苦労して魔王を倒したと思ったら勇者パーティーを追い出された件
妖精探しの件
村唯一の廃れた図書館で目ぼしい本を片っ端から机に置いていく。
ある程度探し終え椅子に座り一冊拾い上げる。
「妖精族に関する考察...こっちは...妖精族は本当に存在するのか...こっちが聞きたいんだが」
妖精族は伝説上の生き物だ。
諸説はあれどどれも眉唾物で最近はおとぎ話として語られる程度で探そうとしている者等居ないだろう。
俺以外は...
パラパラとページを捲り眼を通していくが予想や空想ばかりで情報など得られるべくも無かった。
「そう簡単にはいかんか...」
溜め息を吐きながら本を遮光眼鏡の様に乗せ、椅子にもたれ掛かる。
「本当に居るのか?妖精なんて...」
顔に乗っけた本を取り除き手近にあった本の題名を見るなり身を乗り出した。
それをパラパラと捲るなり俺は眼を丸くし、その本を抱え急いで家へと駆け出した。
ーー「ユウキくん?速かったね。見つかった?」
家の中に駆け込むとロゼが編み物をしながら振り向く。
どうやら俺の服を編んでいるらしい。
「ああ、ペンと紙あるか?」
「そこのカウンターにあるよ。どうかしたの?」
台所とリビングに挟まれたカウンターの上に置いてあるペン立てから羽無しペンと脇にあった便箋を取り、椅子に座り、さらさらと文字を連ねていく。
「それ手紙?誰宛?もしかして....おんな...」
真剣に手紙をしたためていると、ずっと眺めていたロゼが口を開いた。
「ああ...友人に頼みごとがあってな。因みに男だ」
男への手紙という事を聞き届けたロゼは冷ややかな目付きから一瞬にして安堵の表情へと変わっていく。
「こんなもんか...ロゼ、手紙だしてくるが帰りに何か買ってきてやろうか?」
「じゃあ、ウィスキーお願い。もう残りこんだけしかなくて」
「ふ...分かった。行ってくる」
棚に置いてある残り少ないウィスキーの瓶を振っている様から視線を逸らしその場を後にした。
行き先は伝書小屋だ。
ーーこの村には配達人がいない。必要が無いからな。
なので外との連絡をとるには伝書鳩、もとい伝書鳥な訳だがその鳥というのが...
「はいよ、お待ち。どれを運ぶんだい?」
「ああ、これを頼む」
かの有名なグリフォンというわけだ。
この大鷲の頭と翼、獅子の胴体を持つ生物が首もとにぶら下げている子供二人は入りそうな大きな革鞄に封筒をしまいこむ。
「何処までだい?」
「ああ、ここに。」
小屋にある世界地図の、ある場所を指差す。
「そんな所にかい?まあ良いですがね。貰えるもん貰えれば。場所が場所なんで割り増しですが、よろしいですかい?」
「ああ、ほらよ。」
このグリフォン、先払いが主義らしく話を先に聞いていたのであるものを先に入手しておいた。
「おお!ありがてえ。では今日の夕方には集荷終わるんでその後に届けやす」
そのあるものとは多種多様な森の木の実だったりする。
図体が俺の三倍はあるグリフォンは実は草食で、特に森の純粋物が好みらしい。
「任せたぞ」
報酬を受け取り幸せそうに頬張っているグリフォンから離れ小屋から出ようとしたら「まいどありー」と声が耳に届いたので振り返らずに手だけふって立ち去った。
それから三日後の事だ。
いつものローテーションで穏やかな朝の日差しを受けながらまったりしているとまたしてもドアが豪快に開け放たれた。
「はあ...」と半ば諦めている俺達は溜め息を吐き、扉を見ると息を切らしたトトの姿が眼に映る。
肩で息を整えるトトが俺を見つけるなり捲し立てる。
「おっさん!ちょ、一緒に来てし!」
「はあ?なんで?」
理由が分からない以上動きたくないので渋っているとずかずかと土足で踏み入り、俺の手をとると引っ張り無理矢理連れていこうとするが抵抗し踏みとどまる。
すると相当焦っているのか手を離し、今度は背中を押し始めた。
「おい、なんなんだ一体。説明しろ」
「だーかーらー!元魔王軍の幹部が攻めてきたんだっつってっし!」
「えぇ!?魔王軍...幹部!?」
ロゼは大層驚いた様子だが俺はそれよりも今始めて聞いたんだが...としか思わなかった。
ある程度探し終え椅子に座り一冊拾い上げる。
「妖精族に関する考察...こっちは...妖精族は本当に存在するのか...こっちが聞きたいんだが」
妖精族は伝説上の生き物だ。
諸説はあれどどれも眉唾物で最近はおとぎ話として語られる程度で探そうとしている者等居ないだろう。
俺以外は...
