苦労して魔王を倒したと思ったら勇者パーティーを追い出された件
ルーシェの目的の件
「では我はここで別れよう」
ハイエルフの墓所ダンジョンから出るなりデュークがそう告げてきた。
「そろそろ一週間近く経つからな。書類が貯まっているかもしれん」
「ああ、城の...わかった。それじゃあまたな」
「ふっ、また何かあれば頼れ。ではさらば!ふはははは!」
デュークは不死族らしく煙になり何処かへと消えていった。
「はあ~、これほどまでに清々しい程の不死族さんは珍しいですぅ」
「あいつはいちいち芝居臭いからな...さてと、帰るか」
「はいですぅ。アルザス村...楽しみですぅ」
ーーその後村へと舵を取った俺達は結局、2日は掛かったものの、行きとは違い迷いの森で迷う必要がないので突っ切りUターン。
難なく森を潜り抜けひたすら真っ直ぐ歩き続け無事村に到着した。
丁度昼間なのでそのままルーシェのアトリエに向かったのだが...
「こんな所作るためにあーしを裏切ったっつーの!?ふざけんなし!」
「うっさいな!もうあんたには関係ないじゃん!さっさと出てってよ!」
家の中からルーシェとトトアーシュの喧騒が聞こえてきた。
避難しているのか家の前にミスティーが座り込んでいる。
「おいミスティー、何があった」
「パパ、お帰り。...喧嘩中だから入らないほうが良い」
「可愛らしい方ですぅ。ご主人様の娘様ですかぁ?魔力を感じませんけどぉ」
「.....」
しまった...フェニアをどう説明するか忘れていた。
しかし俺の不安とは裏腹に、胸元から外にひらひらと飛び立つとまるで生き別れの姉妹のように仲良く喋り始めた。
前から思っていたがミスティーは相当変わり者だと思う。
というか俺を慕う女は皆変かもしれない。
ハーフの宿命だとでも言うのか...
女の子ならではのかしましさを眺めているとガシャンと硝子が割れたような音に三人揃って肩をびくつかせる。
「...あいつらいい加減にしろよ....この間から喧嘩ばっかりしやがって....!」
「あ...パパ。今、危ない」
怒りが沸き起こりミスティーの制止を振り切って扉を開けた途端、俺の右耳をハンマーが掠め、柱に激突。
柱に目を移すと窪みが出来上がっていた。
もし今のが自分に当たっていたらと考えると血の気が引く。
「「あ....やば」」
流石に二人も焦ったのか掴み合いながら動きが止まったが、俺自身堪忍袋の緒が切れ、二人にげんこつをお見舞いした。
「「ふみゅう....痛い...」」
頭の天辺に拳を振り下ろされうずくまる二人に怒鳴り散らす。
「こんの...バカたれが!お前らの喧嘩で村中が迷惑してるだろうが!...あと物を投げるな!誰かに当たったらどうすんだ!それといちいち喧嘩するな!」
「はい.....」
「.....ふんっ....」
頭を擦りながら涙目になっていたルーシェは反省しているのか大分しおらしいが、トトアーシュはそっぽを向いて怒っている。
するといきなり立ち上がり、ミスティーの腕を掴むと逃げていった。
「あーし、悪くないもん!そいつが全部悪いんだし!」
「パパ、ばいばい」
連れ去られるミスティーは相変わらず無表情のままマイペースに手を振っていた。
「はあ....何があったんだ?今度は...」
「....私の仕事にケチつけたからカーっとなっちゃって....ごめんなさい...」
最初手伝ってからというものルーシェはとても頑張っている。
普段は役に立ちそうなものを作って格安で売りに出したり、修理や家の修繕なんかもしている。
柵なんかも時間があれば自主的に直してくれているお陰で害獣にも畑が襲われなくなり村には無くてはならなくなってしまっている程だ。
それだけ尽くしても未だに文句を言われたら腹も立つだろう。
だがトトアーシュの言い分も分かる。
約束を破って勝手に商売を始めたルーシェが許せないのだろう。
どちらの言い分も理解できるのでどちらに肩入れする訳にはいかない。
だが見て見ぬふりをするのもどうなんだと思い立ち、ついルーシェの頭を撫でてしまった。
「殴って悪かったな、ルーシェ」
「へ....う、ううん!だ、大丈夫だよ!?...はっ!私髪ボサボサ!服もめちゃくちゃだし~!うわ~ん!見ないで、おにいさ~ん!」
いつもは気にしないのに何故か急いでお色直しをしているルーシェを放っておき、フェニアに手招きをする。
「それはそうとお前に合わせたい奴が居るんだが」
「え?誰?奥さん?奥さんならもう会ったけど...あれ...なんか胸がチクチクする...」
「風邪か?気を付けろよ?ほら、御所望の妖精様だ」
「.....ふえ?....えええ!?本当に居たの!?ダメ元だったのに!」
今ダメ元って言ったか?
