S級魔法士は学院に入学する〜平穏な学院生活は諦めてます〜(仮)

マッサン

34話





俺とエミリヤは取ってきた山菜の処理をしていた。

「レイ君は、山菜にも詳しいんですね」

「昔、森に住み込み修行させられてたからな」

「え!森に住み込み修行ですか!?」

まぁ俺とリリスが修行してたのは危険区域指定の森だったから、こことは危険度は明らかに違うけどな。

俺はその隣で黙々と解体して持っていたハウンドの肉を綺麗に捌いているカグラに視線が止まる。

「カグラ、包丁使うの上手いな」

「え!?あ、ありがとう。滅多に褒められる事ないから何か照れくさいや」

語尾に、へへへと言いそうな照れ仕草で満更でもなさそうな反応を見せた。

山菜でスープを作り、肉はそのまま焼く。
焼いた肉は香料で味付けし皆の前に並べる。


「「「「「いただきます」」」」」

慣れない森での演習という事で、みんなお腹が限界だったのか並べていく席に着くと一斉に合掌し箸を進めていく。

「かー!うめぇ!!」

エドはものすごい勢いで口の中にかき込んでいく。

「もう少しゆっくりというか綺麗に食べれないわけ?」

「へいへい、すいませんね。食べ方がお嬢様の様に綺麗じゃなくて」

「あんたは、いちいち突っかかってくるわね」

「それをリリスが言うか!?」

確かにそれをリリスが言うとか、ブーメランすぎるだろ。

こんな感じでワイワイと夕食が進んでいった。

「良かったら、食後に・・・」 

まだ遠慮があるのか、夕食中あまり会話に入って来なかったカグラが何かを差し出してきた。

「山桃か?」

「うん、そうだよ。山菜採りの時にたくさん見つけたから」


取った山菜以上に袋が膨らんでいたから、何か取ったのかと思ってたが山桃だったか

「山桃じゃない!カグラでかしたわね!」

そう言えばリリスは山桃が好きだったか。

「これよこれ!この甘みがいいわ〜」

「うわぁぁすごく甘いです!」

「うっっっめぇぇぇ!!!」

みんなに好評のようだ。

「みんなに喜んでもらえて良かったよ。ほら、今日の演習中、出番なかったからさ。せめてもってわけじゃないけど・・・」

「カグラは、くっれぇーな」

「もうエド君!そんな言い方ダメですよ」

「誰だって得手不得手、できる事とできない事あるだろ。俺は戦闘得意だが料理とかはからっきしだからよぉ」

「あら、私より弱いのに戦闘得意だなんて」

「何でリリスと比べるんだよ!そりゃお前と比べたら一年みんな不得意だわ!」

まぁエドの言い分は言えてるな。

「カグラは、演習前に無属性しか使えないって言ってたけど、戦闘スタイルとしてはどうなんだ?これからの演習の事を考えると教えてもらえると助かる」

同じ班として何ができ、何ができないのか把握しておく事は重要だ。

「僕は近接戦闘スタイルです。使えるのは無属性だけ。身体強化や魔力を衝撃波の様に飛ばす魔闘術というもので闘います」

魔闘術ってたしか・・・

「カグラって名前聞いた時から思ってたんだが、ヤマト大国出身なのか?」

俺が出身国を当てたのがそんなに驚く事だったのか目を見開いていた。

「驚いたよ。ヤマト大国って分かるなんて。まぁこっちでは珍しい名前ではあるから、分かる人には分かっちゃうかな」

「魔闘術はヤマト大国の戦闘術だからな。それで確信した」

「レイは詳しいんだね」

そりゃ、昔色々とな
思い出すだけで口元が引きつってしまう。

「だから、魔法戦ってなると僕には厳しいんだ」

確かに魔法士の戦闘は基本魔法戦
魔法士の中にも近接戦闘スタイルはいる。だが、あらゆる魔法や様々な魔武器を駆使して戦う。例えばエドがそうだ。格闘術だけでの戦闘は不利、余程の実力がなければ。そう俺が昔出会った、あの化け物のような・・・

ーーブルブル

いかんいかん寒気してくる
よそう。昔の事を思い出すのは。

食事を終えた俺たちは交代で仮眠と見張りを行い朝を迎えるのだった。




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