3Rの魔法師〜魔力零の異端児は今日も誰かの魔力を糧にする〜

松尾からすけ

第79話 プロローグ

 俺は化け物だ。

 別に思春期特有の妄想なんかではない。妄想であったらどれだけ良かっただろうか。でも、他人が俺の事をそう呼ぶんだ、仕方がないだろ。

 いつからだろうか……俺がそう呼ばれ出したのは。

 村に住んでいる全員からそう呼ばれた。そう、全員だ。なんたって一番最初に俺の事を化け物だって言ったのは両親だもんな。本当、笑っちまうぜ。
 声を枯らして否定しても耳を傾ける奴なんて誰一人いない。でも、俺は諦めなかった。自分が化け物だなんて認めたくなかった。……まぁ、無駄な足掻きだったんだけどな。

 いや、全員って言うのは語弊があった。

 化け物扱いされた俺にも一人だけ心が休まる相手がいた。わざわいをもたらす、と村から追い出された俺に優しく接してくれた人が……他の連中に何と言われようとも関係ない、その人さえいれば俺はもう何も望まないと思えるような人がいた。

 そう……#いた__・__#んだ。その意味は多くを語らなくても分かるだろう。

 そんなに見たいのか?

 そんなに知りたいのか?

 ならば見せてやる。

 ならば教えてやる。

 俺の大切な者を奪ったお前らのために、俺は本物の化け物になってやるよ。

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