S級魔法士は学院に入学する〜平穏な学院生活は諦めてます〜(仮)

マッサン

26話 デール視点





会長達がこの襲撃を止めてくれるはずだ。俺はここで足止めしておかないと──

「デール見損なったぞ。貴族の一員として俺たちの邪魔するなんてな」
「何故ですニグブル先輩!昔の貴方はこんな事をする人じゃなかったはずです!」
「うるさい!」

先輩の目に宿るのは憎悪
この間までの俺をみてるようだ。
昔の先輩の面影はもうない
なぜ帝国貴族はここまで二分化されている

「ギル、こいつの処理は任せた。ドベールは予定通りに俺は王女の所にいってくる」
「まて!」

阻止しようとするがギルが立ちはだかり2人を行かせてしまう。

「俺が相手してやるよ」

炎の槍ファイヤーランス!」
水の槍ウォーターランス

俺たちの魔法がぶつかり合い俺の魔法が負け相手の魔法が迫ってくるのを横に躱す。

ギル先輩の魔法技量が自分を超えている事は分かりきっている躱しながら魔法式を構築を行う。

大岩弾ロックバレット

ギル先輩も後方へのバックステップで避ける隙をつき俺は更に魔法式を構築する。

「溶岩兵!」

一気に決める!!!
だが、ギル先輩が右手に何かを握っているのを見逃さなかった。あれは──

俺は溶岩兵を俺の前面に移動させ防御体制をとる。

「無駄だ!水竜の咆哮ガノンス・ロア

ギル先輩が持っていた物は魔力を備蓄させられる模造魔石の魔道でありその備蓄魔力をも使い大出力の水竜の咆哮。圧倒的な水量と水圧で溶岩兵だけならず俺まで飲み込まれる──

「う、ぐッ…」

庇った左腕が折れ吹き飛ばされ地面に強く身体を打ち付ける。

水の檻ウォータージェイル

俺は水の檻に閉じ込められる
もちろん息などできない。

こんな所で俺は死ぬのか──

──「デーール!」

声が聞こえる俺を呼ぶ声が
それと同時に檻が破られ俺は飛び出し思いっきり息を吸い酸素を身体に取り入れる。

「なん──で、きたフィオナ…」
「友達を放っておけるわけないじゃん!」

くそ!身体が動かない

「お前じゃ無理だ!」
「分かってる!私じゃ勝てないくらい。でも最後までデールは守る」

そこからの魔法戦は勝負にならなかった
フィオナの魔法は手も足もでず先輩の魔法は次第にフィオナに無数の傷をつくっていく。

もうやめてくれ
なんで俺なんかのためにそこまでするんだ。

俺を守るだと──
普通逆じゃないかほんとに自分が情けなくなる。

情けない情けない情けない情けない情けない
悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい

俺は友達・・も守れないのか
それはいやだ俺は守ってみせる
これ以上かっこ悪い姿みせられるか

底から力が湧き上がってくるような感覚。

「フィオナ…」
「デール!?動けるなら逃げなさいよ!」
「俺は逃げない、男が女に守られて背中向けられるかよ。なにより俺を友と呼ぶを置いていけるかよ」

今だろデール、自分を超えるのは──
俺は自然と浮かび上がる言葉を叫ぶ。

迦楼羅ガルーダ!!」

俺の叫びと共に構築された魔法式から浮かび上がってくるのは翼の大きな竜というより鳥人に近いような姿をしたら炎というより俺の溶岩兵と同じボコボコ泡が吹く高温の溶岩でできているような感じであった。

幻法獣ファムズビーストだと!?」

固有魔法オリジンの中にはまるで生き物の姿を模しており意思を持った魔法がありそれを幻法獣という。

「迦楼羅!フィオナを守れ!」

迦楼羅はフィオナに迫っていた魔法を迦楼羅の手先からでる高出力の炎が消滅させる。

「ギル先輩もう終わりです。投降して下さい!」
「聞いてないぞ!幻法獣なんて!くそくそくそ!俺を舐めるなー!」

ギルも内ポケットから取り出した小さな注射器を迷いなく自分の首筋に打ち込む。

「ア、ア、アガァァァ」

もがき苦しんでいた先輩の身体が変色し異形の姿へとかわっていく──

フィオナは今にも悲鳴を上げそうになっており俺は移動しフィオナを後ろに隠すように位置取り警戒を強める。

「ウガァァァァァァァ!!!」

それは叫びに俺たちは耳を塞ぐ。

俺の呼びかけに先輩は答えない。いや自我がないのか?

先輩は口を開き口の前に魔法式が構築されていく。
まるで今からドラゴンのようにブレスを吐くような──

これは絶対ヤバい!俺の全身が警鈴を鳴らす。

「迦楼羅!」

俺は迦楼羅に全魔力を注ぎ込む。

先輩の放った魔砲と同時に迦楼羅も獄炎の様な一点集中の炎を放ち拮抗する。

魔力が足りない…

密着していたフィオナから震えているのが伝わってくる。こいつも怖かったんだよな。なのに俺のために──

負けてられないよな無様な姿みせられないな
俺の全てをもっていけ迦楼羅!

「うぉぉぉぉー!!!」

俺の叫び共に獄炎は魔砲を飲み込みそのまま先輩すら飲み込んでいく

炭化した異形の姿になった先輩がみえる。

勝ったのか…
俺は守れたんだな…

俺はそこで意識を失った。





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