おっさんの異世界生活は無理がある。
第569話
翌朝、ロイド宅にやって来たポーラに皆で話し合って決めた内容を伝えると彼女は少しだけ驚いた様な表情を浮かべた後にパァっと笑顔を見せ始めた。
「ありがとうございます!それではお言葉に甘えさせて頂きますね!」
「お、おぉ……凄いな、アッサリ承諾しやがった……」
「あはっ、折角のご厚意を無駄にする訳にはいきませんからね!掴み取れる物は遠慮なんてせずに何でも手に入れる!それこそが仕事を成功させる秘訣です!」
「なるほど、ポーラらしいね。」
「えぇ、オレットさんらしくもあります!」
「流石、姉妹。」
「ふふっ、お褒めの言葉として受け取っておきます。それでは早速なんですけど……ロイドさん、九条さん、私が昨日エリオさんと話していた事って覚えてますか?」
「昨日?それって確か……」
「トリアルと王都、二つの街で起きている窃盗事件の事かい?貴族の屋敷から価値のある美術品が盗まれているという……」
「はい!それもお話していた事の1つではあります!しかしもう1つ、エリオさんと話題にしていた事があるんですけど……それは覚えていますか?」
「もう1つ……あぁ、もしかしてアレか?貴族街の奥にあるっていう……あの……」
「九条さん、大正解です!貴族街の奥の奥に進んだ先……そこにある古びたお屋敷、そこに現れるという幽霊のお話です!よく覚えていましたね!」
「いや、まぁ……そうね……俺としては忘れたかったんだけどな……」
昨日、エリオさんとそういう系の話を始めた瞬間に意識を遮断してお菓子を食べる事にだけ集中していたってのに……ちゃんと聞いてなかったせいで何だか余計に怖く感じちまって……あぁもう、さっきまで記憶の片隅に置いてあったってのに……!
「うぅ……そう言えば、そんなお話をしてたんでしたっけ……ポーラさん!どうして思い出させちゃうんですか!私、そういうの苦手なんですよぉ!」
「あはっ、ごめんなさい!でもでも、今日の予定に関する事なのでお話をしないって訳にもいかなったんですよ。」
「えっ、今日の予定にって……ま、まさか……!」
「九条さん、またまた大正解です!今日の予定、ソレはずばり!廃墟となったお屋敷まで行って調査をする事です!」
ポーラは満面の笑みを浮かべながらニコっと微笑みかけて来ると、バッグの中から革の手帳を取り出してページをパラパラと捲《めく》り始めた。
「ふむ、そう言えば近頃その屋敷に人影が見えるらしいね。持ち手もおらず、誰一人として住んでいないはずなのに。」
「はい、そうなんですよ!もう何十年と使われていないはずのお屋敷だというのに、月明かりに照らされて廊下を歩いている人影と見たとか……ガタガタという物音が、どういう訳か聞こえてきたり……これは記者として調べない訳にはいきません!」
「い、いや!それはどうでしょうかポーラさん!幽霊なんているはずがない!記者としてそうは思いませんか!?」
「そ、そうだそうだ!そんな非現実的な存在が居るはずが無い!そうだろう!?」
「いやいや、何を言ってるんですか九条さん!ロイドさんから聞きましたよ?貴方は実際に悪霊と思わしき相手に遭遇して、戦った事があるそうじゃないですか!」
「うぐっ!そ、それは……!」
「その反応、思い当たる事があるんですよね!それならばそのお屋敷にも幽霊が出るという話は否定出来ないはずです!」
「ぐ、ぐぬぬぅ……!た、確かにその話については否定しない!だ、だけど!それでどうしてお前が調べるなんて事になるんだよ!?そう言うのは警備隊とかそういった人達に任せれば良いんじゃねぇのか?!」
「いーえ、警備隊の方達は事件性が無ければ動く事が出来ません!つまりこんな時は私達の様な記者が動く必要があるという訳です!って言うか、こんな面白そうな事がすぐ近くで起きていると言うのに自分で調べないなんて記者失格です!」
「い、いや……でもさぁ……」
「九条さん、今日は私の予定に付き合って下さるって言いましたよね?もしかして、アレって嘘だったんですか?」
「う、嘘じゃない!ただその……幽霊は……」
「大丈夫、前も倒せたんなら今回も倒せる。」
「ふふっ、そうだね。それに幽霊が出るのは基本的の夜の間だろう?今から行けば、遭遇する可能性はかなり低いんじゃないかな?」
「……どうしてお前達はそう乗り気なんだ……!」
「ふふーん、話は決まったみたいですね!それでは皆さん、出発致しましょうか!」
有無を言わさずに立ち上がったポーラと彼女の言葉に付き従ったロイドとソフィにジッと見つめられた俺は……昨日の自分をぶん殴りたい気持ちを押さえながら、重い腰を上げるのだった……
「ちょ、ちょっとおじさん!?どうして私の手を掴むんですか?!」
「ふっ……こうなったら道連れだ……さぁ、一緒に行くとしようぜぇ……!」
「い、いやああああああああああ!!!!」
俺は叫び声を上げながらジタバタと暴れるマホを担ぎ上げると、前を歩く3人娘の後に続いてロイド宅を出て行くのだった……!
