おっさんの異世界生活は無理がある。
第580話
手足に負った傷から血を流し過ぎたせいなのか意識がどうにもフラフラとしている状態の中で痛みに耐えながら1つの作業を終えた俺は、ブレードを支えにして何とか倒れない様にしながら目の前にある芸術作品を見上げていた。
「はぁ……はぁ……はぁ……ははっ……我ながら見事なもんだなぁ……こりゃ……」
気絶した忍者の奴を全裸にひん剥いて着ていた衣類で手足を縛り上げた後、魔法で生み出した植物を使って野郎を逆エビ反りの形で宙吊りにしてやったんだが……
「こんな事ならポーラにカメラを借りとけば良かったぜ……ぐっ!」
激しい痛みに襲われて立っていられず膝から崩れ落ちてしまった俺は、応急手当の為に巻き付けた包帯が赤く染まっているのを目にして思わず苦笑いを浮かべていた。
「やっべぇ……ちょっと深くやられ過ぎたか……?マズいな……動けなくなる前に、皆を助けに行かねぇと…………っ!?」
力の入らなくなってきた体を無理やり動かして屋敷から離れようとしたその直後、背後からバンッと勢いよく扉の開かれる音がしたので反射的に振り返ってみると……部屋の閉じ込めた連中と気絶させた奴らが揃ってこっちを睨みつけていた……!
「テメェ!さっきはよくも……ってなんじゃこりゃあ!?」
「コ、コイツは確か……いや、そんな事はどうでも良い!テメェ、随分と舐めた真似してくれたじゃねぇか……覚悟は出来てんだろうなぁ?あぁ?」
「ハッハッハ!何だか知らねぇがボロボロみたいだな!こりゃ丁度良い!思いっきりなぶり殺しにしてやるよ!」
「ッ……!こっちは怪我人なんだ……少しぐらい手加減して欲しいんだがねぇ……」
「手加減だぁ?そんなもんするはずねぇだろ!それによぉ……後ろ、見てみろよ。」
「……後ろ?……おいおい、マジかよ……」
悪役丸出しの笑い方をしている野郎に言われた通り視線だけ後ろに向けてみると、そこには忍者の野郎と同じ格好をした連中がズラッと並んでいやがった……!
「残念だったなぁ……コレでテメェの死は確定しちまったんだよぉ!!」
前方からは怒りまくっている武装したチンピラ連中が、背後からは自分達のボスを倒されて殺気立っている忍者集団が迫って来ていて……
「はぁ……どこまで足掻けるかねぇ……」
こんな時にもう無理だって言って諦められたらメチャクチャ楽なんだろうけど……俺、未練がましいからこんな所じゃ絶対に死にたくねぇんだよっ!!
「うおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!」
「へっ?うぎゃあああああああああ!!!!!」
「な、何だあああああっ!?!??!!!」
年甲斐もなく恥ずかしい台詞を考えながら戦いに臨もうとしたその直後、上空から雄叫びみたいなものが聞こえてきたかと思ったら目の前の地面がいきなりドカンっと爆発しやがった!?
「がっはっはっは……九条のあんちゃん、久しぶりだな!」
「は、は?そ、その声は……まさか……!」
爆風のせいで尻もちをつきながら土煙の向こう側に見える大きな人影に声を掛けた次の瞬間、ビュゥっと突風が吹いて見覚えのある顔が俺の事を見下ろしていた……!
「おうよ!ギルド、鉄壁の盾のリーダをしているダールトン・ランディ様だっ!また会えて嬉しいぜ、九条のあんちゃんよぉ!」
「て、鉄壁の盾だと……?おい、ソレってまさか!」
「ひ、怯むんじゃねぇ!相手はたった1人だ!全員で襲い掛かりゃどうとでも!」
「ん?おいおいお前さん達、誰が1人っきりだって?」
「ぐわあああああああ!!!」
ダールトンがニヤリと笑いながら右の拳を天高く掲げると、背後から沢山の足音と爆発音と悲鳴が同時に聞こえてきた!?
「がっはっは!喜べお前達!今日は俺達、鉄壁の盾が全力で相手をしてやる!誰一人として逃げられると思うんじゃねぇぞ!」
「ち、ちきしょう!どうしてこんな事に……!」
「泣き言は後だ!今はズラかるぞ!!」
「やれやれ、逃がさねぇって言ったのが聞こえなかったのかっ!!」
「んなっ!?ぐふうううううっ!!」
「ぶべらああああああ!!!!」
「……す、すげぇ……」
武闘派とはまさにこの事……というのを体現した動きで武装した連中を次々と殴り飛ばして行くダールトンの姿を呆然と眺めていると誰かの足音が聞こえてきて……
「九条さん!大丈夫っすか!」
「ア、アンタは……クアウォートの斡旋所でダールトン一緒に居た………」
「はいっす!顔を覚えていてくれて嬉しい……って、そんな場合じゃないっすよね!九条さん、酷い怪我っすよ!すぐにでも手当しないと!」
「怪我……けが……そ、そうだ……!あいつ等……あいつ等を助けに……!」
「う、動いちゃダメっすよ九条さん!安心して下さい!貴方のお仲間は、別の部隊が助けに向かったっす!」
「たすけ……たす………」
「く、九条さん?九条さん!!しっかりして下さいっす!ア、アニキ!マズいっす!九条さんの意識が無くなりました!」
「何だと!?オイ、すぐに安全な所に運んで手当てをしてやれ!絶対に死なすんじゃねぇぞ!分かったな!」
「りょ、了解しましたっす!アニキもお気を付けて!!」
「がっはっは!誰に向かってものを言ってんだ!良いから早く連れて行け!」
……あぁ………なんだか……さむくなって……きた………それに……ねみぃ………でも………あいつら………た……す……………け……………
「はぁ……はぁ……はぁ……ははっ……我ながら見事なもんだなぁ……こりゃ……」
気絶した忍者の奴を全裸にひん剥いて着ていた衣類で手足を縛り上げた後、魔法で生み出した植物を使って野郎を逆エビ反りの形で宙吊りにしてやったんだが……
「こんな事ならポーラにカメラを借りとけば良かったぜ……ぐっ!」
激しい痛みに襲われて立っていられず膝から崩れ落ちてしまった俺は、応急手当の為に巻き付けた包帯が赤く染まっているのを目にして思わず苦笑いを浮かべていた。
「やっべぇ……ちょっと深くやられ過ぎたか……?マズいな……動けなくなる前に、皆を助けに行かねぇと…………っ!?」
力の入らなくなってきた体を無理やり動かして屋敷から離れようとしたその直後、背後からバンッと勢いよく扉の開かれる音がしたので反射的に振り返ってみると……部屋の閉じ込めた連中と気絶させた奴らが揃ってこっちを睨みつけていた……!
