異世界に来ましたが俺はスローライフを送りたいだけです

ベレット

黒魔術というかこれは何か別のやつ

「リンカー!大丈夫かー!」
「いたいよお!助けてぇ、ユウトさーん!さっきのこと謝るからぁ!」
「マジで?あ、ついでに事故のことも」
「うあーん!許すから助けてぇ!」
言質はとったぞ。よし、助けよう。
「ルカミディア!黒魔術使えるんだよな!?なら頼む!」
「任せろ!リーダー!.....です。」
ぬいぐるみ通さんと喋れんのか?めんどくさくない?
「まあ....それは個人の自由か....ふう.....おい、そこのモンスターども!こっち向け!」
転がっていた小石を拾い、ぶん投げるとチンケの一匹に運良く当たり俺を見定めている。
「よし、タゲ取った!....げぇ!?全部来やがった!リンカ!いい加減ちゃんと働け!ルカミディア!まだか!?」
「無理だよぉ....もうお外こわいぃ....」
智也の神様、パートナーチェンジお願いします。
あいつマジで役に立たないんですけど。
「うおおおっ!とと...あっぶね!今かすった!かすったんだけど!」
腹をかっさばこうとしたチンケの攻撃を避け、距離を置くと、ルカミディアのぬいぐるみの声が聞こえてきた。
ちらっと見ると、ルカミディアがタロットカードを出して浮かせており、そのカードが燃えると。
「血いっぱいでろでろ!です」
変な言葉?呪文?を口に出した。
するとチンケの一体が目や口から血を吹き出し、どしゃっと倒れ、ピクピクし始めた。
どうやら倒したらしい。
「うおおっしゃあっ!良くやったぞ、ルカミディア!次を頼む!」
「きゃああああ!ルカミディアちゃん!」
リンカの叫び声に驚きながら、ルカミディアに目を向けると、背けたくなるような光景が繰り広げられていた。
「がふっ......兄貴....おれたちゃもう駄目だ...後は....頼んだぜ....がくっ......です.....」
「は?ちょ!お前それ何がどうなっ!はあ!?」
ルカミディアがチンケと同じ様に穴という穴から血を吹き出して倒れていた。
一応は生きているらしい。
「わたし.....黒魔術使うと.....同じような効果....が....近くにもう一つ.....でる....」
それだけ伝え、ルカミディアは白眼を向いて気絶した。
「な、ななな、何だと!?なんだ、その使えない能力!ルカミディア、死んでないよな!?リンカ!ルカミディアを....お、お前もかよおおお!ちくしょおおおおお!」
リンカもショックの余り、気を失っており、どうやら俺一人残ってしまったらしい。
もうこいつら、マジで嫌だ....


◇◇◇


「ユウトさん、今回のクエスト報酬1500セルカ。こちらで回収させて貰います。....それはそうと大丈夫ですか?」
「は....はは....はははは.....なんとか....」
俺にしては快挙だろう。
モンスターを3体倒したんだから。
「お前らちょっとこっち来い」
二人を連れて行ったのはギルドのテーブル席で、そこに三人座る。
「ルカミディア....悪いけど他のパーティーに頼む...」
「兄貴~!そりゃないぜぇ!頑張るからよお!....ですぅ」
「冒険者カード見せろ。お前黒魔術師じゃないよな?お姉さんもそんな職業無いって言ってたぞ。早く出せ」
俺の高圧的な言葉におずおずとカードを差し出し、それをバッと拾いカードを凝視するとこう記されていた。
「呪い師.....はあ....やっぱそうか....だから何も知らない俺達新米に声をかけやがったんだな?」
図星なのかルカミディアは汗を大量に流しながらそっぽを向いている。
「呪い師ってなに?ユウトくん。」
「ああ、呪い師ってのは....ちょっと待って?喋り方変わってない?」
「やだなあ、もう。君みたいな最低なくそやろうにわざわざ丁寧に喋ったりしないよ?」
くっそ辛辣やん。こっちがリンカの素な様だ。
やっぱり見た目詐欺だわ。
「......そうですか....ま、まあ取り敢えず説明するぞ?呪い師ってのは所謂、呪いを相手にかけるんだろうな」
「呪いって?」
「多分だけどこっくりさんみたいなのより更に強力なやつか?合ってるよな?」
「こっくりさんはわかんねえけど合ってると思うぜ!....ですぅ。あとあと呪いは....その....制御が難しくて...」
だから自分や他の奴にも被害が及ぶのか...使えなさすぎる....
運良く敵に当たればいいが、致死率の高い呪いだとリンカか俺が死ぬぞ。
「悪いけど他のパーティーに....」
「お、お願いします....なんでもしますから...入れてくれなかったら....」
「い、いれなかったら....?」
黒々した雰囲気に包まれたルカミディアに恐る恐る聞くと、邪悪な笑みを浮かべながら。
「でないと....呪いますよ....?」
そう呟いた。
「はい.....よろしくお願いします.....」
どうしてこう問題児ばかり寄ってくるんだ...勘弁してくれ。



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