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苦労して魔王を倒したと思ったら勇者パーティーを追い出された件

ベレット

公国の襲撃の件

「主様!どうしたらよろしかろう!?」


「このまま突っ込め!あの鎧着た奴らの所にな!」


「かしこまって!」


指示を受けトリスリアが首を下げ急降下し始める。
まっ逆さまに降下しているせいで俺達の身体が宙に浮く。
俺は翼に、ロゼはトリスリアの首に掴まり、大工親子は尻尾にしがみついている。


「お前ら、掴まっておけ!」


「この後どうするの!?ユウキくん!」


「俺の合図でジャンプしろ!」


グルカンとドミノの顔が青ざめる。


「はあ!?無茶言うなよ!」


「無茶でもやれ!このままだと着地の衝撃で吹き飛ぶぞ!」


「「....っ!」」


理解出来たのか2人の顔に決意が表れたのと同時に緑豊かな大地が視界を覆い始めた。


「....3、2、1...今だ!飛べ!」


「はっ!」


「こなくそっ!」


「無茶苦茶じゃ!」


トリスリアが着陸する寸前に一斉に飛び出し、地面に着地し、後を追ってトリスリアが降り立つと土埃が舞う。


「皆無事か!」


周囲を警戒しながら剣を構えているとトリスリアに潰された兵士の残骸が目に入った。


「う、うん!全員怪我してないよ!....ユウキくん!右!」


「.....っ!....うらあっ!」


ロゼの言葉に従い右を見ると生き残った兵士が俺を斬りつけようとしている。


だが臆することなく瞬時にファブニールで振り上げた腕ごと頭部を斬り落とした。


一旦はなんとかなったが、音を聴きつけてきたのかわらわらと公国兵が俺達を囲み始め。


「全員、突撃ー!」


部隊長らしき重装の男が号令を掛けるなり兵士十数人が剣や槍を構え突撃してきた。


「グルカン爺、ドミノは自分を守れ!ロゼは二人を守るんだ!」


三人も武器を構え頷いたのを見終えると一歩飛び出しファブニールに精霊力を纏わせていく。


それが剣を覆うと鞭のような武器へと変化しそれを回転斬りの要領で繰り出す。
こくえしゅう
「黒枝周!」


すると切っ先から漆黒の鎌鼬が放出され周囲の兵士を全て真っ二つにした。


「ひ、ひいいい!」


怯えた部隊長が逃げ出そうとしたがそうは問屋が卸さず、いつの間にか変態を解いていたトリスリアが回り込んでいた。


「ガ、ガキがどけぇ!!」


「トリスリアさん!」


「トリス!」


剣を無造作に振り下ろされ万事休すかと思われたが、腐ってもドラゴン族。
幼く見えようがやはり最強だと言わざるを得ない。


「見た目で判断しちゃだめなんぞ」


「ぐぎゃ....」


トリスリアは攻撃を潜り抜け腹を殴りつけるとバキバキバキと骨が砕ける音と共に腹部に穴を空けた。


「な、なんてパワー...」


「これが竜姫か....」


「ユウキの旦那!あのハーピーもしかして仲間か!」


「.....しまった!ハニー!避けろ!」


ドミノの指し示す方角には兵士を翻弄しながら飛び回っているが弓兵が狙いを定めていた。


だが遠すぎて俺の声が届いていない。


「ちいっ!間に合うか!?」


「ならわたくしにおまかせありあし!」


トリスリアが右手に炎の塊を作り、更には放り投げようとしているのを必死で引き留める。


「まてまてまて!それハニーには...ハーピーに当たらないよな!?」


「ふおーん...ではこちらにしてみたり!」


やっぱり危なかったんじゃねえか。


炎を握り潰し消滅させたトリスリアがお次に披露したのは両手に魔力で氷を作り両手を地面にぴったりとくっつけると、そこから氷が広がりアイスバーンが完成した。


そのせいか、足元の覚束なくなった弓兵の矢がハニーから逸れた。


矢が近くを通りすぎたことで気付いたハニーが弓兵へと接近し頭蓋骨を砕く。


俺も負けじとまるでスケートの様に氷を上手く滑りながらすれ違い様に兵士を斬りつけていく。


「よっと...ハニー無事か?」


「ユウキ!?帰ってたの!?」


「おう、今さっきな。どんな感じだ?」


「こいつらいきなり攻めてきたのよ?普通は降伏勧告とか出すんじゃないの?」


と、言うことは余程焦っているのか?
一体誰が指揮している?


