S級魔法士は学院に入学する〜平穏な学院生活は諦めてます〜(仮)
25話 セレーネ視点
未だかつて無い程に帝国は二分されています
皇族貴族は平民のためにと民を思う皇帝派と貴族至上主義を掲げる貴族派です。
その貴族派を率いているのは間違いなく第二皇子のダラン御兄様であると私は考えます。
文官の支持があり皇帝の意思を継ぐ第一皇子ライル御兄様と武官からの支持がある第二皇子ダラン御兄様の帝位争いは年々激しさを増してきておりライル御兄様を支持している私がダラン御兄様からしたら邪魔なのでしょうね。
だからこの襲撃に乗じて私を殺そうということですのね御兄様。
本来なら行ってはいけないと分かっています。
ですが私は学院での爆発音の後学院が混乱している中ある演習場にきていた。
「ほんとに来てくれたんですね王女様」
「リュカ!」
「セレーネ様!何故来られたのですか!?」
目の前には3人、オルタ・ニグブル、捕らえられたリュカとその後ろに革命軍の男が剣をリュカに突きつけていた。
「貴方達の目的は私を殺す事でしょ!言う通りきたのだからリュカを離しなさい!」
「おっと小細工されても面倒なんてこれを首につけてもらえますか?」
ニグブルはそう言って鉄製の首輪を私に投げ寄越す。これは魔力封じの首輪!?
「それをつけたら解放しますよ」
「分かった付けるわ」
隙さえできれば──
「セレーネ様付けてはなりません!今すぐ逃げて下さい!」
リュカの必死の叫びにも返答せず私は首輪をつけた。
「さぁ付けたわよリュカを解放して」
「ハハハハァ、皇族とあろう者が従者一人の為にほんとにここまでするとはな」
初めから奴らに解放する気がないのは分かってる。でもあと少し気を反らせれば──
「言う通りにしたでしょ!早く!」
「放すわけないでしょこの現場をみられといて」
私の絶望した顔に更にオルタや剣を突きつけていた男も笑いが止まらない。
──いまだ
突如、リュカの真下に魔法式が構築され地面からリュカを円柱で守るように魔法が発動する。
丁度リュカに手を伸ばしていた襲撃者の腕はその円柱を跨いでおり魔法発動と共に腕が切り落とされる。
「ギャァァァ!?う、うでがぁぁぁ!」
「遅延型の魔法式だと!?」
「リュカ!今よ!こっちに!」
相手が魔法に釘付けになっている間にリュカは私の方へと駆け寄ってくる。
「セレーネ様──」
「説教なら後で聞くから!今はここから逃げる事が先よ!」
使い魔で居場所は伝えて置いた後は助けが間に合うまで持ちこたえなければ。
魔力は封じられたけどそこらじゅうに遅延型の魔法は仕込めた今のうちに──
「リュカ!」
リュカを連れて私は校舎の方へと走り出す。
遅延型の魔法で足止めにはなっているが距離は段々と縮まる。
「逃げ切れると思ったか!」
肉薄していたニグブルのテリトリーに入った。
──後ろに避けて
微かに聞こえた声でも確実に聞こえた声
私は無理やり身体を動かし後ろに飛ぶ。元いた所にもすぐさま魔法式が構築され地面から氷牙が形成されニグブルの腕を貫く。
「グァァ!」
「チッ、身体ごと貫くつもりだったのに」
まさにベストタイミングで現れたのは私の親友でもあるリリスだった。
「セレーネ無事だったようね」
「ナイスタイミングねリリス」
「邪魔が入ったか!」
「漆黒刃!」
「風の疾槍」
ニグブルとリリスの魔法がぶつかりあう。
幾度かの魔法合戦が繰り広げられ
「チッ互角か」
「はぁ!?あんたなんかと互角扱いとか嫌なんだけど」
「気流圧殺」
リリスの放った魔法が気流を操作しニグブル目掛けて下降し地面に這いつくばせる。
「そのまま気圧で手足を折って戦闘不能にさせる。後でたっぷり話聞かせてもらうわ」
「くそがくそがくそが!俺を倒した気か俺を見下してるんじゃない」
ニグブルは上着ポケットから小さな注射器を取り出すと迷いなくそれを首筋に打ち出す。
「彼は何を打ったの!?」
「分からないでもろくな物じゃないでしょうね。気を抜かないで!圧を強めて今すぐ戦闘不能にす──」
「ウ``ォォァァァァ!!」
まるで獣の叫び声
ニグブルから魔力が吹き出しリリスの魔法を打ち破る。
ニグブルの身体は変色していき異形な形に変化していく
──まるで魔物のような
「リリスこれやばいでしょ」
「生け捕りはなし、殺す気で行く!」
リリスは間髪入れずに魔法を放っていく
宣言通り殺すつもりで
「効かな──ッ!突風」
魔法を諸共せず突っ込んできたニグブルを避けるためにリリスは突風を放ち私たちごと後方へ避難する。
「かなり硬いわね。仕方ないやるしかないわね」
「リリスなにを──」
私はその時リリスという秀才いや神童としての凄さを改めて思い知る。
「五重魔法式展開!?」
魔法式をただ五つ展開してるのではない重ねているのだ五つの魔法を一つにするつもりだなんて。そんな魔法聞いたこともない──
それにこの魔力量に規模からみて戦闘級じゃない戦術級の魔法!?そんなものをここで──
「滅せよ五星剣!」
リリスが振り上げていた腕を振り下ろすと同時に魔法式の下に光がおりるそれは極光。
極光の降り注いた後には何も残っていない。
ただ魔法式と同じ大きさ直径10m程の底の見えない奈落のようなクレーターだけが出来ていた。
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