パラパラとページを捲り眼を通していくが予想や空想ばかりで情報など得られるべくも無かった。
「そう簡単にはいかんか...」
溜め息を吐きながら本を遮光眼鏡の様に乗せ、椅子にもたれ掛かる。
「本当に居るのか?妖精なんて...」
顔に乗っけた本を取り除き手近にあった本の題名を見るなり身を乗り出した。
それをパラパラと捲るなり俺は眼を丸くし、その本を抱え急いで家へと駆け出した。
ーー「ユウキくん?速かったね。見つかった?」
家の中に駆け込むとロゼが編み物をしながら振り向く。
どうやら俺の服を編んでいるらしい。
「ああ、ペンと紙あるか?」
「そこのカウンターにあるよ。どうかしたの?」
台所とリビングに挟まれたカウンターの上に置いてあるペン立てから羽無しペンと脇にあった便箋を取り、椅子に座り、さらさらと文字を連ねていく。
「それ手紙?誰宛?もしかして....おんな...」
真剣に手紙をしたためていると、ずっと眺めていたロゼが口を開いた。
「ああ...友人に頼みごとがあってな。因みに男だ」
男への手紙という事を聞き届けたロゼは冷ややかな目付きから一瞬にして安堵の表情へと変わっていく。
「こんなもんか...ロゼ、手紙だしてくるが帰りに何か買ってきてやろうか?」
「じゃあ、ウィスキーお願い。もう残りこんだけしかなくて」
「ふ...分かった。行ってくる」
棚に置いてある残り少ないウィスキーの瓶を振っている様から視線を逸らしその場を後にした。
行き先は伝書小屋だ。
ーーこの村には配達人がいない。必要が無いからな。
なので外との連絡をとるには伝書鳩、もとい伝書鳥な訳だがその鳥というのが...
「はいよ、お待ち。どれを運ぶんだい?」
「ああ、これを頼む」
かの有名なグリフォンというわけだ。
この大鷲の頭と翼、獅子の胴体を持つ生物が首もとにぶら下げている子供二人は入りそうな大きな革鞄に封筒をしまいこむ。
「何処までだい?」
「ああ、ここに。」
小屋にある世界地図の、ある場所を指差す。
「そんな所にかい?まあ良いですがね。貰えるもん貰えれば。場所が場所なんで割り増しですが、よろしいですかい?」
「ああ、ほらよ。」
このグリフォン、先払いが主義らしく話を先に聞いていたのであるものを先に入手しておいた。
「おお!ありがてえ。では今日の夕方には集荷終わるんでその後に届けやす」
そのあるものとは多種多様な森の木の実だったりする。
図体が俺の三倍はあるグリフォンは実は草食で、特に森の純粋物が好みらしい。
「任せたぞ」
報酬を受け取り幸せそうに頬張っているグリフォンから離れ小屋から出ようとしたら「まいどありー」と声が耳に届いたので振り返らずに手だけふって立ち去った。
それから三日後の事だ。
いつものローテーションで穏やかな朝の日差しを受けながらまったりしているとまたしてもドアが豪快に開け放たれた。
「はあ...」と半ば諦めている俺達は溜め息を吐き、扉を見ると息を切らしたトトの姿が眼に映る。
肩で息を整えるトトが俺を見つけるなり捲し立てる。
「おっさん!ちょ、一緒に来てし!」
「はあ?なんで?」
理由が分からない以上動きたくないので渋っているとずかずかと土足で踏み入り、俺の手をとると引っ張り無理矢理連れていこうとするが抵抗し踏みとどまる。
すると相当焦っているのか手を離し、今度は背中を押し始めた。
「おい、なんなんだ一体。説明しろ」
「だーかーらー!元魔王軍の幹部が攻めてきたんだっつってっし!」
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