさ...もう一度やり直すとか...チャンスとかないかしら...?」


俺はふっと笑い「ないな」と伝えると怒り心頭に剣をぶん投げてきたので慌てて退出した。


「ったく、あいつめ...相変わらず暴力的なやつだ...」


「あの方とはお付き合いされてたんですかぁ?」


「この国じゃないがな。魔族との戦争で帝国に雇われていた時に、出向していたあいつと出会って意気投合したんだが、俺よりも戦うのが好きでな。いつの間にか気持ちが冷めちまって」


「へえ~」


何か納得したのかにやにやし始めた。
それ以上つっこむと嫌な予感がするので止めておく。


ーー「くそがぁ~!」


「全滅ですぅ~」


まさか全部断られるとは...
どいつもこいつも辺境だのなんだの言って取り合ってはくれなかった。
共和国だけじゃなくちゃんとアルザス村を記しておくべきだったか...


「どうするんですかぁ~?もう行けるとこ無いですよぉ~?」


「どうするって言ってもな...」


途方に暮れ街をとぼとぼ歩いていると、目の前に老婆を引き連れた年若い女性が横切っていき、来た方向を見ると暗がりのなかに小さな建物が見えた。


「本当にここの先生はお優しいねぇ」


「ですね。料金も格安ですし、助かります」


姑と嫁だろうか?老婆の手を引きどこかへ行ってしまった。


「大変だな...」


ふと気になりその建物を凝視する。


「「あ...あああああ!」」


だがそこで思いもがけない再会をするのだった。


「お、おっさん!?なんでここに居るんだし!?」


「それはこっちのセリフだ!」


「ですぅ!」


手紙を首長国宛に出していたからもしかしてとは思っていたが本当に居るとは思わなかった。


ーー「じゃあここで待ってて」


「分かった」


療養所前を掃き掃除していたトトアーシュに連れられて入ったのはアミシア療養所の事務所だった。


「お待たせ~。丁度今診察終わったとこ~」




ほどなくしてトトアーシュがコーヒーと、フェニア用に金平糖を持って戻ってくると俺達の対面席に座る。


「先生もうすぐ来るし、ちょい話さない?」


「ああ」


二人の間に沈黙が流れフェニアの食べる金平糖の音が部屋に反響する中、先に口を開いたのは俺の方だった。


「どうして、村を出たんだ?俺のせいか?」


「.....はは...違うって~。実は先生から手紙もらっててさ」


トトアーシュが医療服から手紙を取り出すと俺の側の机に滑らした。


「.......」


それを拾い上げ広げるとこう記してあった。


『随分久しぶりね。トト。あなたがギルドに入会してから半年経つかしら。
そんなあなたに頼みがあるのだけど...
実はあの鬼がまた暴れ始めたわ。
もし戻れたら戻ってきてくれないかしら?
待っているわ。アミシアより』


「アミシア?誰だ?」


「昔お世話になったお医者さん。怪我人が多いらしくてさー。参っちゃうよね、鬼の人も」


「鬼...リリアーシュか...名前が随分似てるが親族だったりするのか?」


確信めいた事を漏らすがトトアーシュは顔色一つ変えなかった。


「さあ...似た名前の人なんてこの国一杯居るでしょ。ユウキなんて名前他にも居るし」


そう言われたらなんとも言えんな。
本当に名前が似てるだけかもしれないし。


「そうかもな。それはそうとギルド活動は上手くいってるのか?」


「今は...してないよ...」


「あれだけ必死だったのにか?どうして...」


「....まあいいじゃん。今はお休みってことで。あーしだって疲れるんよ?」


そもそも何でギルドの仕事をあそこまで必死だったんだ?
ルーシェにも問題はあるが、そこまで思い詰める仕事とは思えない。


「はいはい、分かった分かった。」


どうしても話したくないらしいトトアーシュに適当に返事をしつつ、扉を眺めていたらがちゃりと開いた。


「お待たせしました。すいません」


「いや、急に来たのはこっちだから気にしないでくれ」


入ってきたのは俺より少し下くらいの年齢だと思われる銀髪の女性だった。


「それでお話と言うのは?」


「ああ、それなんだが折り入って頼みがある。悪いんだがアルザス村に重症患者がいてな。診てもらいたい。出来ればそのまま住んでいて貰えると助かるんだが」


「......それは...行きたいところですが...今はその...すみません。ここにも患者が沢山来ます...ここの人達を放っておくわけには...」


本当に申し訳無さそうに謝る姿にこの人に来て貰えたらどれだけ助かるかと感じる。
だがこの人にも離れられない理由があるようだ。


「分かった...他を当たる...すまなかったな、時間取らせて」


「おっさん...」


「ご主人さまぁ...」


「本当にごめんなさい...」


立ち上がりドアノブに触れようとした時アミシアが愕然としながらも優しい声で呼び止める。


「そういえば聞きたいことがありまして」


「なんだ?俺に分かることか?」


「どうでしょう...それはあなた次第です」


質問の意図がよく分からないのだが。
俺次第とはどういう...


「あなたなりの真実は何処にありますか?ここで見つかりましたか?」


「......!?....あんたその言葉...」


振り向くとアミシアは優しく微笑み、トトアーシュと箱に入ったフェニアは意味が分からないという表情をしている。


「....いや、何でもない...そうだな。一つなら今、掴めたかもな...会わないで済むことを祈るがな...」


「そうですか...そうなるといいですね」


お互いの為にもな。


 














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