苦労して魔王を倒したと思ったら勇者パーティーを追い出された件
ローブの女の件
「ユウキくん!見つかった!?」
「いや、何処にも見当たらん...やはりもう村近辺にはいないか...」
ギルドに居た俺達だけではなく、村の人達に頼み、全員で探しているのだがやはり村にはいないらしく、誰一人姿を確認できるものは現れなかった。
困り果て立ち止まっているとズボンのポケットにしまっておいたアルラウネの葉が光輝く。
それを取り出し一口で頬張り飲み込むと「ユウキさん、聞こえますか?」と、アルの声が頭の中に響く。
アルラウネの葉。これはとても珍しくそして特殊な効果をもたらすアイテムだ。
アルラウネの身体に直接生えた葉に限りだが、それを千切り他者へと譲渡した際、そのアルラウネとのみ、一度限りの念話が可能となる。
簡単に言ってしまえば固定の相手と通話出来る使い捨て携帯だ。
「ああ、聞こえている。ギルドで何か掴んだか?」
「いえ...ただ一つ気になることが...」
「なんだ?」
「はい。それがハニーさんから聞いたのですが森が静かすぎる気がすると...」
ハーピーは森の守護者として敬われる魔族だ。
その彼女が言うのなら何かあるのだろう。
「分かった。行ってみる...ロゼも来てくれ。戦力が必要かもしれん。」
「うん。まかせて!」
ーー森に無事辿り着いた俺達は確かに鳥の羽ばたく音や虫の羽音すら聞こえてこない森に違和感を感じた。
最大限の警戒をしつつ奥へと歩を進める。
だがどれだけ進めどもその何かには遭遇しない。
「絶対おかしい筈なのに何にもないなんて...どうなってるの?」
「ああ...」
「は~あ...ちょっと休憩しようよ~」
もう30分は歩きづめでロゼがもう体力が尽きたのか近場の木の根もとに腰を下ろした。
「疲れたー...」
「ロゼ、体力無さすぎだぞ。最近たるんでるんじゃねえか?」
「う...それは~」
ロゼの少しふくよかになった身体を眺めていると不意に何かがぶつかり合う音が聞こえてきた。
俺達は目線を交差させるとその場所へと駆け出す。
ーー音の出所に辿り着いたがそこはハーピーの廃村でそこで痕跡をみつけた。
「これは弓矢か...なるほど。ミスティーがここにいる可能性があるな。それと犯人も。...ロゼ、武器を出しとけ」
ロゼが頷き、腰に差したレイピアを鞘から引き抜く。
点々と続く弓矢の破片を見つけながらその跡を追うと叫び声が聞こえてきた。
「ミスティー!この一家の恥さらしが!ここでお前を殺してやる!」
「シャスティ。報いを受けるべき。そっちが死んで。」
そこに辿り着いた俺達の眼に写ったのは驚愕の事実だった。
「う、うそ...ミスティーさんが...2人!?」
「....どういう事だ...」
2人のミスティーが弓をつがえ、撃ち合っており、その身のこなしは超人と言っても差し支え無いものだろう。
命中率は高く、お互いに脳天に射つがそれを数ミリ身体を反らし避け、矢が落ちきる前に矢を撃ち返す。
どちらもレベルが高いが特に常軌を逸しているのはローブの方ではなく、いつもの水色と緑色の二重になっているワンピースを着ているミスティーの方だ。
射たれた矢に対し、即座に射ると飛んできた矢を空中で貫く。
しかもそれだけでは止まらず、恐らく入射角と反動を利用しているのかそのままローブのミスティーへと矢が吸い込まれていく。
他にも避けずに弓で矢を弾いたり。当たる直前に矢を掴み取り、それで射ち返す芸当まで披露した。
少し見ただけでも分かる。ワンピースのミスティーは桁外れに強い。
ローブのミスティーは敵う筈も無いほどに。
そして俺達の知る、犯人ではないミスティーはそのワンピースの方だろう。
未だ殺し合う2人だったが俺達の知るミスティーが難なく矢を掴む瞬間俺と眼が合い、動きが一瞬止まる。
「おじさん?どうしてここに?」
「勝負中に...!舐めるな!」
「ミスティーさん!」
その隙を逃さずローブ姿のミスティーが矢を放つが...