「........で、何で妖精に会いたかったんだ?」
ルーシェはこちらを一瞥すると口をつぐんだが、決心したのか目付きが変わった。
「それは...うん。お兄さんになら聞かれてもいいかな...じゃあ妖精さん聞かせてくれる?」
「はいぃ?何ですかぁ?」
緊張しているのか深呼吸をし、ゆっくりと口を開いた。
「....聖剣の作り方を教えて欲しい」
「「!?」」
ルーシェはふざけた事を真剣な眼差しで問いかけていた。
ハイエルフの墓所ダンジョンから出るなりデュークがそう告げてきた。
「そろそろ一週間近く経つからな。書類が貯まっているかもしれん」
「ああ、城の...わかった。それじゃあまたな」
「ふっ、また何かあれば頼れ。ではさらば!ふはははは!」
デュークは不死族らしく煙になり何処かへと消えていった。
「はあ~、これほどまでに清々しい程の不死族さんは珍しいですぅ」
「あいつはいちいち芝居臭いからな...さてと、帰るか」
「はいですぅ。アルザス村...楽しみですぅ」
ーーその後村へと舵を取った俺達は結局、2日は掛かったものの、行きとは違い迷いの森で迷う必要がないので突っ切りUターン。
難なく森を潜り抜けひたすら真っ直ぐ歩き続け無事村に到着した。
丁度昼間なのでそのままルーシェのアトリエに向かったのだが...
「こんな所作るためにあーしを裏切ったっつーの!?ふざけんなし!」
「うっさいな!もうあんたには関係ないじゃん!さっさと出てってよ!」
家の中からルーシェとトトアーシュの喧騒が聞こえてきた。
避難しているのか家の前にミスティーが座り込んでいる。
「おいミスティー、何があった」
「パパ、お帰り。...喧嘩中だから入らないほうが良い」
「可愛らしい方ですぅ。ご主人様の娘様ですかぁ?魔力を感じませんけどぉ」
「.....」
しまった...フェニアをどう説明するか忘れていた。
しかし俺の不安とは裏腹に、胸元から外にひらひらと飛び立つとまるで生き別れの姉妹のように仲良く喋り始めた。
前から思っていたがミスティーは相当変わり者だと思う。
というか俺を慕う女は皆変かもしれない。
ハーフの宿命だとでも言うのか...
女の子ならではのかしましさを眺めているとガシャンと硝子が割れたような音に三人揃って肩をびくつかせる。
「...あいつらいい加減にしろよ....この間から喧嘩ばっかりしやがって....!」
「あ...パパ。今、危ない」
怒りが沸き起こりミスティーの制止を振り切って扉を開けた途端、俺の右耳をハンマーが掠め、柱に激突。
柱に目を移すと窪みが出来上がっていた。
もし今のが自分に当たっていたらと考えると血の気が引く。
「「あ....やば」」
流石に二人も焦ったのか掴み合いながら動きが止まったが、俺自身堪忍袋の緒が切れ、二人にげんこつをお見舞いした。
「「ふみゅう....痛い...」」
頭の天辺に拳を振り下ろされうずくまる二人に怒鳴り散らす。
「こんの...バカたれが!お前らの喧嘩で村中が迷惑してるだろうが!...あと物を投げるな!誰かに当たったらどうすんだ!それといちいち喧嘩するな!」
「はい.....」
「.....ふんっ....」
頭を擦りながら涙目になっていたルーシェは反省しているのか大分しおらしいが、トトアーシュはそっぽを向いて怒っている。
するといきなり立ち上がり、ミスティーの腕を掴むと逃げていった。
「あーし、悪くないもん!そいつが全部悪いんだし!」
「パパ、ばいばい」
連れ去られるミスティーは相変わらず無表情のままマイペースに手を振っていた。
「はあ....何があったんだ?今度は...」
「....私の仕事にケチつけたからカーっとなっちゃって....ごめんなさい...」
最初手伝ってからというものルーシェはとても頑張っている。
普段は役に立ちそうなものを作って格安で売りに出したり、修理や家の修繕なんかもしている。
柵なんかも時間があれば自主的に直してくれているお陰で害獣にも畑が襲われなくなり村には無くてはならなくなってしまっている程だ。
それだけ尽くしても未だに文句を言われたら腹も立つだろう。
だがトトアーシュの言い分も分かる。
約束を破って勝手に商売を始めたルーシェが許せないのだろう。
どちらの言い分も理解できるのでどちらに肩入れする訳にはいかない。
だが見て見ぬふりをするのもどうなんだと思い立ち、ついルーシェの頭を撫でてしまった。
「殴って悪かったな、ルーシェ」
「へ....う、ううん!だ、大丈夫だよ!?...はっ!私髪ボサボサ!服もめちゃくちゃだし~!うわ~ん!見ないで、おにいさ~ん!」
いつもは気にしないのに何故か急いでお色直しをしているルーシェを放っておき、フェニアに手招きをする。
「それはそうとお前に合わせたい奴が居るんだが」
「え?誰?奥さん?奥さんならもう会ったけど...あれ...なんか胸がチクチクする...」
「風邪か?気を付けろよ?ほら、御所望の妖精様だ」
「.....ふえ?....えええ!?本当に居たの!?ダメ元だったのに!」
今ダメ元って言ったか?
「........で、何で妖精に会いたかったんだ?」
ルーシェはこちらを一瞥すると口をつぐんだが、決心したのか目付きが変わった。
「それは...うん。お兄さんになら聞かれてもいいかな...じゃあ妖精さん聞かせてくれる?」
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