「テメェ!さっきはよくも……ってなんじゃこりゃあ!?」
「コ、コイツは確か……いや、そんな事はどうでも良い!テメェ、随分と舐めた真似してくれたじゃねぇか……覚悟は出来てんだろうなぁ?あぁ?」
「ハッハッハ!何だか知らねぇがボロボロみたいだな!こりゃ丁度良い!思いっきりなぶり殺しにしてやるよ!」
「ッ……!こっちは怪我人なんだ……少しぐらい手加減して欲しいんだがねぇ……」
「手加減だぁ?そんなもんするはずねぇだろ!それによぉ……後ろ、見てみろよ。」
「……後ろ?……おいおい、マジかよ……」
悪役丸出しの笑い方をしている野郎に言われた通り視線だけ後ろに向けてみると、そこには忍者の野郎と同じ格好をした連中がズラッと並んでいやがった……!
「残念だったなぁ……コレでテメェの死は確定しちまったんだよぉ!!」
前方からは怒りまくっている武装したチンピラ連中が、背後からは自分達のボスを倒されて殺気立っている忍者集団が迫って来ていて……
「はぁ……どこまで足掻けるかねぇ……」
こんな時にもう無理だって言って諦められたらメチャクチャ楽なんだろうけど……俺、未練がましいからこんな所じゃ絶対に死にたくねぇんだよっ!!
「うおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!」
「へっ?うぎゃあああああああああ!!!!!」
「な、何だあああああっ!?!??!!!」
年甲斐もなく恥ずかしい台詞を考えながら戦いに臨もうとしたその直後、上空から雄叫びみたいなものが聞こえてきたかと思ったら目の前の地面がいきなりドカンっと爆発しやがった!?
「がっはっはっは……九条のあんちゃん、久しぶりだな!」
「は、は?そ、その声は……まさか……!」
爆風のせいで尻もちをつきながら土煙の向こう側に見える大きな人影に声を掛けた次の瞬間、ビュゥっと突風が吹いて見覚えのある顔が俺の事を見下ろしていた……!
「おうよ!ギルド、鉄壁の盾のリーダをしているダールトン・ランディ様だっ!また会えて嬉しいぜ、九条のあんちゃんよぉ!」
「て、鉄壁の盾だと……?おい、ソレってまさか!」
「ひ、怯むんじゃねぇ!相手はたった1人だ!全員で襲い掛かりゃどうとでも!」
「ん?おいおいお前さん達、誰が1人っきりだって?」
「ぐわあああああああ!!!」
ダールトンがニヤリと笑いながら右の拳を天高く掲げると、背後から沢山の足音と爆発音と悲鳴が同時に聞こえてきた!?
「がっはっは!喜べお前達!今日は俺達、鉄壁の盾が全力で相手をしてやる!誰一人として逃げられると思うんじゃねぇぞ!」
「ち、ちきしょう!どうしてこんな事に……!」
「泣き言は後だ!今はズラかるぞ!!」
「やれやれ、逃がさねぇって言ったのが聞こえなかったのかっ!!」
「んなっ!?ぐふうううううっ!!」
「ぶべらああああああ!!!!」
「……す、すげぇ……」
武闘派とはまさにこの事……というのを体現した動きで武装した連中を次々と殴り飛ばして行くダールトンの姿を呆然と眺めていると誰かの足音が聞こえてきて……
「九条さん!大丈夫っすか!」
「ア、アンタは……クアウォートの斡旋所でダールトン一緒に居た………」
「はいっす!顔を覚えていてくれて嬉しい……って、そんな場合じゃないっすよね!九条さん、酷い怪我っすよ!すぐにでも手当しないと!」
「怪我……けが……そ、そうだ……!あいつ等……あいつ等を助けに……!」
「う、動いちゃダメっすよ九条さん!安心して下さい!貴方のお仲間は、別の部隊が助けに向かったっす!」
「たすけ……たす………」
「く、九条さん?九条さん!!しっかりして下さいっす!ア、アニキ!マズいっす!九条さんの意識が無くなりました!」
「何だと!?オイ、すぐに安全な所に運んで手当てをしてやれ!絶対に死なすんじゃねぇぞ!分かったな!」
「りょ、了解しましたっす!アニキもお気を付けて!!」
「がっはっは!誰に向かってものを言ってんだ!良いから早く連れて行け!」
……あぁ………なんだか……さむくなって……きた………それに……ねみぃ………でも………あいつら………た……す……………け……………
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