S級魔法士は学院に入学する〜平穏な学院生活は諦めてます〜(仮)
18話
「何があったのか詳しく教えてもらえますか?」
会長室に着き、会長と対面にリリスと共に座り副会長が入れてくれた紅茶がテーブルに置かれてみんなが席につくと会長が一息もつかず聞いてきた。
「言い争いになっていたので仲裁に入った所、男が魔道具を使い魔力暴走を起こしました。運良く魔道具だけ破壊するができ暴走を止められ男の方は一命を取り留めてます。リリスが機転を効かせ咄嗟に壁を作り周りに被害が出ませんでした」
「魔力暴走!?魔力暴走を起こして生きていたのは奇跡ですね本来暴走してしまえば魔力自体が枯渇して生きてはいられません。魔道具の使用で魔力暴走は聞いた事がないのですが欠陥品の魔道具だったということでしょうか?」
魔力暴走というキーワードを聞いた会長は目を見開き驚いた様子だが男子生徒が奇跡的に助かった事にすぐさま安堵の表情を見せた。
「欠陥品と言えばそうなんでしょうが会長はT兵器という物をご存知ですか?」
「T兵器聞いた事はあります。確か4年前の戦役で使われた戦術級兵器の事だったと記憶しています。ですがどのような兵器なのかは…」
「あれは人為的に魔力暴走を引き起こす」
「人為的に魔力暴走をですか!?」
「会長は魔力暴走が何故起きるのか知っていますか?」
「魔力は心臓で作られます──」
会長は右手を胸に持っていき確認るように語り出したがついついその動作で俺の目も会長の胸にいってしまう。うん、眼福眼福。
横から視線いや殺気を感じる。
リリスさん机の下で俺の足を踏みつけてグリグリするのを辞めてけれませんかね…
確かに今のリリスの胸は慎ましいかもしれないけど将来的にはもっと成長する願ってる。
「あ、あのー?レイ?どうかされたのでしょうか?」
「いえいえすいません話の腰を折ってしまって続きをお願いします」
「心臓で作られた魔力は魔臓に溜まっていきます。この魔臓の内包量で魔力量が決まりその臓器からの魔力門の大きさが魔力出力に繋がってると講義で学んでおります。人間が一生で作る魔力量は個人差はあれど決まっておりその魔力が作られなくなる現象を魔力枯渇と呼ばれ魔力は血液同様生命活動には必須つまり魔力枯渇=死です。なので人間は無意識に心臓で作られる魔力に制限を掛け魔力枯渇が起きないようにできています。何らかの拍子でその制限が外れる事を魔力暴走といい不必要な膨大な魔力が勝手に作られいずれ枯渇し亡くなる。今の所その制限を再度掛ける等の方法は確立されておらず奇跡的に制限がかかり魔力暴走を止められたといった事例が数件歴史の中でみられただけだと記憶しております」
「その通りです会長。魔臓に収まりきらなくなった魔力は魔力門を通り微量ずつ体外に排出され魔臓が壊れないようにしています。人間の身体は上手く出来ており魔法不使用時休眠時には魔力の生産量は極端に落ち生命維持に必要分だけになります。もし仮に魔力暴走を起こし制限を失った大量の魔力が魔臓に流れ込んだらどうなると思います?」
「魔力門からの排出も間に合わなくなり溜まりに溜まった魔力は魔臓を──」
俺の質問に考える素振りを見せ淡々と結果を考えそれを口にし、最終的にどうなるのか想像がついたのだろう。口元を手で覆いその後の言葉を失った。
「溜まりに溜まった魔力を許容出来なくなった魔臓は暴発します。そうなった人間は内側から破裂するかのように爆発つまり人間爆弾ですね。人によっては戦術級の爆発を起こす事ができる事からT兵器と呼ばれています」
会長は俺のその先が言えなかった現実を知らされ嘔吐くがそこは耐えたのだろうグッと飲み込み青ざめた顔で俺をみる。
「会長!」
副会長が会長の背中を摩りながら心配する様子だった。
「王国はなんて非人道的な兵器を作ったのですか…」
「大事には至りませんでしたが今回の出来事は運がよかったです」
「今回の件には王国が関わっていると言う事かしら?」
今まで話を聞いていた副会長が話に入ってくる。
「この学院での反貴族を掲げる学生運動には間違いなく革命軍が関わってますね。そしてその革命軍を支援しているのは皇国、そしてこの魔道具の件をみれば王国も関与支援を始めたのかもしれません」
「王国からしたら革命軍に加担して帝国の力を削ぎたいと思ってるわね」
「そして王国の技術力の高さが厄介ですね。ここ数年で更に上がってますから」
「レイさんは随分とお詳しいのですね」
「え、いやその──」
「これでもエドラス家の分家よ。これぐらい知ってて普通、てかこれぐらいの事もドレッセル家は知らないのかしら」
おいおい咄嗟に庇ってくれたのは有難いが煽るなマウントをとろうとするなよ。ほら副会長が青筋立ててるぞ。
「明日急だけど生徒会の招集をするわ。レイさんこの件の当事者として貴方も参加してもらえると有難いです」
「それは構わないのですが…」
四人での話し合いは終わり会長からの要請もあり明日は俺も参加することとなった──
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