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路地裏のペトラルカ

朽木桜斎

鳥のさえずり

あなたが消えたいというのなら

そんな高いところから

飛び下りる必要なんてない

わたしが影をついばんで

あなたが嫌いなこの世界から

見事に消してさしあげましょう

そもそもあなたには羽がない

羽がないなら飛べないでしょう?

それではうまくいくかどうか

なんの保障もままなりません

せいぜい冷たいコンクリートに

這いつくばってキスをする

それくらいがよいところ

嫌でしょう? そんなのは?

せっかくあなたのお願いが

かなわないのは嫌でしょう?

だから影をよこしなさい

わたしに影をくれるなら

あなたの願いはかなうのです

そこには痛みも苦しみもなく

素敵な心地に包まれて

このけがらわしい世界から

いなくなることができるのです

さあ 影をよこしなさい

わたしにそれをついばませなさい

ひとつ残さずたいらげて

見事に消してさしあげましょう

ほら よこしなさい

あなたがそんなに迷っていては

わたしの大きな胃袋は

あっという間にからっぽに

よこしなさい よこしなさい

あなたの影を

よこしなさい

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