「うあああああっ!!」
見もせずに片手で飛んでくる矢を掴み取り、二本連続これまた見ずに射出するとローブのミスティーの弓を構えていた左腕を抉り、もう一本は右ふくらはぎを貫いた。
「ミスティーさん!私達も加勢致します!......ユウキさん?」
共に闘おうとしたロゼの進行方向に左腕で遮る。
「ミスティー、説明しろ。そいつは誰だ。」
彼女は少し口をつぐみ、意を決したのか口を重く開いた。
「彼女はシャスティ。私の双子の姉」
なんとなく予想はしていたがこれで合点がいった。
やはり親族だったか。でなければあそこ迄瓜二つにはなれないだろう。
「何故殺そうとしている?」
「当たり前...何もしていないハーピー達を殺すなんて殺し屋の風上にもおけない」
そしてこれもやはりか。
殺意、技術、身体能力、度胸。
どれを取っても新人冒険者では培えないものばかりだ。
きっとあの2人も普通ではないのだろう。
「いや、何処にも見当たらん...やはりもう村近辺にはいないか...」
ギルドに居た俺達だけではなく、村の人達に頼み、全員で探しているのだがやはり村にはいないらしく、誰一人姿を確認できるものは現れなかった。
困り果て立ち止まっているとズボンのポケットにしまっておいたアルラウネの葉が光輝く。
それを取り出し一口で頬張り飲み込むと「ユウキさん、聞こえますか?」と、アルの声が頭の中に響く。
アルラウネの葉。これはとても珍しくそして特殊な効果をもたらすアイテムだ。
アルラウネの身体に直接生えた葉に限りだが、それを千切り他者へと譲渡した際、そのアルラウネとのみ、一度限りの念話が可能となる。
簡単に言ってしまえば固定の相手と通話出来る使い捨て携帯だ。
「ああ、聞こえている。ギルドで何か掴んだか?」
「いえ...ただ一つ気になることが...」
「なんだ?」
「はい。それがハニーさんから聞いたのですが森が静かすぎる気がすると...」
ハーピーは森の守護者として敬われる魔族だ。
その彼女が言うのなら何かあるのだろう。
「分かった。行ってみる...ロゼも来てくれ。戦力が必要かもしれん。」
「うん。まかせて!」
ーー森に無事辿り着いた俺達は確かに鳥の羽ばたく音や虫の羽音すら聞こえてこない森に違和感を感じた。
最大限の警戒をしつつ奥へと歩を進める。
だがどれだけ進めどもその何かには遭遇しない。
「絶対おかしい筈なのに何にもないなんて...どうなってるの?」
「ああ...」
「は~あ...ちょっと休憩しようよ~」
もう30分は歩きづめでロゼがもう体力が尽きたのか近場の木の根もとに腰を下ろした。
「疲れたー...」
「ロゼ、体力無さすぎだぞ。最近たるんでるんじゃねえか?」
「う...それは~」
ロゼの少しふくよかになった身体を眺めていると不意に何かがぶつかり合う音が聞こえてきた。
俺達は目線を交差させるとその場所へと駆け出す。
ーー音の出所に辿り着いたがそこはハーピーの廃村でそこで痕跡をみつけた。
「これは弓矢か...なるほど。ミスティーがここにいる可能性があるな。それと犯人も。...ロゼ、武器を出しとけ」
ロゼが頷き、腰に差したレイピアを鞘から引き抜く。
点々と続く弓矢の破片を見つけながらその跡を追うと叫び声が聞こえてきた。
「ミスティー!この一家の恥さらしが!ここでお前を殺してやる!」
「シャスティ。報いを受けるべき。そっちが死んで。」
そこに辿り着いた俺達の眼に写ったのは驚愕の事実だった。
「う、うそ...ミスティーさんが...2人!?」
「....どういう事だ...」
2人のミスティーが弓をつがえ、撃ち合っており、その身のこなしは超人と言っても差し支え無いものだろう。
命中率は高く、お互いに脳天に射つがそれを数ミリ身体を反らし避け、矢が落ちきる前に矢を撃ち返す。
どちらもレベルが高いが特に常軌を逸しているのはローブの方ではなく、いつもの水色と緑色の二重になっているワンピースを着ているミスティーの方だ。
射たれた矢に対し、即座に射ると飛んできた矢を空中で貫く。
しかもそれだけでは止まらず、恐らく入射角と反動を利用しているのかそのままローブのミスティーへと矢が吸い込まれていく。
他にも避けずに弓で矢を弾いたり。当たる直前に矢を掴み取り、それで射ち返す芸当まで披露した。
少し見ただけでも分かる。ワンピースのミスティーは桁外れに強い。
ローブのミスティーは敵う筈も無いほどに。
そして俺達の知る、犯人ではないミスティーはそのワンピースの方だろう。
未だ殺し合う2人だったが俺達の知るミスティーが難なく矢を掴む瞬間俺と眼が合い、動きが一瞬止まる。
「おじさん?どうしてここに?」
「勝負中に...!舐めるな!」
「ミスティーさん!」
その隙を逃さずローブ姿のミスティーが矢を放つが...
「うあああああっ!!」
見もせずに片手で飛んでくる矢を掴み取り、二本連続これまた見ずに射出するとローブのミスティーの弓を構えていた左腕を抉り、もう一本は右ふくらはぎを貫いた。
「ミスティーさん!私達も加勢致します!......ユウキさん?」
共に闘おうとしたロゼの進行方向に左腕で遮る。
「ミスティー、説明しろ。そいつは誰だ。」
彼女は少し口をつぐみ、意を決したのか口を重く開いた。
「彼女はシャスティ。私の双子の姉」
なんとなく予想はしていたがこれで合点がいった。
やはり親族だったか。でなければあそこ迄瓜二つにはなれないだろう。
「何故殺そうとしている?」
「当たり前...何もしていないハーピー達を殺すなんて殺し屋の風上にもおけない」
そしてこれもやはりか。
殺意、技術、身体能力、度胸。
どれを取っても新人冒険者では培えないものばかりだ。
きっとあの2人も普通ではないのだろう。
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