「うおおっ!」


「おっと、おせえんだよ」


考え事をしていたら兵士に近づかれてしまっていたが、軽々と剣を避け反撃する。


「ユウキ、ここは良いからルーシェの所に行ってあげて。あの子、人と戦うのに抵抗あるみたいで、防戦一方なのよ」


「お前は大丈夫...なのかよ!」


「私は大丈夫!弓兵ももう居ないみたいだしね!」


確かに剣兵ばかりなら問題ないだろう。
それよりもルーシェの方がより心配だ。


「わかった...無茶するなよ!ロゼ!行くぞ!トリスリア!皆を守れ!」


「うん!」


「合点承知ってる!」


トリスリアに二人を任せたロゼが向かう道中の敵を片っ端から片付け隣に駆け寄ってきた。


「行くぞ!ロゼ!」


「任せて!ユウキくんの邪魔する奴は片っ端からやっつける!」


「ハニー、ここを頼んだぞ」


「ええ、任せてちょうだい」


ーーハニーに村の外周の防衛を任せ、村の門まで辿り着くとルーシェが戦えないなりに奮闘していた。


「く...」


侵入者を塞ぐように門の前を陣取るルーシェが兵士と鍔迫り合いをしている。


その兵士の背中を斬りつけ、反っている隙に身を翻し、後ろに控えていたロゼが心臓を一突きし、絶命させ、血の水溜まりで足元を濡らす。


「無事だな、ルーシェ」


「....」


周囲を警戒しながら問いかけるが返答がなく、ちらりと見ると信じられないものを見るような目付きをしていた。


「お兄さん...?ほんもの...?」


「はあ?何言ってんだ、当たり前だろうが」


と、おでこを強めに人差し指で小突くと「えへへ、ほんもののお兄さんだ~...」等とおでこをさすりながら涙目で笑みを溢していた。


本物だと理解するなり、駆け寄ってきては腰に腕を回し、抱きついてきて。


「やっぱりお兄さんが私の白馬の王子様なんだね♡もう絶対、絶対離さないから♡」


と更に強く抱き締めてきた。


「は?お前それは言い過ぎ.......!」


本来なら嬉しいシチュエーション。
だが今や俺は妻持ち。
しかも後ろに控えているのだ。


「あー、ロゼ?これは違うからな...?」


ギギギギギとなりそうなくらいゆっくり振り向くとこの世の物とは思えない冷たい波動を放っていたので何とか引き剥がそうとするが、びくともしない。


そんな様子を眺めていたロゼが足音を響かせながら隣まで詰めてくると、更に強く抱き締めるルーシェにレイピアの切っ先を喉元に突きつけた。


「いい加減離れてください。」


「なんでロゼさんの言うこと聞かないといけないの?」


何故かわざと挑発するルーシェに、ロゼが大人げなく噛みつく。


「わ・た・し・はユウキくんのお・よ・め・さ・ん!なの!旦那に悪い虫がつくのを黙ってるわけないでしょ!?」


ここぞとばかりに強調してきたな。
まあ本当に婚約したわけだから構わないが。


「むっ...でもさあそれって束縛してるんじゃないかなぁ?」


「な、なんですってぇ!?」


2人の喧嘩に嫌けがさしてきた頃、ふと前を向くと視界に敵兵士の姿が横切るのが見え、剣を一旦砕き、ロゼを抱き抱えて門の影へと姿を眩ました。


「ど、どうしたの?ユウキくん...?」


抱えられ、腕の中のロゼが小動物の様で今すぐ可愛がってやりたい(意味深)がそれどころではない。


「おい、ルーシェ!何で村の中に奴らが居やがる!守ってたんじゃないのか!?」


「う、うん。正門はね?裏門から入ったみたい...」


しまった....裏門は半壊どころではなく全壊しているのを失念していた。
にしても妙だな...何故裏門から入る必要がある?


言い方は悪いがルーシェを殺せば村に簡単に入れるだろう。
それに先程のルーシェの言葉...ほんもの...というのはどういう意味だ?
俺が生きているのが不自然な言い方に聞こえてしかたがない。


余り考えたくはないがリストには入れるべきかもしれない。
だがそれを判断できる証拠もない...


村の中を見つからないように柵の間から覗き込みながらロゼに耳打ちする。


「.....それは後だな...ロゼ、久しぶりに暴れるか?」


「うん!暴れまくっちゃおっか!」


だが今はスパイよりも公国の兵士を殲滅し、村を取り戻す所から始めるべきだろう。

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