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苦労して魔王を倒したと思ったら勇者パーティーを追い出された件

ベレット

魔王消滅

「勇者!魔法を弾け!」


「む、無理だ、僕にはっ!」


「何だと!?この局面にお前はっ!」


金髪碧眼、端正な顔立ちのお坊ちゃんである(本当にお坊ちゃんなんだな、これが)勇者が最終局面だと言うのに怯え、尻餅をついた。
いつもの事だがここで最後なのだからしゃんとしろという話だ。


「がはははは!そんなお荷物が居て私を倒せるものかっ!傭兵よ!貴様が勇者なら或いは...であるがな!」


「ユウキさん!撤退しましょう!このままではっ!」


「そうっすよ!アニキ!魔王相手なのに勇者様があれじゃあ!」


魔王というよりか黒騎士だろと言いたくもなる甲冑を着こなす魔王ベルゼブブが勇者パーティーの面々を威圧する。
恐れおののいている盗賊と僧侶が俺の背に隠れた。


「くっ!なんてこった...!鎧のせいで...!」


「は?」


俺としたことがなんたる失策!
知るなかでも最も巨乳だと思われる(当社比)僧侶の胸が俺の背中に押しあてられている!
そこまでは良い!だが、待ってほしい!俺は今、軽装とはいえ鎧を身に纏っているではないかっ!
これが失策と言わずなんと言おうかっ!


「いてっ!」


男泣きをし、魔王城の天井を見上げていると横から頭を小突かれた。


「バカやってないでさっさと倒す方法考えなさいよ!」


俺をグーで殴ってきた女を見やる。
いつもいつもうるさい、王国所属のルビーの輝きを放つ髪を揺らす女騎士を一瞥し気を取り直す。


「はいはい、お嬢様...」


「お嬢様言うなっ!...で、なんとかなるわけ?」


「まあ、ない訳じゃないが...」


と、未だ尻餅をついている情けない勇者の傍らに落ちている聖剣に目を向ける。


「バ、バカ!そんな事したらあんたが!」


「そりゃそうだけどよ。他に手、あんのか?」


「ぐうっ!...ぬうぅうぅ~...」


女騎士が苦虫を噛み潰した表情を表している。
盗賊、僧侶も同じく、辛そうに顔を歪ませていた。


「わりいな、お前ら...やるぞ!」


「くっ!うう...分かったわよ!やってやるわよ!」


「アニキ!アニキの事一生忘れないっす!」


「ユウキさん!帰ったら英雄の像、協会にたたせます!」


何故に俺は殺されているのか...
死ぬつもりなんて一切ないんだが...


「はあああっ!」


面食らっていると女騎士が一気呵成に魔王の元へと駆け出す。


「愚か者が!一人でくるとはな!返り討ちにしてやるわ!」


魔王の周りの空間が歪み無数の魔方陣が展開する。
その魔方陣から無数の光線が放たれ女騎士に向かう。


「風迅閃!」


「ぐう!?」


魔王の攻撃を掻い潜り、風のように動き、脇腹の鎧を切り裂いた。


「おのれ...!」


だが致命傷には至らず魔力を凝縮させたような球体の魔法エネルギーを作り出しそれを解放した。


「きゃああああっ!」


身を翻し避けようとしたものの、範囲が広く当たってしまった女騎士が壁にめり込むほど吹き飛ばされドサッと地面に倒れ込んだ。


「爆弾と煙幕を!僧侶は聖水を魔王に投げるんだ!」


「はい!」


「うっす!」


指示を出し、勇者の元に駆け出す。
その間に指示通り盗賊、僧侶が果敢に挑む。


なるべく近寄り爆弾を投げ、目眩ましに煙幕を床に放る。
僧侶も近寄るなり持ち得る聖水を放り投げ見事命中させた。


「ぐおおおお!」


やはり魔王に効果絶大だったのか痛みに悶え始めた。
だが、思いの外早く動きだし右手を前につき出すと二人を衝撃波で吹き飛ばした。


「みんな!...くそ...このままじゃ...」


なんとか辿り着き、勇者に目を向けると気絶しているようで、更には失禁までしていた。


「こいつ、最初から最後まで役に立たなかったな」


勿論、魔王戦の事だけではなく、旅が始まってからの事だ。
息を整え聖剣に手を伸ばす。


「後は貴様だけだ、傭兵よ。...なんだ、貴様。それを使うつもりか?自ら命を捨てると?」


「はっ...今更だな...」


「なに?」


伸ばしていた手を止め、鼻を鳴らす。


「今更だろうが!命の斬った張ったなんてよ!」


気合いを入れ直し聖剣の柄を思い切り掴む。


「ぐ...があっ!?」


聖剣からとてつもないエネルギーの奔流が身体に流れ込む。
それと同時に自分自身の生命力を奪われていくのを感じた。


「ふはははは!やはり無理であったか...なに!?」


背負った愛剣である大剣を引き抜き、地面に突き刺し松葉杖の代わりにして立ち上がる。


「ぐぬうううっ!!うおおっ!」


立ち上がるだけで精一杯だったが、ふと視界に倒れている仲間達が目に入る。(勇者以外)


その満身創痍な姿にまるで後押しされるように一歩を力強く踏み出す。


「貴様...貴様はいったい!?」


「ああ!?俺は...その...あれだ...あれだっ!」


「どれじゃ!?」


「うおおおっ!」


「こんな死に方いやじゃあ~!」


魔王に倒れ込むように斬りかかると見事、魔王を切り裂き断末魔?と共に消滅させた。


俺は地面に倒れ込み、埃を顔に纏わせながら周りを見渡す。
すると気絶していなかったか女騎士、盗賊、僧侶が皆揃ってサムズアップをし勝利を讃えあった。
俺もやろうとしたがそこで異変に気付く。
...どうやら俺の右腕はもう動かないようだ。
魔王を倒した代償...と思うしかないようだ。







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