S級魔法士は学院に入学する〜平穏な学院生活は諦めてます〜(仮)

マッサン

28話




敵は十数人ってとこか

強制終了アボートだと!?なぜ貴様がそれを使える!?」

強制終了とは相手の魔法式に干渉し魔法式の構築を阻害し魔法自体を無効化する高等技術を要し反魔法アンチマジックと呼ばれ扱える人間は限られている。ちなみにリリスは練習するがまだ使えるとは聞いていない。

むろん俺が使ったのは強制終了ではない。俺の固有魔法の一部・・である破壊ディストラクションであって勘違いされるなら好都合だな。

「使えたらなんだ。お前らには関係ないだろ」

どうする?ひとまずリーシャを安全な所まで逃がすかそれともこの場で敵を無力化か──

「リーシャきいて──」
「アレン様!!」
「ふ、ふぇぇ!?」

急に抱きつかれ変な声が出てしまう。

「あの魔法は忘れません。姿が違えどこの魔力の感じはアレン様で間違いありません!」

やっぱりエルフを騙す事はできないな。

「リーシャ話は後だ先にこの状況を打開する。リーシャには悪いがここで彼奴らを無力化する。後方支援を頼む」
「アレン様非常に申し訳ないのですが、今私は魔法が使えません」

どういうことだ?使えない?
敵に何かされたということだろうか

「私が使うのは精霊魔法、今この場に精霊がいないのです」
「そんなはずはないだろ!精霊はあらゆる所にいるはず──」

待て待て待て待て待て!
精霊はどこにでもいるのが当たり前過ぎて気にして無かったが感知すれば全く・・この場にいないじゃないか

「彼らの魔道具らしき物のせいみたいです。魔法さえ使えれば彼らなんて私一人で相手できるのに」

そんな技術聞いた事ないぞ
それがほんとなら今回の件はかなり複雑で未知の技術まで使われてる事になるってことだな。
だが、魔法の使えないリーシャを守りながらやるしかないか

「リーシャ俺から離れるなよ」
「はい!アレン様絶対一生離れませんわ」

もう突っ込むのは後にしよう。

まずは囲まれてるこの状況をどうにかしないといけないな。敵の陣形を崩す為に俺はリーシャを連れながら移動する。

隙を見せていく敵から魔法を当て戦闘不能に追い込んでいく。

「チッ2人相手に何を手こずってる!一斉に魔法で仕留めるぞ。強制終了で対応出来るのは1つの魔法だけだ!」

複数の魔法が俺たちに向かい飛来してくる。
確かに強制終了・・・・ならそれは妥当な判断だが──

自壊領域ブレイク・リージョン

俺たちを中心に魔力の波動が広がり球体を形成する。その内側に入ってくる魔法は尽く破壊されていく。

「ば、ばかな!?何故だなぜ複数の魔法を強制終了など──いや、違う、これは魔法が崩壊しているだと。そんな魔法まさか──!!」

どうやら俺が使ったのが強制終了では無いことに気づき顔が驚愕に染められる。

「て、帝国の悪魔──!」
「ちょっとそこの貴方!悪魔とはアレン様に失礼ですよ!」
「アレンだと!?やはり」

ちょっとリーシャさん!
敵に確実な正体明かすの辞めてもらえませんかね!
一応これでも正体隠してる身なんですよ…

「お前たち目標変更だ!これから先俺達の障害に必ずなる帝国の特級戦力の一人アレン・ドレファスの抹殺を最優先とする!各自薬を使用!」

男の命令と共に残っている部下達含め全員懐から取り出した小さな注射器を首筋に打ち込む。

一体なにをする気だ

変化はすぐに訪れる。赤黒く肌は変色していくだけでなく人としての形も変化し異形へと変わっていく──

それを見て俺の頭にはある事が浮かび出す。
昔帝国には周辺国の脅威に対抗する為に国力の強化と称してある計画が持ち上がるそれは強化人間だ。
俺のように先天的・・・に強い人間を造るか後天的・・・に人間を強くするか──
現皇帝になり非合法な人体実験を伴うこの計画は即刻中止、抹消されたはずだ。

誰かが計画を復活させた?
いやそれはないはず…
なら当時の技術が流失してるのか?

「ウガァァァァァァ!!!」

凄まじい叫びに耳を塞ぐ
理性を失ってるな
もう元には戻れないだろう。

ならば安らかに葬るしかない

「リーシャここで待っててくれ」

俺は感情を殺す。例え敵だとしても人を殺す事に忌避感を感じないわけないのだ。

俺の破壊は制限・・を受けてる今は魔法等であれば魔力干渉領域に入れば破壊出来るが魔力が内在する魔道具・・・人間・・魔物・・・なんかは直接触れなければ破壊できない。
逆に言えば触れる事さえ出来れば確実に殺せるということである。

俺は複数の魔法を行使しながら異形達に触れ殺していく。通常魔法で殺す事も可能だがリーシャに惨い物は見せたくない。破壊なら少なくとも見た目は綺麗なまま殺す事ができるからこの手段を用いている。

俺の動きはただ相手を殺す為だけの無駄のない淡々とした動き。殲滅するのにそれ程の時間は要しなかった。


「私は傍にいますから──」

無数の死体を見つめながら佇む俺の背中にトンと身体を寄せそう少し悲しそうな声でリーシャは言う。

俺は今どんな顔をしてるのだろうか──


ふと昼間なのに明るい光が見え其方に視線をやると五重の魔法式が見える。

リリスやりすぎだなんて心で思いフッと笑みが浮かぶのであった。




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