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苦労して魔王を倒したと思ったら勇者パーティーを追い出された件

ベレット

ロゼの後悔の件

「う...ううん...」


目を開けると昼下がりの眩しい太陽の光が眼を射した。


徐々に意識がはっきりなるにつれ記憶が蘇り飛び起きる。


「ぐう....」


どうやら先程の魔法はどうも身体に与える負担が大きいのか全身が軋む。


特に痛む右腕を擦りながら辺りを見渡すとあの岩場ではなく、どうやら療養所らしい景色が眼に写る。


「よお、起きたか兄弟」


「グリードか...。.........!?.....おい!ロゼは!?ロゼは無事なのか!?」


ふとロゼが近くに居ないことに気付きグリードに掴みかかる。


「落ち着けよ、兄弟。あの娘は無事だ。それよりも他の奴らに礼、言っとけよ?」


「他の奴ら?」


言われてようやく目に入った。
ベッドには枕の隣にフェニアがうずくまっており、トリスリアが椅子に座りながらベッドに寄りかかっていた。


「起きたのか?大変だったみたいだな。」


「ドミノ...ああ、何とかな。死ぬかと思ったが...」


「あんたは次の仕事先なんだ、死なれちゃ困るがな。」


二人して笑いあっている最中、グリードが頭を下げる。


「すまん、こちらの落ち度だ。あれだけ上から指示した癖にしっかりと調べれていなかった。...悪かった」


「確かにな...命がなくなりかけた。それにロゼの身も危うく汚される所だったぞ」


俺は遠慮なく不満をぶつけると膝に置いていた拳に力を込め、唇を噛んでいる。


「謝罪をさせてほしい。」


「.....ああ。なら一つ頼みたい事がある。」


「なんだ?」


「これから恐らくアルザス村が公国に狙われるだろう。だが俺達はまだ万全じゃない。なんとか足止めを頼む」


そう告げるとグリードは難しい顔をしだした。


「むう...他国への攻撃となると戦争に発展する可能性があるが」


「そこまでしなくていい。足止めや最悪嫌がらせでもいい。なんとか公国の船を少しでも押さえ込めれば」


「なるほどな...ならあの手でいくか」


何か思い当たる節があるのかグリードは指を鳴らす。


「分かった。ならそれで行こうか」


「どうするつもりだ?」


「聞きたいか?」


勿体ぶって不敵に笑うので話すかと思いきや「秘密だ」と抜かすグリードの脛を蹴り上げていると視界の端にロゼが外から部屋の中を覗いていた。


だが俺と目が合うなり逃げるようにそこから姿を眩ました。


「すまん、ちょっと行ってくる」


「おい!身体まだ万全じゃないんだぞ!?」


「俺はもう大丈夫だ、慣れてるからな」


心配するグリードを適当にあしらい外に出たが気になる事を思い出し顔だけ扉から覗かせる。


「どうした、兄弟?」


「一つ聞き忘れていた。褒美の答えはなんだ?」


「あ?...ああ、あれか。あれはな、少しでも自分の力で民を守ってやりたかったからだ」


「良い答えだ。お前は良い王だな」


真っ向から褒められ若干気持ち悪く照れているグリードから目を離しロゼの元へと急いだ。


ーーこっちに来た筈だ...確か中央広場辺りに...


帝都の市民街の憩いの場所。
中央広場に辿り着いたが見た感じロゼが居る気配がない。
だが諦めきれずキョロキョロしていると見覚えのある金髪の三つ編みを見つけそこに向かって走り出した。


「おい、ロゼ!どうして逃げるんだ!」


ロゼの逃げ込んでいた先は時間を知らせる鐘のある時計塔だった。


階段を登った先。
金色の鐘が安置されている場所の外周部に足を放り出し座っていたロゼが俯いている。


「あっ....」


俺の姿を見るなり逃げようとするロゼだったが。


「きゃあ!」


「ロゼ!」


バランスを崩し落ちそうになるところを今度こそ掴み引き寄せた。


少しの間抱き締めていたがいきなり「離して!」とロゼが俺を突き放す。


「どうした?何かあったのか?」


優しく語りかけるとロゼは涙を流した。


「ごめんなさい...ユウキくん、私達別れない?」


「ロゼ...いきなり何を...」


当然の疑問を問いかけるがロゼは激昂し、涙を流す。


「いきなりじゃない!前から考えてた...私がユウキくんを傷つけてるんじゃないかって...。私のせいで苦しんでるんじゃないかって思ってた!私のせいで...私がいるせいでユウキくんは自分の人生を生きられないんじゃないかって!ずっと考えてたの!」


彼女は胸に手を当て懇願するように叫び始めた。


「お前...ほんとお前バカだな」


「バ、バカってなに!?私は本気で!」


堪らずロゼを抱き寄せ優しく髪を撫でる。


「俺が本当にお前のせいだと思ってるとか言ってんならお門違いだぞ」


「だ、だって...昨日だってあんな怪我して...!私さえあいつに逆らわなかったら捕まったりしなかったのに!」


「やっぱりお前はバカだ...それがお前のせいになるのか?」


更に強く抱き締めると涙を流し「だって...だって...」とまるで駄々っ子の様に泣き出したロゼをあやしながら語りかける。


「俺はお前と居て幸せだ。今までは闘いに明け暮れていた俺に普通をくれた。お前がいなきゃこんな風に誰かを愛したりしなかった...そもそも昨日の事も、死刑されかけたのも全部あいつが悪いんじゃねえか?」


「うぅ...それはそうだけど...でも!」


「俺が一緒に居たいんだよ。悪いか?」


そう告げると更に涙を溢し、ロゼも腰に手を回し強く抱き締めてきた。


「悪く...ない!私だってもっと一緒に居たいよ!」


「そうか...」


俺は一旦ロゼから離れて鎧の裏側の窪みに入っているロケットを取り出し、ロゼの手の中に納める。


「これは?」


「俺の家族の形見だ...」


「家族の...」


それを渡し、片ひざをつき、彼女の手を握る。


「ロゼ、指輪じゃないんだがそれをお前にやる。俺の命とロゼの次に大切なものだ。受け取ってくれ...それと...」


「それと?」


「.....俺と結婚してくれ。本当の家族にならないか?」


「.....え....?」


ロゼは呆然とし何を言われたか分からなさそうにきょとんとしていたが意味がはっきりと分かると今度は嬉しそうにボロボロと涙を溢した。


そして俺の手を握り返し。


「はい!本当の家族になりたいです!」


最高の笑顔でプロポーズを受けてくれた。

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