おっさんの異世界生活は無理がある。
第660話
「……そんで?わざわざ俺だけを叩き起こしてこれから何処に行くつもりなんだ?」
「アタシの城よ。」
「城?……それってまさか、山の中にあったアレの事か?」
「えぇ、今からそこに向かうわ。神としての役目を果たす為に。」
真剣な面持ちのユキを横目に見ながら人の居ない通りを歩いていた俺は、ため息を零しながら満点の星々と満月が光り輝く夜空を見上げると……
「さっき聞いてた話だと、もう手伝う事は何も無いって事じゃなかったっけ?」
「うむ、お主にしてもらう事は何も無い。」
「それならどうして……」
「アンタに手伝って貰う事は確かに無いわ。でも、来てもらわなきゃいけない理由があるのよ。」
「はぁ?何だよそれ?」
「……今はまだ言えないわ。」
「…………」
「はっはっは、そう不審がるでない。何もお主に危険な事をして欲しいと言っている訳では無いんじゃ。」
「いや、そうは言うけどさ……理由を隠されたままついて行くのは不安にもなるし、そもそも今の状況が俺にとっちゃかなりヤバいんだよなぁ。マホ達にバレたりしたら確実に文句を言われるだろうし、こんな夜中にお前達みたいな子供を連れて歩いてる所を誰かに見られたら……」
「すみません、そこの方。ちょっとよろしいでしょうか?」
「……ほら見た事か……はい?何でしょうか?」
振り返って2人組の警備隊がこっちへ歩み寄って来てる姿を目にした俺は、即座に作り笑顔を浮かべると怪しまれる前に声を掛けた。
「いえ、こんな時間に女の子を連れて出歩いている方が居たので気になりまして……あの、貴方達はどういった関係でしょうか?」
「あぁ、この子達は俺の娘ですよ。実は寝付けないと言い出したものですから、散歩でもしようかと言う事になりまして……そうだよな?」
頼むから俺の意図を察して合わせてくれ……!という願いが通じてくれたらしく、一瞬だけ呆れた様な表情をしたユキが笑顔で俺の腕をギュッと包み込んできた。
「うん、お空が綺麗だからパパにお願いしてお散歩に連れて来てもらったの。」
「……なるほど、お嬢ちゃんもそうなのかな?」
「うむ、その通りじゃ。だから心配せずとも良いぞ。」
「そ、そうなんだね……分かりました。そういう事でしたらお気を付けて。夜も遅いですからなるべく早くお帰り下さいね。」
「はい、そうします。それでは失礼します。」
小さく頭を下げてその場を歩き去ってった俺達は、警備隊の方達が見えなくなった事を確認してから組んでいた腕を離した。
「全く、誰がアンタの娘なのよ。冗談にしても笑えないわね。」
「はいはい……あーマジで心臓に悪かったぜ……」
「はっはっは、何とか誤魔化せた様で良かったのう。さて、それでは同じ事が起きる前に急いでユキの城に向かうとするかのう。」
「あぁ……にしてもこのクソ寒い中で山登りか……大丈夫なんだろうな?」
「えぇ、問題無いわ。あの城は人目の付かない所に辿り着いたら出すつもりだから、そこまで奥深くに行かなくても良いからね。」
「ふーん、なら良いけどさ……」
ちょっとしたハプニングに見舞われながらもどうにか街の外まで出て来た俺達は、比較的登りやすそうな所から山の中へと入って行くのだった。
「アタシの城よ。」
「城?……それってまさか、山の中にあったアレの事か?」
「えぇ、今からそこに向かうわ。神としての役目を果たす為に。」
真剣な面持ちのユキを横目に見ながら人の居ない通りを歩いていた俺は、ため息を零しながら満点の星々と満月が光り輝く夜空を見上げると……
「さっき聞いてた話だと、もう手伝う事は何も無いって事じゃなかったっけ?」
「うむ、お主にしてもらう事は何も無い。」
「それならどうして……」
「アンタに手伝って貰う事は確かに無いわ。でも、来てもらわなきゃいけない理由があるのよ。」
「はぁ?何だよそれ?」
「……今はまだ言えないわ。」
「…………」
「はっはっは、そう不審がるでない。何もお主に危険な事をして欲しいと言っている訳では無いんじゃ。」
「いや、そうは言うけどさ……理由を隠されたままついて行くのは不安にもなるし、そもそも今の状況が俺にとっちゃかなりヤバいんだよなぁ。マホ達にバレたりしたら確実に文句を言われるだろうし、こんな夜中にお前達みたいな子供を連れて歩いてる所を誰かに見られたら……」
「すみません、そこの方。ちょっとよろしいでしょうか?」
「……ほら見た事か……はい?何でしょうか?」
振り返って2人組の警備隊がこっちへ歩み寄って来てる姿を目にした俺は、即座に作り笑顔を浮かべると怪しまれる前に声を掛けた。
「いえ、こんな時間に女の子を連れて出歩いている方が居たので気になりまして……あの、貴方達はどういった関係でしょうか?」
「あぁ、この子達は俺の娘ですよ。実は寝付けないと言い出したものですから、散歩でもしようかと言う事になりまして……そうだよな?」
頼むから俺の意図を察して合わせてくれ……!という願いが通じてくれたらしく、一瞬だけ呆れた様な表情をしたユキが笑顔で俺の腕をギュッと包み込んできた。
「うん、お空が綺麗だからパパにお願いしてお散歩に連れて来てもらったの。」
「……なるほど、お嬢ちゃんもそうなのかな?」
「うむ、その通りじゃ。だから心配せずとも良いぞ。」
「そ、そうなんだね……分かりました。そういう事でしたらお気を付けて。夜も遅いですからなるべく早くお帰り下さいね。」
「はい、そうします。それでは失礼します。」
小さく頭を下げてその場を歩き去ってった俺達は、警備隊の方達が見えなくなった事を確認してから組んでいた腕を離した。
「全く、誰がアンタの娘なのよ。冗談にしても笑えないわね。」
「はいはい……あーマジで心臓に悪かったぜ……」
「はっはっは、何とか誤魔化せた様で良かったのう。さて、それでは同じ事が起きる前に急いでユキの城に向かうとするかのう。」
「あぁ……にしてもこのクソ寒い中で山登りか……大丈夫なんだろうな?」
「えぇ、問題無いわ。あの城は人目の付かない所に辿り着いたら出すつもりだから、そこまで奥深くに行かなくても良いからね。」
「ふーん、なら良いけどさ……」
ちょっとしたハプニングに見舞われながらもどうにか街の外まで出て来た俺達は、比較的登りやすそうな所から山の中へと入って行くのだった。
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