3Rの魔法師〜魔力零の異端児は今日も誰かの魔力を糧にする〜

松尾からすけ

第13話 プロローグ

 この世界は不平等だ。

 子は親を選ぶことができない。生まれながらにして、自分を取り巻く環境により勝敗がはっきりしている。

 勝者はその甘美な状況に身を委ねながら、のらりくらりと過ごしていても幸福の方から擦り寄ってくる。

 敗者は地べたに這いずりながら、それでも汗水垂らして努力することにより、少しでも勝利の美酒を味わおうとする。

 ならば、勝負の土俵に立つことすらできなかった自分達は一体どうすればいい?

 勝者に嫉妬する余裕もなく、敗者のように努力をする機会もない。

 普通に生きることも叶わず、死ぬことすら許されない。

 絶望が心を埋め尽くす時期はとっくの昔に終わってしまった。

 今はただ、何も考えず規則的に呼吸を繰り返すだけの道具。空っぽな心どころか、その器すら存在しない。

 暗い檻の中で自分の首に巻かれている輪っかに触れながら思う。

 私達は一体誰を恨めばいいんですか?
 

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