S級魔法士は学院に入学する〜平穏な学院生活は諦めてます〜(仮)

マッサン

第6話



「どちら様かしら?」

一見人当たりの良さそうな笑みを浮かべ対応するリリスだから俺にはせっかくの食事を邪魔され不機嫌であるのが手に取るように分かった。

ついついリリスを見る目がジト目になってしまう。それにリリスも気づいたようだ。

ドンッメリメリッ

「いつッうぅ」

一瞬机が中に浮かぶ。
足指がぁぁぁぁつ、潰れる──
声が出せず身悶える俺にエミリヤは頭を少し傾けこちらを見ているのに気づく。

「レ、レイ君どうかされたんですか?」
「んあぁ、いや、ん何でもない大丈夫アハハアハハハハ」
「それならいいんですが…」

心配そうに見ているエミリヤが可愛すぎる。
なんだろ愛犬とかってご主人様をこんな目で見てくるような…あ、いけないエミリヤを犬に例えてしまうなんて。

ヴ、ウゥンッ───

何ともわざとらしい咳払いが俺たちのせいで喋れないぞといいたげな風に聞こえてしまったのは俺だけだろうか。そんな事は気にせず俺もその男たちに視線を送る。

「これは失礼しましたまず名を名乗ってから声をかけるべきてまありましたな。私の名は十侯の一家であるデュパイエ侯爵家嫡男のデール・デュパイエと申します。以後お見知りおき下さい」

そう言うとキザな立ち振る舞いで頭を下げる。

「そ、で私に何か用かしら?」

「このナヴァーロ帝国貴族でもトップである六魔公そして十侯の我らは特別!仲良くして損はないように思います。やはり平民や士族、下位貴族とは違うのです!そのような者達と食事等…ささ、我らと共に食事致しましょう」

これはまずいな
リリスがブチ切れ寸前だ
これ以上はこの男が死ぬぞ──
どうにかして仲裁しないと

「おい、貴族だろうが平民だろうが例え皇族でもこの学院では身分階級は等しく平等だろ。これはナヴァーロ帝国がきめているはずだ。それなのにその発言は問題になるんじゃないのか?」

「うるさい下民が!誰の許可を得て私に意見するのだ!」

あ──こいつは終わったなそう諦めた。

「ほう、下民ね〜レイはエルドラ家に連なる分家、エルドラ家の一員よ。そのレイに向かって下民というのはエルドラ家を下民と言ってるのと同じよね?」

リリスの愛想笑いすら消えている。リリスの目に映るのは何処までも冷たい闇であった。

「い、いや違う!エルドラ家を下民等と!そうであったか彼もエルドラ家の一員だったのか。通りでリリス様と同じ気品溢れるものを感じると思ったのだ」

いやいやいやもう遅いから!
さっきこの下民が!て怒鳴り散らした後にその言い訳はもう無理じゃないだろうか。
俺はテーブルの下で誰にも見えないように両手を合わせて合掌した──

「身分階級が関係ないこの学院でそっちが身分を持ち出してきたのだから言わせて貰うけど侯爵も私からしたら下位貴族、貴方の言い方からすると話す価値すらないのだけれども。それと十侯って…プ、フゥアハハ、あぁごめんなさい余りにも滑稽で笑いが出てしまったわ。六魔公への憧れか知らないけど自分達を十侯だなんて、ただ貴方達はただ侯爵家が十家あるだけの当て字でしょ?そんなものと我ら六魔公を一緒にしないでもらえるかしら?虫唾が走るわ」

「き、きさまー!俺をデュパイエ家を馬鹿にするのか!!貴様ら六魔公とか誇張されてるだけで大した事のないものだ!公爵家だからと下手に出ていれば…決闘しろ!」

俺は天を仰ぐ
これから起きる悲劇が頭をよぎる───
リリスもリリスである
あれだけ煽ったのだ
決闘に持ち込みたかったのだろう

決闘というワードを聞いて一瞬リリスの口角がつり上がったのを見逃しはしなかった───



ただでさえ人の多い食堂で騒ぎを起こし大勢の前で決闘を口にしたのだ。決闘の為に移動した演習場の周りの観客席には満席になるほどの人が押し寄せていた。
六魔公エルドラ家と侯爵家の決闘なのだから注目度も高いだろうしみんな気になるのは分かる。

「許しをこうなら今だぞ」
「別に大丈夫だけど。それより1人でいいの?腰巾着のあの2人も一緒でいいのよ?」
「きさま!まだ俺をコケにするのか!俺1人で充分だ。おい下民!早く合図をしろ!」

何故かエドが審判をする事になったのだが、今の言い方にイラッときたのだろう一瞬デールを睨みつけ説明を始める。

「決闘の勝敗は気絶や行動不能等の戦闘不能と判断した場合か本人が負けを認める事とする。それでは試合開始!」

エドの合図と共に決闘が開始された───





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