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苦労して魔王を倒したと思ったら勇者パーティーを追い出された件

ベレット

ハイエルフ王家の墓所はダンジョンだった件

「ここがハイエルフの墓所か」


「ああ、ようやく着いたな」


アルザス村を出発して早2日。
魔界を北東に進み、広大な迷いの森で迷子になり、マンティコアの巣に迷い込んだり、そこから命からがら脱出したり...
色々あったもののようやく辿り着いた。
もう衣服もぼろぼろだが...。


「行くか....デューク」


「ああ、気を付けろよ?何が居るか分かったもんじゃない...」


「そうだな...」


俺達の心にはマンティコアのトラウマが根付いていた。


足を掛けていた岩から足をどけ、地中深く続く階段を降っていく。


ここは王家の墓所だけあり偏屈な所にあった。
まさか迷いの森の正解以外のルートのひとつとは...
見つけれたのは偶然だろう...たぶん。


「お、松明だ。おい、デューク。火くれ。」


「ああ、『フレアボイド』」


デュークの放った火の玉が松明に当たり、燃え盛ると周囲を照らし始めた。
こう見えてデュークは達人級の大剣術以外にも四属性魔法を使えるスペシャリストだったりする。
初級魔法ばかりだがその剣術と合わさると恐ろしいことこの上無い。
だが光属性にはめっぽう弱かったりする。


「見えてきたぞ、入り口だ」


「ああ、分かってる」


トラップが無いか慎重に最下段まで降りていくと階段と同じ石英造りの大扉が鎮座していた。


その大扉の継ぎ目に指を掛け「ふん!」と精一杯力を入れ開けようとするがびくともしない。


「言っただろう。これは王家の血筋が手順を踏まなければ開けれんと」


「わかってるが万一があるかもと思ってな....それでどうすればいい?」


溜め息を吐くデュークが隣に立ち大扉に描かれたハイエルフ王家の家紋の左下当たりの窪みをこんこんと手の甲で叩く。


しぶしぶそこに手を置き魔力を流れさせると扉全体に緑色の光が走る。


「王よ...先に行かれては如何かな?」


「お前な...」


重苦しく開く扉が開ききるのを待ちながらデュークが西洋貴族の様なお辞儀を披露し俺をからかっている最中の事だった。


「は....?....なんだと!?」


「くっ!落とし穴だと!?」


バカンと足元の床が綺麗に外れ暗闇へと続く穴が口を開く。


なんとか助かろうと松明を放り投げ落とし穴の縁を掴もうとしたが計算され尽くして作られているのか掠りもせず、そのまま落下してしまった。


「我は構わないが貴様は落下したら即死だぞ?」


「わあってんだよ!そんな事は!...うおお!」


奈落の底へ落下しながら剣を生成しそれを壁に突き刺しなんとか速度を落とそうとするが上手く行かなかった。


「くそったれが!」


剣の切れ味が良すぎるせいで突き刺そうとも止まる気配もなく落ちていく。


仕方がない...と、剣を砕き精霊を召喚する。


「来い!シャドウゴーレム!」


魂と直結している精霊領域から闇精霊を召喚し、影から飛び出した精霊がゴーレムの形となり俺の身体を掴んだ。


そのまま落下するとズズンと床を鳴らし着地した。


後を追ってデュークも難なく着地する。
その際に足にヒビが入ったようだが徐々に修復されていった。
不死族だけあり再生がすこぶる早い。


「ユウキ、貴様いつの間にそんな芸当を」


「ああ、つい最近な。すげえだろ、こいつ」


ゴーレムの腕から降り、ぺしぺしと足を叩くと影から精霊領域へと還っていった。


「しかし精霊を複数展開可能とは...前代未聞だな」


「ああ...」


頷きながら目線を右腕に移す。
この右手がこうなってからと言うもの妙な事が多い気がする。
あの剣もそうだが、魔力もかなり上昇したし、何より精霊が格段に強力になっている。
名を付けられる程に...


ふと妙な音が聞こえてきた。
ゴゴゴゴゴ...とまるで大地を揺らすかの音。
そして間髪いれずガタンと何か重いものでも落ちたかの様な音だ。
この音は聞き覚えがある。
地球で生きていた頃たまに聞くボーリングの玉を落とした音に似ており嫌な予感がして後ろに振り向く。


「....げ....冗談だろ!デューク走れ!ヤバイぞ!」


「なんだと!?今度は岩とは!古典的にも程があるわ!」


最早使い古されて本当は無いんじゃないかと思える罠が発動した。
冒険映画とかでよく見ていたような大岩が転がってくるトラップに俺達は全速力で駆け出し暗闇をひた走る。


ーー「「うおおおおお!!」」


デュラハンと傭兵が一緒に大岩から逃げ出そうとする珍事が今だかつてあっただろうか。
いや、無い。あるはずが無い。
きっと俺達ぐらいのもんだろう。


「いつまでこの通路続いてんだ!!」


「.....気になったんだがユウキよ。この道、本当に何処かに出るのか?もしかしたら行き止まりもあり得るのでは?」


「......た、確かに....」


「「........」」


とんでもない事実に行き着いたかもしれなく俺達二人は沈黙せざるを得なかった。
諦めが心に差し掛かろうとした時、前方にこれ見よがしに空いた大穴を発見した。


しかしここでまた絶望が俺達を襲う。
見えてきたのは下が槍で覆われた剣山だった。

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