「ありがとうございます!それではお言葉に甘えさせて頂きますね!」
「お、おぉ……凄いな、アッサリ承諾しやがった……」
「あはっ、折角のご厚意を無駄にする訳にはいきませんからね!掴み取れる物は遠慮なんてせずに何でも手に入れる!それこそが仕事を成功させる秘訣です!」
「なるほど、ポーラらしいね。」
「えぇ、オレットさんらしくもあります!」
「流石、姉妹。」
「ふふっ、お褒めの言葉として受け取っておきます。それでは早速なんですけど……ロイドさん、九条さん、私が昨日エリオさんと話していた事って覚えてますか?」
「昨日?それって確か……」
「トリアルと王都、二つの街で起きている窃盗事件の事かい?貴族の屋敷から価値のある美術品が盗まれているという……」
「はい!それもお話していた事の1つではあります!しかしもう1つ、エリオさんと話題にしていた事があるんですけど……それは覚えていますか?」
「もう1つ……あぁ、もしかしてアレか?貴族街の奥にあるっていう……あの……」
「九条さん、大正解です!貴族街の奥の奥に進んだ先……そこにある古びたお屋敷、そこに現れるという幽霊のお話です!よく覚えていましたね!」
「いや、まぁ……そうね……俺としては忘れたかったんだけどな……」
昨日、エリオさんとそういう系の話を始めた瞬間に意識を遮断してお菓子を食べる事にだけ集中していたってのに……ちゃんと聞いてなかったせいで何だか余計に怖く感じちまって……あぁもう、さっきまで記憶の片隅に置いてあったってのに……!
「うぅ……そう言えば、そんなお話をしてたんでしたっけ……ポーラさん!どうして思い出させちゃうんですか!私、そういうの苦手なんですよぉ!」
「あはっ、ごめんなさい!でもでも、今日の予定に関する事なのでお話をしないって訳にもいかなったんですよ。」
「えっ、今日の予定にって……ま、まさか……!」
「九条さん、またまた大正解です!今日の予定、ソレはずばり!廃墟となったお屋敷まで行って調査をする事です!」
ポーラは満面の笑みを浮かべながらニコっと微笑みかけて来ると、バッグの中から革の手帳を取り出してページをパラパラと捲《めく》り始めた。
「ふむ、そう言えば近頃その屋敷に人影が見えるらしいね。持ち手もおらず、誰一人として住んでいないはずなのに。」
「はい、そうなんですよ!もう何十年と使われていないはずのお屋敷だというのに、月明かりに照らされて廊下を歩いている人影と見たとか……ガタガタという物音が、どういう訳か聞こえてきたり……これは記者として調べない訳にはいきません!」
「い、いや!それはどうでしょうかポーラさん!幽霊なんているはずがない!記者としてそうは思いませんか!?」
「そ、そうだそうだ!そんな非現実的な存在が居るはずが無い!そうだろう!?」
「いやいや、何を言ってるんですか九条さん!ロイドさんから聞きましたよ?貴方は実際に悪霊と思わしき相手に遭遇して、戦った事があるそうじゃないですか!」
「うぐっ!そ、それは……!」
「その反応、思い当たる事があるんですよね!それならばそのお屋敷にも幽霊が出るという話は否定出来ないはずです!」
「ぐ、ぐぬぬぅ……!た、確かにその話については否定しない!だ、だけど!それでどうしてお前が調べるなんて事になるんだよ!?そう言うのは警備隊とかそういった人達に任せれば良いんじゃねぇのか?!」
「いーえ、警備隊の方達は事件性が無ければ動く事が出来ません!つまりこんな時は私達の様な記者が動く必要があるという訳です!って言うか、こんな面白そうな事がすぐ近くで起きていると言うのに自分で調べないなんて記者失格です!」
「い、いや……でもさぁ……」
「九条さん、今日は私の予定に付き合って下さるって言いましたよね?もしかして、アレって嘘だったんですか?」
「う、嘘じゃない!ただその……幽霊は……」
「大丈夫、前も倒せたんなら今回も倒せる。」
「ふふっ、そうだね。それに幽霊が出るのは基本的の夜の間だろう?今から行けば、遭遇する可能性はかなり低いんじゃないかな?」
「……どうしてお前達はそう乗り気なんだ……!」
「ふふーん、話は決まったみたいですね!それでは皆さん、出発致しましょうか!」
有無を言わさずに立ち上がったポーラと彼女の言葉に付き従ったロイドとソフィにジッと見つめられた俺は……昨日の自分をぶん殴りたい気持ちを押さえながら、重い腰を上げるのだった……
「ちょ、ちょっとおじさん!?どうして私の手を掴むんですか?!」
「ふっ……こうなったら道連れだ……さぁ、一緒に行くとしようぜぇ……!」
「い、いやああああああああああ!!!!」
俺は叫び声を上げながらジタバタと暴れるマホを担ぎ上げると、前を歩く3人娘の後に続いてロイド宅を出て行くのだった……!
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